俺と僕とそれから | ナノ


05


「あー、なんだお前弱いじゃん。こんなんでよく三天宝寺中だっけ?しめれたなぁ。なんだ?他の学校しめてるやつらもこんなに弱いのか?」

友哉は三天宝寺をしめてる少年の髪を乱暴に掴み顔を上げさせ問う。

「う、嘘やろっ…!お前がこんなに強ガァッ!?」

友哉は容赦なく少年の顔面を地面に打ち付けた。

「はい黙ってー。黙ってー。黙っちゃってー。俺が聞いてんのは他の奴らの強さだ。お前の感想じゃねぇ。さっさと俺の質問に答えろ。」

「っ自分に、何か負ける、はずないやん…俺だって今日は油断しッ!」

「ハイハーィ、そんな言い訳セオリーだねぇ。俺はそんなことを言う奴には力の差ってぇのを見せ付けることにしてんだわ。」

冷たく少年を睨む。少年はいつも弱気な謙也の目しか見ていなかったため、今の謙也の瞳。友哉の冷たい視線に怯む。

「ヒィっ!?」

「なぁお前。学校をしめてんなら他の学校しめてる輩知ってるよなぁあ?俺の学校まで連れてこいやぁ、あ?いっぺんに相手になってやらぁ。」

語尾を上げ、挑発するように、相手を馬鹿にするように友哉は少年に語りかける。そして口答えをするようなら、少年の体を全体重をかけて踏みつける。

「誰が自分の言うことな、グェ!?」

「俺お前に連れてこないなんて選択肢与えてなんかねぇんぜぇえ?お前は、今日、俺がボコッたお前の怪我が治ったらでいいんだ。牛耳ってるやつらを俺の通ってる学校。四天宝寺中に連れて来ればいいんだよ。いいんだぜ?俺はこのままお前を再起不能にしてもよぉ?」

「ヒっヒィイィィィィッ!?」

少年は友哉のあまりの怖さにその場から逃げだした。そして友哉はその後を追いかけるようなことはせず、その場でお腹を抱えて笑い声を上げだ。

「アッハッハッハッハ!弱っちぃ!敵前逃亡!?バッカじゃねぇの?アハハハハハハ!(見ろよ謙也!お前を殴ったやつがお前の格好の俺にから逃げ出したぜ!さっきまでのデケェ態度はどこ行ったんだっつーの!)」

(友哉本当に喧嘩強いなぁ。)

(当ったりまえだろ!伊達に関東の学校しめてたわけじゃねーんだぜ?俺様は強いんだ。誰よりも、何よりも。これだけが取り柄の不良少年なんだぜ?しっかし…謙也の体動かしやすいな!やっぱスポーツやって均等に筋肉がついてるからか?)

「あ、の!助けてくれてホンマありがとうございました。」

「ん?」

(さっきまで殴られとった子や!って財前やないか!?)

(知り合い?)

(……部活の後輩。俺を嫌っとる…。ちゅーか関わったこと無い。)

(なんで関わる前に気づかなかった!知ってたらもっとシカトしてただろテメェ!)

(やって暗くて顔見えへんかったんやもん!そのことについてはコメントせぇへん!)

(あ、そしたらこっちの顔も見えないんじゃね?街灯背に受けて逆光だし、それに俺髪ブリーチ初日だし、こいつもその事知らねぇだろうしよ。)」

「どしたんすか?」

「いや何でもねぇ。お前も夜の街歩くんだったら気を付けろよ。」

「はい、今後気を付けます。」

(なんや素直な財前も気持ち悪いなぁ。)

「(いつもは素直じゃねーのか)おう、そうしろ。」

「名前聞いてもええですか?」

「え!?…あぁ、守本友哉だ。」

(なんでお前の名を名乗るんや!)

(は?お前、今こいつに嫌われてんだろ。関わらねぇ方が良いだろうが。)

(あ、せやな。)

「友哉さんっすか…。」

「じゃ、俺行くわ。」

「あっ……。」

友哉は財前から逃げるように走り去った。謙也とバレる前に謙也の家に戻った。そしてベッドに突っ伏す。

「っはー、喧嘩ってやっぱいいなぁ。スカっとするぜ。」

(お疲れさん。)

「謙也も戻れたら喧嘩してみろよ。楽しいぜ?」

(俺は大人しくテニスするわ…スカッとしたいんなら。)

「チッいいなぁ、スポーツ少年は。」

(それよりも今度は大勢と戦うんやろ?ホンマ平気なんか?)

「は?それ誰に聞いてんの?俺、30人同時に相手にして勝ったことあるけどなにか?」

(……友哉凄すぎるわ、それ。)

「ま、安心しろ。謙也になったつーんもなかなかイイね!喧嘩を散々できるし。最近俺他の奴らから怖がられててよー。他人と喧嘩どころか会話すらしてなかったんだわ。これが。唯一話しかけてくれてた奴は入院しちまうしよ。」

(友哉…それ寂しくないんか?)

「寂しい?そんな感情持ったこと無いな。多分そんな感情抱く前にその辺のチンピラ殴って発散してるかもー?」

(…………。)

「ま、俺のことなんてどうでもいいじゃん。さして問題じゃねぇだろ。あぁ、三天宝寺君はいつ来てくれるのかな。それだけが楽しみだぜ!」

(…おやすみ。)

「おう、しっかりおやすめ。」

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