Kuroko's Basketball | ナノ


02


「ちょーっと語らせても貰うぜ?黒子っち!
お前、自分が仕出かしたこと知らねーの?無意識なの?お前が関わってハッピーエンドに終わった事一つもないんだぜ?どの学校も誠凛に負けてさぁ。新設校に負けるってどんだけ屈辱的な事か知らねーの?あ、別に誠凛を貶してる訳じゃねーぜ?一般世間論。バスケでもテニスでもバレーでも新設校に負けるのって屈辱でしかねーんだよ。俺らの学校なんて言われてるか知ってたか?歴戦の王だぜ?王がさー。負けたらさー。同級からの風当たりも教師からの風当たりも強いって何の。俺らバスケ部今学校では軽蔑の目で見られてんだぜ?分かる?俺らの学校だけじゃねーぜ?どの学校も歴史ある学校だった。なのにさー。新設校なんかに負けてさー。キセキ以外の俺らも辛い目あってんの。ったく嫌んなるよな。誠凛の力って今相当なもんになってんのに、それを分かるのはバスケ経験者だけっつーね。俺らがどんだけ『誠凛強ぇんだって!マジ!!』なんてことを言ってもただの言い訳なの。聞く耳持たねぇのな。先入観って怖いな。新設校=弱小ってな。これだからスポーツ知らねぇ奴は困る。スポーツの常識が通じねぇの。マジ怖ッ!
それに気づいてねーの?お前は自分の理想をただただ他人に押し付けてそれを実現させて自己満足に終わってること知らねーの!?青峰は温くなった。鋭いバスケをしなくなった。逆に弱くなったなんじゃねーの?何事にも人を殺す様な覇気は武器に何だよ。人の出鼻を挫くって大切な事なんだぜ?なのに今の青峰、なーんも感じねぇ。昔の青峰君に戻ったとでも言いたいの?戻ってねーよ。むしろキャラが右往左往して部活仲間にも迷惑被ってるっつーの!緑間だってチームプレイなんて覚えてさー。別に淡々とゴール決めてくれりゃ点になったっつーのによ。心を入れ替えたかしんねーけどマジ無いわ。勝てる試合も落としてきてるかもなー。あー、悲しい。紫原だって知らねーでもいいことをお前は気づかせちまった。バスケってよー、楽しい反面体への負担って相当なもんっしょ。紫原が本気でバスケをやりだしてみろ。あいつすぐに体壊すぜ?体だけがデカくて練習は嫌。絶対筋トレなんかしてねーだろ。そんな身体じゃ持つもんももたねーっしょ。あいつは無意識的にバスケを嫌いだと思って必要以上の事はしてこなかったっつーのに、楽しさを知っちゃったらやりたくなるだろうがよ必要以上にな!!赤司だってそうだ。赤司の考え方も一理あるだろう。この世は勝ってこそだ。負けなんてただの悪歴。勝ちが全て、勝てばいいんだよ!そんな考え方を変えた赤司はそろそろ落ちるんじゃねーの?そんな甘い考え方を持ってちゃ洛山の主将なんてつとまんねーだろうし。
分かるか?お前は既にこれだけの人間の価値を変えたんだ。それに黙ってないのがファンっつーもんだよな!青峰の冷めた態度に惚れたファンは怒るよな!緑間の一匹狼って態度に惚れた奴らも黙っちゃいない!紫原の身体を壊す様な発想を思いつかせてしまったんだ、恨むぜ?ファンっつーのは。赤司ってその理想に同意した奴らはお前を憎む。…本当、自分から嫌われに言ってるもんじゃん。
そうそう、キセキアンチは勿論居るだろう。でもそれはお前へのアンチでもあるんだよ。お前は言ってたな。僕はキセキの世代なんかじゃないって。いやいや、お前もキセキの世代だよ。お前も天才様の仲間だよ。あ、天才なんかじゃないって訂正すんなよ?お前は生まれついての天才だ。天才じゃなければ今のレギュラーをどうやって勝ち取ったんだよ。パスの才能があったからだろ?天才じゃん。凡人がどうやったってそんなパスは出来ねーぜ?あぁ、最近じゃシュートもドリブルも出来るんだっけ。天才じゃん。それで天才じゃないとか言ったら流石の俺もキレちゃうかなー?天才じゃないって言うのはお前ご存知のレギュラーから外れてるやつらの事を言うんだよ。て言うか?お前が天才じゃないとベンチの奴らは納得したくねーと思うぜ?黒子は天才だから仕方ない。黒子は才能があるから仕方ない。そう思ってねーとやってらんねーよ。一年がレギュラーだぜ?黒子ぉ、忘れたのか?本来ならここは虐めが始まるところなんだぜ?あー、これだから団体競技は怖い!
それにさぁ、僕は天才なんかじゃないって言葉。それもお前が誠凛から迫害を受けている理由だ。妬ましいんだよ。簡単に。鬱陶しいんだよ。その態度が。例え話をしよう。お金持ちが言いました。『お金だけがすべてじゃないんだよ。』『お金で何でも買える。』さぁ、どっちが鬱陶しい?ズバリ前者っしょ!お前は今前者の様な事をしてんだよ!皮肉にしか聞こえねーの!凡人にとったらな!!お前、天才じゃん!キセキじゃんって言いたくなんだよこっちはさぁ!!だからお前の先輩も扱いに困ってんだ。だから距離置いてるし、他の学校の奴らから目を付けられたくなくて自ら率先して関わりたくねーの。
それから、キセキ世代の奴らからお前に負けた感想をもらってきたぜ?モチ録音してんだけど、持ってくるの忘れちった高尾君ってばうっかりさん☆まぁ、いいや。青峰、緑間、紫原、赤司、全員が口をそろえて言ったぜ?『どんな奴に聞いても光に縋らねーと何もできない奴にドヤ顔されながら説教受けたのがムカつく。』ってな。
ドンマーイ、ファイトー、もう一本!っつてー。天才からも凡人からも見放されて今の状況。どう?これでも理不尽だって言える?自業自得っしょ。」

