■ 3


 その拍子に射精してしまったらしく、気がつくと待ち望んだ射精感が訪れていて、体中に溜まった快楽をまとめて押し流そうとしていた。が、尾嵩が再び胸を抓り、腰を揺らすと、快楽は際限なく湧き上がる。イッたはずのモノも萎える気配がなく、硬くそそり立ったまま再び与えられた快感に震えている。

「あっ、うあっ、あっあっ! も、……ぅ、あぁあああ、あ、っふ、ぅう、ぁぐううっ」

 もうやめてくれ、いい加減にしてくれ、もういい、もうたくさんだ。そう言いたいのだが、一言も言えずにひたすら喘ぐばかりの口が呪わしい。なんとか口にしなければ。いつまで経っても解放してくれない。負けを認めれば、この拷問じみた行為も止めるだろう。負けたなんて思いたくないが、それしかない。そもそも、俺は実力では負けてないはずだ。そうだ、俺が負けたのは薬だ。薬の効果に負けただけだ。

 だから、いい。もういい。俺の負けでいいから、やめてくれ。

「あ、っ、い……っはぁ、あ、……も、もう……」

 ようやく口に出せそうになった途端、また尾嵩が俺の脚を掴み、繋がった部分を円を描くように揺らす。そのせいで声はまた乱れ、喘ぎに変わる。

「っぅ、ふぁ、あっ、んぅ、はぁ……っあっ、ああっや、もう、あっぁ、も……いっ、いいっ……!」

 やっと僅かに言葉になったとたんに、尾嵩の動きがぴたりと止まる。

 ああ、通じたのか? わかったのか?そう思って、視線を向けると、尾嵩は妙に嬉しそうに笑っている。

 恍惚としたような眼で俺を見つめながら、涎でべとべとの口元や熱く上気した頬に触れて、まるで愛しむようにそろりと撫でた。

「素直だなぁ、垣澤。いつもそう素直ならもっと可愛げがあっていいんだけどな」

 可愛げだと? どこに眼をつけて物を言ってるんだ。
 貴様に可愛がられるような覚えはない。というか、また馬鹿にしてるのか、畜生。

「まぁ、やっと素直にイイって言ってくれたんだからな、たっぷり可愛がってあげるよ」

 尾嵩が微笑む。

 ああ、本当にこいつは顔だけ見てれば好青年だ。霞みそうな意識の中でぼんやりとそう思った次の瞬間、俺の腰を両手で支えた尾嵩が、勢いよく腰を振るい始めた。

 それも、あの衝撃を生む場所を立て続けに抉るように。

「んっ! ぐっ! うあっああっあっが! あぁああっ! ひゃっあぁ! あっ!」

 限界まで撓った背筋を凶悪なほど激しい快感が何度も何度も貫いていく。ああっ、だめだっ、やめろっ無理だ、こんなのっ、頭がどうにかなっちまう!

 なんでこんな、ああ、畜生、いったいなにを聞いてたんだこいつは! 俺は、素直に嫌だと、いや、待てよ、こいつさっき何言った?

 素直に、イイって言ってくれた、とか、言わなかったか? ああ、くそ、この早とちりめ! 違うんだ、馬鹿! もういいって言いたかったんだ、俺は!

 この俺の状態を鑑みれば解るだろうが! 解らないなら幼稚園に戻って他者の情感の機微の読み取りを学び直してこい!

「はは、お前がこんなによがってくれるなら、もっと早くしてれば良かったなぁ。まぁ、もうすぐ冬休みだし、休み中にいっぱい可愛がってやろうな。どうせお前もいまさら受験勉強なんてしなくても余裕だろ?」

 なに、言ってんだ、こいつはっ。日々の研鑽なくして結果が出ると思うかっ。いや、そうじゃない、休み中可愛がるってなんだ、なんでそんなこと。冗談じゃないっ、こんなことはこれっきりだ!

 二度と、お前のいいようになんかさせるものかっ。

 おれは、もう、こんなばかげたこと、し、しな、しないか、ら、

「可愛いな、垣澤、っん、ほら、もっと声出してみろよ?」
「ぁっ! ――ぅ、 ぁっ、あ、ぁあっ!」

 だめだ、ちくしょう、もぅ、あたま、まわらな、あ、ああ、っく!

「すご、ははっ、見ろよ、コレ。腹にカウパーで水溜り出来てるぞ」「あっああ! あ、や、やめ、や……っ!」

 お、おかしく、な、るっ、あ、おかし、いだろ、こんな、こんな、しりぐちゃぐちゃ、されて、なんで……なんでこんなに、

「ん、もう、やべえ、イきそう……っ」
「ぅあ! はぁ、ああぁ、はっ、あ、ぁあああああああ!!」






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