aereo;3──decimo


「自分は確認を怠りませんでした」
「では、誰が実弾にすり替えたのだね」
「少なくとも整備の人間ではありません。事務の人間が入ればすぐにわかりますし、関係者以外なら尚更でしょう」
「テスト飛行の前に一度、後に一度、君は整備に入っている」
「整備主任ですから、当然です。前後に一回ずつ、個人的に細かい調整も何回か行っています。弾倉へは本番直前に空砲を積めました。いつもそうしていますし、実弾でないことは他の整備士も確認済みです」
「では、整備ミスではないと言うんだな」
「最初からそう言っています」
「では誰なんだ、アヤセの機体に実弾を積んだのは。……見当はつかないのかね」
「──ミワではないのですか」
「馬鹿な。定期的なカウンセリングも正常を示している。彼はこの基地では一番まともなぐらいだよ」
「……」
「もういい、下がれ。処分は追って知らせる……が、原因がわからん以上、謹慎の延長と減給ぐらいだろう」
「……ミワの遺体は今どこに?」
「総司令部の遺体安置室にある。最後の別れでもしたいのか?やめておけ。回収しきれなかった部分もあるんだ。見たって別れを惜しめるような状態じゃない」
「了解しました」
「アヤセはどうしている」
「通常勤務から外されて、今はずっと格納庫にいます」
「問題はそっちだな。アヤセとミワが懇意にしていたようなことは?」
「ありません」
「痴情のもつれを疑う声もある。まったく、頭の痛くなる話ばかりだ」
「……もう失礼してよろしいでしょうか」
「許可する」
「では、失礼します」
 タカナワは敬礼して退室した。


fin

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