「とーぜんじゃろ。謙也君そねーな真っ青な顔せんでよ。萌えちゃうじゃろ。」 |
ハァイ!氷帝学園男子テニス部マネージャーの主にもう一人のマネをいじめつつマネ業をさぼっていると噂の方、椿崎撫子です!!正直疲れました。本気です。こんなに病んだのは初めてかも知れない。仁王に虐めたれていた時とは比べ物にならないくらいの精神的・肉体的疲労。小学校の頃の虐めと比べちゃ、ダメだったか。侮ったわ。 さて、今回何故私がこんな不憫な目に遇っているかというと、子猫ちゃんが夢小説で言う逆ハー主だったようです。私はまんまと嵌められたのです。可愛い子ちゃんだからと言って油断しました。可愛い子だからって心を許しすぎちゃいけないのね!こんなところで学びたくなかった。 子猫ちゃんは定石的に私の目の前でドリンクをかけてあること無い事言いやがって、私を悪者にして。 その時の私は甘かった。忍足や跡部が信じる訳がないって踏んでいたのだ。だって私との関わりの方が長かったし、それなりに信頼関係を築いていると思ったから。 でも、ダメだったね。私を簡単に捨てた。仕方のないことではあった。子猫ちゃんに逆ハー補正がかかってたんだ。子猫ちゃんの方を簡単に信じた。 言葉にしてみると辛いね。捨てられたって、裏切られたって、普通に生活してたらそんな単語とは二次創作でしか関わらないものだと思っていたのに。 今日は、四天宝寺との練習試合。 毎日毎日精神的にすり減って正直辛いんだけど、行かなきゃいけない、よね。 四天宝寺も逆ハーかかってんのかな。子猫ちゃん、また私を悪者にするのかな。 もう…どうでも良すぎることなんだけどな。四天宝寺もそうであったとしても私のやることは変わらない。ただただ毎日サンドバックとして役割をこなせばいいんだ。 「撫子さーん!来たでぇ!東京お久しぶりやぁ!!」 「撫子さん!お久しぶりです!」 次の日、撫子はかなり早めに来て下準備を済ます。でないと女子は仕事しないし、部活中は絶対に仕事不可能な状態に自分が陥ることを今までの経験から得たからだ。 作業がひと段落して四天宝寺を校門で待つことにした。そうしたら四天宝寺の団体がやってきたのだ。 「…あぁ、蔵さん光君お久しぶり……。」 いつもなら撫子が神と崇め讃える白石と財前が視界の中に入ったらテンションMAXのあげぽよ状態なのだが、今日はとてもテンションが低い。そんな様子に疑問を抱いた白石が質問をした。 「…なんかあったんか?」 「あー…何もないよ?ちょっと寝不足なのかな?昨日、ネトサしてたら気づいたら夜中でさ!あはは!さて、皆今日は氷帝も本気出すから、頑張ってね!」 「あぁ、そりゃ頑張るけど……。」 「私は裏で仕事してるから、もしマネに用があったら…もう一人の方に、よろしく…。私とはできるだけ関わらないでくれると嬉しいな。今日は失礼を働く気がしてね。」 撫子は言葉短めに言ってコートの方に案内してすぐに離れる。 「…なんや?もう一人のマネって…そんなん居ったんか?」 「部長、なんや…嫌な予感しかしませんわ。」 「禿同や。」 すぐに練習試合が始まって、白石も財前も撫子どころではなくなっていた。 と言うよりも、撫子の言ったもう一人のマネが自己紹介してきたのだが、それに腹が立ちすぎて心頭滅却しなければ、すぐに握りこぶしを作って顔面にぶち当てていたかもしれない。それはとても社会的に大変なことになることは予想されていたから、無心で試合に臨んでそのもう一人のマネの存在を消すことにしている。 そして休憩時間に突入した。 「あー…今思い出してもめっちゃ腹が立つわ…なんなんあの女子『初めましてぇ、四天宝寺の皆ぁ会ぃたかったよぅ。