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世話係の憂鬱な一日

今日は厄日だったか…。


「よし、高宮。その問題児はお前に任せる」
「嫌です」


そんな会話を朝のHRでしたのは先月のこと。
その時に相手が先生だろうがはっきりすっぱり断った。
そう、断ったのだ。

なのに…


「高宮ー!木兎がまだプリント出さねーんだけど!」
 

    いつも      


「葵!木兎君が貸した辞書返してくれなーい!」


    寄ってたかって


「ねぇ高宮さん。木兎どこにいるか知らない??バレー部の事で伝えなきゃいけないことがあるんだけど…」


    みんなして



「・・・・・・・・なんで私に言うかなぁ」


そんな私の訴えは、いつもこの一言で片づけられる。


「「「木兎の世話係だから」」」


・・・・・・・・・・・・はぁぁ・・・・・・
もう盛大なため息をつくしかない。
この一か月、そんなへんてこりんでめんどくさそうな係を引き受けた覚えなど微塵もない。だが、先生が変な発言をしたあの日から、皆して木兎の事を私に言いに来るようになったのだ。
何で私かと毎度言っているのだが・・・聞き入れてもらえたためしがない。
それでも困ってる人が目の前で助けを求めてくると、何かした方がいいかのと思ってついつい動いてしまう。
 

 これがお人よしのいけないところ。


そう友人に言われた。
自分でも思うが性分なのでしかたがない。


「私も探すの手伝うけど、自分たちでも探してね」


そう言って貴重な昼休みに木兎探しの旅へと出る私にクラスメイト達が「よろしくー」とまったく自分たちで動く気のない返事をよこす。コノヤロウと心でつぶやいて、今日はここかなと思う場所へ適当に進む。
いつも同じ所に居てくれればいいものを、木兎はなぜか気分で昼食場所を変える。それに付き合っている友人たちは大変だろうなーといつも感心しちゃう。
さて、今日は天気がいいけど日差しが強いから…


「あ、居た」


木陰が多い裏庭へと向かったら当たり。
バレー部仲間と一緒に、座った状態で器用にパスをつないでいる木兎をすぐに発見できた。

ちなみにこれが私が木兎世話係なんて不名誉なものを任命されそうになった原因だと思う。なぜか私が探しに行くとすぐに見つけられるのだ。
木兎と同じ思考なのかと思うから嫌だし、こんな能力いらないのだけど。こんな事に気付いちゃった先生を本気で呪いそうだったよ。


「木兎ーーー!!!」
「っ?!おーー!高宮ーー!どーしたー?」


近づくのもめんどくさくて、離れた場所から声をかけたが木兎はすぐに気付いてくれた。
お前もやるかーっとなぜか上半身をくるくる回しながら嬉しそうに返事する木兎を見ると、しっぽを振ってる大型犬だなといつも思ってしまう。
そんな木兎にお構いなしに出されたパスは、見事に木兎の脳天を直撃した。


「ナーイス赤葦!木兎の負けなー」


俺コーヒー牛乳なーとかヨーグルトねーとか次々にオーダーが入っていくのを見ると、どうやら賭けをしていたらしい。Vサインをする赤葦君に小さく拍手し、転がってきたボールを拾う。
あんなに意味不明な木兎の動きを見切って当てれる赤葦君ってすごいわ。


「今のなしだろーーー!!もう一回だ!!」


せっかくこっちを向いてくれていた木兎が騒ぎだしてしまったので仕方なく近くまで行くことにする。ボールも拾っちゃったしね。


「木兎うるさい」


私の一言にぬぐっと変なうめきをあげて赤葦君に泣きつく木兎。持っているボールをぶつけなかっただけよしと思ってほしいわ。そんなコントロール無いからやらなかっただけだけど。
いじけている木兎は慣れたようにあしらう赤葦君に任せ、目が合った木葉へとボールを返す。


「さすが世話係。木兎止めるのうまいねー」
「やめて。そんな係嫌だってば」
「っで、今日はあいつどうしたの?」


私のやめてをさらりと無視する木葉は隣のクラスだ。
以前にも世話係と言われ、何でその話を知ってるのかって聞いたら有名だぜ?と返されショックだった。最近では担任でもない先生からも木兎くんの事だけど・・と呼び止められる始末。

なんでこんな事に…まったくもって理不尽!
そんな怒りを込め、赤葦君にじゃれていた木兎の後ろへ見下ろすように立つ。


「木兎!バレー部のマネちゃんが部活の事で伝えたことあるって探してたよ」


私がそう言うと、赤葦君が何か思い当たったのかあぁ、とつぶやく。


「そういえば朝練の後なにか話しかけられてましたね」
「・・?朝練の後・・・・・っあぁ!!!昼行くって言われたわ!」


やべーと慌てている木兎には悪いが、今日の用事は一つじゃない。


「それから貸した辞書が返ってこないって言ってる子と、締め切りが今朝までだったプリントがまだだって係の子が嘆いてた」


よし、用件は伝えたぞ。
目的を果たした私に、木兎以外の部員が呆れ顔になる。


「昨日も高宮さんにプリントの提出念押されてたよな」
「木兎さん、辞書は雀田さんからも借りてるんじゃなかったですか?」
「あー部室で返せって言われてたな。お前、忘れすぎだろ」


皆からの非難に、そんなに言わなくても…とちょっとめんどくさいしょぼくれモードに入りかけている木兎。自業自得のくせに勝手に落ち込んでやる気なくなるとか性質が悪い。

だが、そんな時はちょっと持ち上げてから、だんだん自信を持たせ、最後に褒める。
そうすれば単純な木兎はすぐに浮上するから。


「よっしゃー!任せとけーー!」


そういって全力で校舎へ走っていく木兎を見送り任務完了。
毎度同じようなセリフで褒めてるのに浮上できる木兎って本当に素直すぎるよね。
私も戻るかと残された部員たちに手を振りながら


「プリント出すまで部活行かせないから少し遅れるかもー」


とだけ告げておく。後ろの方で「さすが世話係」って言っているのが聞こえるが聞かなかったことにしておこう。
しかし、昼休みは辞書の返却とかで終わってしまうだろうけど木兎はプリントできるのだろうか?たしか結構難しかったような気が…
あれ?あいつ、少し遅れるどころじゃなく部活に行けないのではないか?あれ?もしかして私巻き込まれるパターンじゃないよね???


プリント提出してから部活に行きなと後で念を押しておくとして、今日はチャイムと共にダッシュで帰ろう。
そう固く決意したのだが・・・

その決意は思わぬ妨害を受けることとなる。


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木兎書きやすいwwアホッ子好きみたいです!
しかし1話で書ききれない文才の無さ・・・・いつも長々すみません。

write by 朋


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