第四章 長い道
──なのに。
アスの無知が悲劇を招いた。
それすらも認めない上、罪のない兵士をも斬り捨てたアスをどうやって許せと言う。まだ彼らには生きるべき道が残っていたはずなのだ。
何故逃げた。
何故話さなかった。
何故認めなかった。
何故──斬った。
リミオスに対する不信も募る。だが、それ以上にアスが憎い。
信じられるものなどなく、同様に寄る辺もなかった。
何かに頼るにはあまりにも自分は卑小すぎ、何かに頼られるにはあまりにも自分は弱すぎた。
──けれど。
もういないのだ。手を引かなければならない相手も、剣で負かされる相手も。
たった一人の片割れとの縁を、この時ライは完全に断ち切った。
強くなれるように。
──次は、斬れるように。
四章 終
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