はー、喉乾いた。そう言って高尾はドリンクを飲み始めた。
黒子は話の途中でだんだんと下を向き始め、今は完全に俯いている。元々表情から感情は読み取りづらかったが、今の状況では全く掴めない。

「でもびっくりだよな。それがここまで事が大きくなるなんてな。バスケ部内で留まっておけばいいものの。…あー、でも無理か。ファンの奴らめっちゃ怒ってるもんねー。ここぞとばかりに仕掛けてきてるっしょ。最近の虐めって怖いよねー。証拠がないとろくに取り合ってくれないって言うかー?実際トイレの個室に居て上から水が降ってきて、誰がやったか分かっていても目撃者がいなければ自分の狂言だけじゃ取り合ってくれないよなー。マジ怖っ!
プププー、お前今ミスディレクション使えないんじゃね?ここまで注目うけてっとさー。俺は前々から見えるし、変化って思い立たねーけど、あ、後から俺の友達も来るからその時見てもらおうぜ!もし使えねかったら災難だよなー。体力はない力瘤すらない。暴力働かれても何されても抗う事が出来ないってかー?カワイソ。」

他人事のように最後呟いて高尾はハンバーガーにかぶりついた。

「――な事を…。」

「ふぁ?」

黒子が呟いた。
しかし何を言っているのかさっぱり聞き取れなかったため高尾は再び聞いた。

「勝手なことを言うな!」

「ブアッ!?」

するとどうだろう、聞いたことも無い黒子の叫び声。
それからおまけにと言わんばかりに高尾の飲みかけのドリンクを蓋を開けて高尾にぶっかけた。

「君は僕を苦しめて楽しいですか。僕だって気づかないようにしていたことをわざわざ口に出して楽しいですか!
確かに僕は自分勝手な思いで火神君を始め先輩方を巻き込んできました!けれど、キセキの皆の目を覚まさせることが僕の目的だったとしても、誠凛の皆で日本一になりたいと思っていた!!歴戦の王だか何だか、負けたのはそっちの実力不足!僕のせいにするな!!
才能だって無くて僕は足掻いて足掻いて、それでやっとこのプレイスタイルを身につけた!天才って言葉だけで僕の努力を片付けるな!!ッ!?」


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