Hetalia Axis Powers | ナノ


04


「ジャンヌ、…大丈夫か?酷いことされなかったか?」

「イギリス!貴方それっ目…。」

目を隠すといった行為をすること自体が不自然なことであり、ジャンヌは息をのんだ。きっとあの目隠しの下は国でさえ、すぐに回復することができない傷を負っているに違いないと感づいて。

「たいしたこと無い。お前のせいじゃない。兄さん達に歯向かった俺が馬鹿だったってだけだ。」

「ごめんなさい、私なんかの為にっごめんなさいっごめんなさい!」

「別にお前の為じゃねぇ俺のためだ。それに謝るのは俺の方だ。無力ですまん、俺はただの飾りでしかない、俺に力さえあれば助けることが出来るのに。」

「そんなっ!」

「昔、あんなに守ってくれたやつの大切な人を俺は救うことが出来ないなんて。俺はやっぱり生きてる資格なんて…。」

「イギリスっ!!そんなに自分を責めちゃダメ!力がないなら手にいれればいい!それが簡単にいかないのなら努力すればいい!私のことなら気にしないで、だって死んじゃえば祖国様の側にずっといられるもの。ねっ?何事もプラスに考えなきゃ。それよりもこの目って治るの?」

「あぁ、治る。時間はかかるけどな。」

「良かったぁ…。」

ジャンヌは咄嗟に手をイギリスの目の上にかざす。早く治るように祈りを込めているようだった。

「……天使みたいだ。」

イギリスが呟いた。

「なっなっっち違うっ恥ずかしいこと言うな!わ、私は魔女だっ!天使なんかじゃ…!」

「アハハハハハっ。」

「笑うなぁ!」



日にちが経ち処刑前日。イギリスは何時ものようにジャンヌの元へ行った。片手にはレターセットを持って。

「ジャンヌ、フランスに手紙書くか?」

「祖国様に?…書く。」

「そっか、じゃぁ書いてくれ……なぁジャンヌ、書きながらでいいから聞いてくれないか?」

「んー?」

「俺は国として生まれてきてからずっと疎まれていた。一番下の国だったからな。ずっと俺の存在が俺の国で無視されてきた、それでも話しかけてくれたやつがいたんだ。それがジャンヌの国、フランスだった。素直に嬉しいと言えなかった俺は憎まれ口をきいてばっかだった。それでもフランスは俺のところへ来てくれたんだ。本当に嬉しかった。いつか恩返しがしたいと考えたんだ。でも俺は成長するにつれ『祖国のきまり』があることを知った。俺の国では、『祖国は国の象徴であれ。祖国は国の飾りであれ。祖国は全てにおいて無関心であれ。祖国は意見を有する必要はない。祖国は王に従順であるべきである。祖国は自分の体を張って王を守るべきである。祖国は戦場の先頭に立ち率先し士気を挙げるべき存在である。』というものだった。ジャンヌの所のとは全く違うだろ?戦争もやりたくないっていうのに俺の意思ではどうにもならなくて自分の無力さを感じたよ。戦争で少女を捕虜として捕まえた。俺はその少女はフランスの大切な人だと直感した。それで俺は少女を助けようとした、けど……無理だった。無力さをここでも感じ正直生きてる意味なんて無いんじゃないかと思った。そんな考えも少女によって覆された。頑張ってみようと思った。もう二度と犠牲がでないようにと。ジャンヌ、俺やってみるよ。ジャンヌの国のきまりが俺の所でも通用できるように。」

「…………はい、書けたわ。頑張ってね、応援するから。」

「ん、ありがとう。これだけは俺の命に代えても届けるからな。」

「祖国様はきっと森の奥の隠れ家に居ると思う。」

「わかった。」

「今までありがとう。」

ジャンヌは微笑みながら言った。

「やっぱり天使みたいだ。」

「違っ…貴方がそう言うなら、私は天使でもいいわ。」

「じゃぁな、天使ジャンヌ・ダルク。」

これが最後の会話になった。

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