ぁたしぃ撫子ちゃんに虐められてぇ辛ぃのぉ。だからぁ助けてぇ?』って……撫子さんがそんなことするわけないやろ!!」 「部長、マネ上手いっすね。一氏先輩に勝てるんちゃいますか?」 「あの女に似とる言われても嬉しゅうないわ。」 「やけど…撫子さん……。部長、ホンマに嫌な予想しかできてないんで様子を見に行ってもいいですか?」 「せやな。…小石川ー、ちょうまとめるの頼むわ!具体的には金ちゃんの制御頼むー!!」 「任せときー!」 二人は撫子レーダーを駆使して撫子を探す。 マネージャー室にも居なくて、何処にいるんだろうと思ったら、居た。部室の裏側。 周りに氷帝メンバーが居て、中心で蹲って居る撫子の姿。どうやら意識を失っているようだ。 「「!?」」 「自分ら何やっとんねん!?」 駆け寄って撫子を庇う。 「アーン?白石に二年の財前か…邪魔すんなよ。こいつはもう一人のマネをイジメてんだからよ。それを止めろって注意しても止めねぇこいつが悪い。」 「やけどっ!これは酷いんとちゃいますか!?」 「光くぅん、ぁたしのゅぅ事信じてくれないのぉ?ぁたしぃ、もぉ辛ぃのぉ!景吾達はぁ私をぉ守ってくれてるんだょ?だから光君もぉぁたしぉ守ってぇ?」 「……ふざけ――ッ!?」 ふざけんな、と財前は言いたかったのだが、それは叶わなかった。白石に口を塞がれてしまったから。 「ホンマやなぁ、酷いことをされたんやなぁ自分…やったら俺らも守ってやるわ。」 「―――ッ!?」 「蔵ぁ、信じてくれるのぉ?嬉しぃ!」 「手始めに撫子さん、くれるか?御礼参り、俺もしたいんや。自分らもう満足したやろ?」 「あぁ、いいぜ?そんなやつ…いらねぇ。」 跡部の許可を取って撫子を肩に担ぎ財前を引きずるようにしながら四天宝寺に割り当てられた部室へと戻って行った。 「「「なっ!?」」」 部室にて待機していたメンバーが白石に担がれている撫子の状態を見て言葉を短く漏らした。何故あんなに人当たりの良い撫子がこんな目のあっているのか疑問しか浮かばない。 白石は撫子をソファーの上に寝かせてから神妙に口を開いた。 「…撫子さんは…イジメに遇っとった。…しかも氷帝の奴らに……。」 「どういうことなんや!?どうして椿崎がそんな目に遇っとるっちゅー話や!!」 「多分…あの女に騙されとるんやろ。あの女…逆ハー主、か?」 「逆ハー?…ってなんや?」 「んー…掻い摘んで言うとこう言う事や。――――――。」 白石は二次創作特有の設定を述べた。なるべくわかりやすく、パンピにも分かる様に。それから撫子が今置かれている状況もほとんど推測ではあるが説明した。 「そんなこと…あり得るんか……。」 「俺らに補正がかかってないことだけが今の所救いやな。」 「部長、ホンマにかかっとらんのんですか?さっきの発言はなんやったんですか?」 「あぁ、それはな。あの女を地獄におとすための布石や。あの女はちやほやされるためにここに来とる。やったらちやほやして突き落とせば、懲りるやろ。後、氷帝の奴らも目が覚めると思うわ。」 黒い笑みを浮かべて笑う。 「流石部長、伊達に二次創作をやってるだけありますね。その考え、のりますわ。」 「……二人、…怖いで?」 「「当たり前やろ(ですやろ)。俺の嫁の撫子さんがこんな目にあっとるんや。復讐するに決まっとるやん(決まっとりますわ)。」」 「さいですか…。」 「うッ……―――え?な、んで私…ここ?みんなに囲まれてて、それに…。」 撫子の意識がもどった。いつの間にか移動しているため少し動揺。 「あ、撫子のねーちゃん!?気ぃついたんやな!!…ッ!?」 