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二、三日するとイタリアはすっかり元気になり医師の診断で完治したとなった。ハンガリーとオーストリアはイタリアに会いに行くことになった。あの夜からあっていなかったので久しぶりの面会となった。 ハンガリーとオーストリアはベッドの横のソファーに腰をかけ、イタリアはベッドから上半身を起こした。 「ハンガリーさんにオーストリアさん、おはようございます。」 「イタちゃん、元気になったのね!良かったぁ、あんなに高い熱を出すんだもの。後遺症とかも残ってないようで良かったわ。」 「ご迷惑をかけてごめんなさい。」 「そんなこと無いわよ。それでね、イタちゃん。良い知らせがあるのよ!神聖ローマは生きてるかもしれないのっ!また、会えるのよ!」 「あ、あのハンガリーさん。」 「何?どうしたの?」 ハンガリーが自分のことの様に喜びながらイタリアに伝えた。よかったね、と。しかし、イタリアの反応は薄く、少し困った顔をしながらハンガリーに声をかけた。その様子に気付かなかったのか、ハンガリーは笑顔のままイタリアに向いた。 「神聖ローマって…誰の事ですか?」 ハンガリーは思わず声を動作を、表情を凍らせた。そんな反応は予想外だったから。 ハンガリーは気づくべきだったのだ。イタリアは起きてから一度も神聖ローマの事についてふれていなかったことを、一番気がかりな事のはずなのに、一言も話していなかったことに、気づくべきだった。 「っえ!?…イタちゃん、神聖ローマの記憶がないの!?神聖ローマは、イタちゃんの大切な人よ?ね、私達をからかってるの?ね、ね?」 「大切な?っっ痛いっ、頭がぁっ!」 イタリアは頭を押さえて倒れ込んだ頭に激痛が走っているのだろう。イタリアの表情は苦痛に歪み、冷や汗が額を流れ落ちている。 「イタちゃん!!」 「ハンガリー、少しついて来なさい。ここから出ましょう。イタリア、医者を呼んできます。それまで耐えれますね?」 「…は、ぃ…ッ。」 オーストリアとハンガリーは共に部屋の外へ出ていった。そして一人、部屋に残されたイタリアは途端に頭痛が収まり、ハンガリーが言っていた神聖ローマについて考えていた。 「ハンガリーさんの言っていた神聖ローマって誰なんだろう…っ痛っっ!」 どうして思い出すだけで頭が痛くなるの?どうして胸も痛くなるの?どうして胸に大きな穴が開いたような気持ちになるの?どうしてっどうして!! 「痛い、苦しいよ、助けて―――誰かっ――助けてぇ…!」 オーストリアとハンガリーは部屋の外で話していた。医者の診断を聞き、オーストリアは眉間に皺を寄せた。 「どうやら、神聖ローマの事だけを忘れてしまったようです。熱で苦しんでいるときも、彼を強く思っていた事が原因のようです。彼の事を思い出そうとすれば、頭痛が走るようですから、彼の話題は避けた方がいいかもしれません。無理に思い出そうとすると辛い思いをするだけです。」 「そんなっイタちゃんっ。」 「ですからハンガリー。無理に神聖ローマの話題を持ち上げることは避けましょう。イタリアが自分から話題にすることを待ちましょう。私達に出来ることはそれだけです。」 「…はい。」 そして時は流れ――― ――――――――― 「ドイツー、ドイツー。水ありがと〜これでまたパスタが作れるよ〜。」 「いや、もう作るな!砂漠でパスタ作って死なれたらかなわん!」 |
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