Piece26



「私の告白覚えてる?」
「……ソランの造った人形っつってたな」
 アインは後ろで手を組んだ。
「元々は彼の生活補助目的。生活能力のない研究馬鹿だったから」
「ひでえ言いぐさ」
「現実に目の当たりにすると結構くるものがあるわよ。人形でもどうにかしなきゃと思う人間ってソランぐらいだったと思う」
「……それが、奴の遺言で目的が変わったってわけか?」
 うん、とアインは顎をひいた。
「それと、私の仕組みも多少」
 ギレイオはごつん、と後頭部を壁に預けた。
「生活補助が目的だったんだもんな……」
 極端に言えば動けばいいようなものである。欲を言って言葉が話せれば更にいいぐらいで、今のアインが果たす役割には背伸びをしても機能が足りず、低く済ませていた容量は増設しなければ増やすことは出来ない。ただ、ギレイオが見たところではそういう様子もなかった。あるもので補った感が拭えず、その代償が容貌の変化なのかもしれない。
「元々、色んな機能が入る余地がなかったのよね。でもあなたを捜し出すにはネットワークへの接続は不可欠だし、見つけたならそこへ行く足が必要でしょ」
「……それがこの飛空艇か」
 投げ出した体に伝わる金属の冷たさが心地よい。
「ラオコガには最初、正体を伏せてお願いしていたんだけど、途中から隠しておくのも限界だなって」
「……飛空艇にわざわざしなくても良かったじゃねえか」
 アインは頭を振る。
「私一人じゃ絶対に旅は続けられない。冒険者を雇って地の利を頼っても、確実に行けたかどうか怪しいし。あなたへ辿り着くのに一番安全で確実な方法を頼ったら、空の旅になっただけ。まさかトンネルを掘って行くわけにもいかないでしょ。それにお金もそんなになかったし」
「……ないないづくしで、人手を集めることだけは出来たってわけか」
「ラオコガには本当に感謝してる。人を集められたのも、飛空艇を造れたのも、みんな彼のお陰よ」
 アインは心から感謝を口にしているようだった。その姿に、ギレイオはかねてからの疑問をぶつけてみる。
「……お前のそれは、人みたいだな」
 赤い瞳がギレイオを見据えた。
「あっさり聞くのねえ」

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