金太郎が撫子を心配するように声をかけ、肩を叩こうとしたら撫子にその手を払われた。 皆がその行動を見て驚いた。金太郎の姿を見たら自ら飛びついてくる撫子なのに、今、撫子は手を叩き落したのだ。 「撫子…さん?」 撫子も自らの行動に驚きを隠せないようで一瞬動きが停止した。それから体を小さく丸めて防御態勢になる。 「あ、ッ……ごめ、ごめんなさい、ごめんなさい!ごめんなさいぃい!!反抗してごめんなさい、反省してます。反省してますから!!これ以上殴らないで、蹴らないでぇ……ッ!!ヤダヤダやだヤダやだァ…もう嫌だぁ……痛いよぉうぁああッ私じゃないの。私は何もしてないのぉ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいッッ!!!」 気が動転しているようでしきりに謝罪をしてくる。そんな痛々しい撫子の姿を目の前にして白石達は息を飲むことしかできなかった。何もすることが出来ない四天宝寺メンバー、しかし一人動いた。撫子の目の前に跪いて撫子と視線を合わせる。 「椿崎はん、よう頑張りましたなぁ。偉いなぁ椿崎はんは…。せやけど、もう頑張らんでもええで?今まで頑張りすぎたぐらいや。ワシらが、四天宝寺が守るから、この状況を打開したるから安心すればええんやで?」 「…石田君、ごめッ…私が、ちゃんとしてないから…こんな状況の氷帝と練習試合を組まして、ごめんなさい…!!私が、悪いから、私のせいでッ!」 「椿崎はんのせいやあらへん。氷帝がシャキッとした意思を持っとらんせいやから…今はゆっくり休みなはれ。」 「…っ石田君、お母さんみたい。」 「お母さんかぁ、せめてお父さんにしてほしいわ。」 「ふふ、ツッコむところそこなんだ。」 「撫子さん…俺らが助けてやるから、今はゆっくりしときや。あ、小春。撫子さんの手当してくれるか?」 「OKやで!!撫子ちゃんちょっとジャージ脱いでくれるぅ?」 「うん、ありがと…。」 撫子が長袖のジャージを脱ぐとあらわれたのは痣だらけの腕。 「「「ッ……。」」」 「こんな肌じゃぁ、当分コスプレ出来ないよねぇ。アハハ……。」 「撫子さん…絶対に、敵とって来ますから!!」 「…光君、ありがとう。」 「じゃぁ皆、今からさっき話したこと実行するで? 嵌めたもん勝ち…。」 「「「やり返したもん勝ちや!!」」」 こうして四天宝寺による逆ハー主を逆に嵌めてしまおうという計画が始まった。 作戦その一、とりあえず逆ハーにかかったふりをする。 作戦その二、気のあるふりを徹底する。 作戦その三、あちらから告白してくるように仕掛ける。 それらはすべて成功した。 実際今は作戦その三中。女子から白石に告白してくるようにしむけることが出来た。 それから作戦その四、その光景を氷帝メンバーに女子にばれない様に見学させる。 これも小春や小石川などの話術によって成功させることが出来た。 「ぁのぉ、蔵ぁ…ぁたし、蔵の事がぁ好き、なんだぁ!キャッ言っちゃった!だからぁ、ぁたしとぉ…付き合って?」 「んー…パスや。誰が自分なんかと付き合うかダァホ。」 「な!?そんなこと言ってもぃぃと思ってる訳ぇ!?」 「ハァ?言いもなんも自分こそそんなぶりっ子やってええと思っとん?正直気持ち悪いわ。吐き気がするわ。そもそも撫子さんを嵌めよってから…許される行為とちゃうで、それ。」 「なぁんだ、全部知ってるんだ。だったらぁ、ゅぅ事のきかなぃキャラなんて、ァイツと同じ目にぁぇばぃぃんだ!せぃぜぃ苦しんでね?……………ッキャァアアアアアアアア!!!」 いきなり叫び始め自らの服をビリビリと破り始めた。とても滑稽な光景だ。白石は冷静に冷めた目でその光景を見つめる。 