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リア充のススメ 02

私は腐女子だ。

いや、少し訂正しよう。
私は隠れ腐女子だ。

見た目でそうとは悟られないように気を使ってるつもりだし、言動にも注意している。
でも、頭の中は常にお花畑。特に工業高校は男子の割合が多くて、あちこちでじゃれ合ったりしているのを見るとご馳走様としか言いようがない。

そして、専ら私の頭の中に登場するのが隣の席の二口くん。


「二口くん、おはよう」
「はよ」


ぶっきらぼうに挨拶を返してくれる彼は所謂イケメンというもので。彼が私の脳内で最大の被害者とも言える。

1年の時から彼と同じクラス、そして今も隣の席ということもあって男子の中で一番話す事も多い。今だって、私があげたグミをもっきゅもっきゅ噛んでいるところがカッコかわいいし、苦手なすっぱいグミだって二口くんに差し出されたら食べないわけにはいかない。
・・・予想以上にすっぱくて吃驚したけど。

そんな二口くんをネタに日々妄想に励んでいる私だけど、何と言っても彼が所属するバレー部が一番のネタの宝庫だ。女子が少ない為に大々的に見学などをすると目立ってしまうから、いつも外からコッソリと覗いている程度なんだけどそれだけでもかなりオイシイ。

ちょっと生意気なんだけど先輩達にも可愛がられてるみたいで色々な妄想が頭の中で膨らんでしまう。そして思い浮かんだ事をスカートのポケットに忍ばせているノートに書き留める。

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【二口くん×筋肉先輩】

筋肉先輩を押し倒してマウントをとる二口くん。

「ちょっ、おい、二口何すんだよ」
「何って・・・ナニですよ」

焦る先輩に対して飄々としている。

「はっ?フザけんなって」
「本当に嫌だったら振りほどいてくださいよ」

筋肉、自慢なんでしょ?
そう言って指先でお腹をなぞる。
そのままシャツの中に手を忍ばせて…

「アレ?抵抗…しないんですか?」
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凄くタチっぽい先輩をあえて捻じ伏せる感じがたまんないよね。外からコッソリ見てるだけだから先輩の名前が分からないのがちょっと悔しいけど。
あとはー・・・やっぱり、王道のネコといちゃらぶなのもいいな。


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【二口くん×主将先輩】

誰もいない部室にて。

「ねぇ、先輩。いい?」
「ダメに決まってるだろ!」
「何でですか?たまには俺に独り占めさせてくださいよ」

ロッカーに手をついて主将先輩の逃げ場を奪う。

「なっ…」

そのまま深いキスを落とす。

「ね、いいでしょ。だって先輩のココも…ほら」

膝でグリッと主将先輩のソコを、、
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うわぁぁ!やっぱり年下攻めはいい!敬語っていうところがポイント高いっ!

クラスメイトでも散々妄想したけどやっぱりバレー部の人たちには敵わないなぁ。でも、一番二口くんと関わり合いのある青根くんとは何故か妄想が掻きたてられないのよね。

普段から仲いいみたいだけど・・・青根くんが何だかピュアすぎてそういう事を想像するのすら罪悪感というか。顔がちょっと怖いわりに、とっても優しいからな・・・青根くん。
二口くんと正反対なんだよね。

そんなこんなで、日々自給自足の妄想に明け暮れている私。
大体は教室で少し時間を潰してからバレー部を覗きに行く事が多かった・・・そう、この日までは。

風が気持ちよくてうっかり寝入ってしまった私が目を覚ました時。気配を感じて顔を上げると、そこには私のネタ帳を手にしている二口くんの姿があった。

出来れば夢であってほしい。そう思うもこれは現実に違いなくて、慌てて彼の手からネタ帳を奪取する。


「見た?」


そう聞くと、首肯して肯定を返してくる二口くん。
どうすればいいのか机の上に突っ伏して頭の中でグルグルと考えていた。


「高宮、俺でこんな妄想してたんだ?」
「い、いや・・・これは」


自分をネタにされているというのに、どこか楽しげに聞いてくる二口くん。
何とか誤魔化そうと思っても巧い言葉は出てこない。


「・・・ごめんなさい」


言い訳は諦めて素直に謝罪を口にした。二口くん、こういうの嫌いそうだからつべこべ言うよりも平謝りした方が得策だと思ったから。

だけど、次に私の耳に入ってきた言葉は侮蔑や罵声ではなく、聞き間違いかと疑うようなものだった。


「ねぇ、これバラされたくなかったらさ、俺と付き合ってよ」
「えっ!?」


俯いていた顔を上げて二口くんの方を見ると、口角を上げて意地の悪そうな笑みを浮かべている。妄想で何度も思い浮かべたその表情が目の前にある事で、言われた内容も忘れてつい見入ってしまった。


「どうする?」
「いや・・・、でも」


再度問いかけられた事でハッとして、言われた事を反芻する。
付き合う・・・?私と、二口くんが?

でも、付き合うってこんな風に始まるものじゃないと思う。お互いに気持ちがあって、初めて恋人同士になるわけでしょう?
二口くんのこともちろん嫌いじゃないけど、恋愛対象として考えた事がないから急に言われても分からない。だって今まで脳内で別の人と散々勝手に恋愛させてしまったわけだし。バラされるのは困るけど、何か別の条件にしてもらえないだろうか。そう口を開こうとした時だった。


「あ〜〜!やっぱ今のナシ」
「え?」


ガシガシと頭を乱暴に掻きまわして、椅子へと腰を下ろす彼を見て首を傾げる。
一体、どうしたというんだろう。


「嘘、バラしたりとかしないよ」
「ほ、本当に?」
「うん。・・・でも、付き合って欲しいのは嘘じゃない」


さっきのからかうような表情から一転、真剣な面持ちでこちらを見上げる二口くんに思わず身構えてしまう。


「俺、高宮の事が好きだから」


上目でこちらを見ながら告げられた言葉に、心臓が締め付けられた。
身長差がある所為で普段見ることが出来ない上目遣い。こんなにも破壊力があるものなのか・・・っ!


「それに・・・俺と付き合ったら堂々とバレー部見学出来るよ?」


揺れ動いていた心に、追い討ちをかけるように餌をチラつかせられて。
・・・つい、頷いてしまった。

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キャラ視点とヒロイン視点交互でいきたいと思います。
進みが遅いと感じるかもしれませんが、ご容赦くださいね。
ちなみにCP書くの本当久々なんで適当ですみません。。


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