Piece4



「爆弾だよ、爆弾。どっかの馬鹿がやってんのか何なのか知らないけどさ、いい迷惑だよ」
「爆弾ねえ……」
「こないだから頻発するもんだから、ギルドに頼んだってのに。向こうさんは何やってんだかね。ここんとこ大人しいと思ったら、今日に限ってこの騒ぎだろう。たまったもんじゃねえよ」
「へえ。犯人は?」
「さあね。噂だけなら女の子だとか、変な生き物だとか、男だとか色々あるよ。全部聞く?」
 鼻で笑いながら男は振り返った。つまりは、噂だけ一人歩きをし、確固たる犯人像が掴めないでいるということだろう。
 それなら、とギレイオは安堵した。特に首をつっこまなければ火の粉がかかる心配もないし、自分たちに関わりある事件にも思えない。こちらはこちらでやるべきことをやり、爆弾魔には誰か別の者に引導を渡してもらうとしよう。
「ギルドに頼んだってのは本当か?」
「なんだい、あんたも金稼ぎしようって?」
 ギレイオは肩をすくめて応える。男はけらけらと笑って手を振った。
「頼んだのは本当だけど、どうだろうね。これだけ派手だと、今日は捕り物でもやってんのかもしれないけどさ。冒険者を見たって話もあるから、今更出番はないと思うよ」
 そりゃ残念、と気のない返事をしてから、思い出したように男に聞く。
「それと聞きたいんだけどさ、車の部品なんてのを置いてる店ってある?」
「車?」
 男は体半分向けて二人を見て、その背後に蹲る中古の車へ視線を飛ばす。話好きのする性分のようだから、町の情報の類も持っているのではないかとふんだのだった。
 そして案の定、頭をかきながら、男は西側を指差す。
「ああ……また随分古い車だね。それだと、西に酒場があるから」
「酒場で修理してくれんの」
「んなわけないだろ。冒険者が情報交換に使ってる酒場なんだよ。そいつら目当てに、町で店出してる連中も来てるから、マスターに聞いてみな」
「ありがとよ」
 一通り情報を出し終えて満足したのか、男は大きく背伸びをしてどこかへ去っていった。その背中を見送りつつ、ギレイオはサムナに向き直る。
「じゃあ、俺が酒場行って部品貰ってくる。お前はここで待ってろ」
「……おれの左腕は?」
 車の後部座席にあったはず、と見回していると、ギレイオは運転席の脇から白い布に包まれた細長い物を取り出した。ベルトを巻いて、背負えるようにしてある。
「俺が持ってく」

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