そしてすぐに氷帝メンバーが駆けつけないことを不審に思った女子は自分のしていた行動を止め、困惑。 「ぇ?なんで、来てくれなぃの?ぁたしがょんでるのに。」 「ククククッ…なぁ、自分、こんなにいっぱいあった視線にも気づかんでようそんな大根役者も真っ青な演技出来るな。皆ぁ、出てきぃ。もうええやろ。」 白石がそう言うと影から皆が出てきた。 「お前…そんな奴だったのか?アーン?」 「景…吾、違う!!ぁたしゎ!脅されてこぅゅぇって!!」 「甘いなぁ自分、動揺しただけで口調が変わるとか…演技なんバレバレやん。」 「ッ………キャーハハハハハハハハハハハハハ―――……。」 女子が高笑いをしたかと思ったらだんだん体が透明になっていって最後には声すらも聞こえたくなった。多分元の世界に強制送還されたのだろう。 「ハァ…上手くいったわ。」 「部長、めっちゃ生き生きしとりましたね。」 「当たり前やろ。一番生き生きせんといけんとこや。」 「チッ、俺も言いたかったすわ。」 「で、や…氷帝諸君、目ぇは覚めたか?」 白石がどすの利いた声で氷帝メンバーを睨む。氷帝メンバー、言い返す言葉が見当たら無いようだ。無言を貫き通す。 「自分ら、仲間やったんとちゃうんか?俺らが望んでもなれへんかった同じ学校の同じ部活の仲間やったんとちゃうんか?なぁ、どんだけ愚か者なん自分ら。」 「「「………。」」」 「やから…さっさと撫子さんに土下座でも何でもして謝らんかいド阿呆がぁあ!!!」 「「「!?…ッ。」」」 「蔵さん、そんなに怒鳴らないであげてよ?」 怒鳴り声を聞き付けたのか、撫子がジャージを羽織って登場。 「撫子さん、大丈夫なんか!?」 「うん、とっても大丈夫。ありがとね、私の代わりに色々してくれたようで。」 「撫子さんの役に立つなら本望ですわ!」 「私は別に怒ってないよ?………って言いたかったんだけど、無理だわ。 私性格ひん曲がっているし、そんなハッピーエンドにできるほど心は広くないんでね。 さぁ?氷帝メンバー、二人組組めや。それからどっちが攻めか受けか私に言って来い。 一人でも言ってこなかったら、お前ら全員モブにまわされろ。あ、私に言って来るときはアヘ顔ダブルピースしながら『俺ら付き合ってます。こいつのテク最高』とか言って来い。録画・録音してやる。」 「あ、…あ……なぁ、撫子?勘弁してくれへん?」 「ハァ?私が同じようなこと言って止めてくれなかったのはテメェらだろボケ。それか、今ここで土下座して謝るか?それしたら考えてやんよ。」 「「「「「申し訳ございませんでした!!!」」」」」 氷帝メンバー、一斉に土下座。 「あは?んーーーーー、やっぱ書ーこお。」 「何やて!?」 「嘘ついてねぇからな。考えた上での結果だしぃ?表紙はガチホモビデオの表紙のコラにしてやる。」 「椿崎…まさに外道やな……。」 「とーぜん。謙也君そんな真っ青な顔しないでよ。萌えちゃうじゃない。」 ―――――――――――――― 500000hit企画第2弾 華毬様リクエスト「青春主が逆ハー主に陥れられて精神ぼろぼろなところに気づいて逆にキャラたちが逆ハー主を陥れる」でした。 無駄に長くなってしまって申し訳ないです。 陥れる、と言ったらどんなに添削して短くしようと思ってもこれだけ長くなってしまいました。もっと他のキャラたちにも喋ってもらいたかったんですが、収集が余計につかなくなってしまったので挫折です…orz 銀さんが慰め役にまわったのは四天宝寺で一番の良心だと思っているからですw |
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