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次の日、戦争はイギリス側の勝利で終わった。勿論、イギリスの兄達は喜ぶ。 勝利を祝して国をあげてのの宴が始まる。飲んで食べて歌って踊って騒ぎまくる。イギリスも参加していたが少量の食べ物を持って途中で抜けた。心から喜ぶことができない。後味が悪すぎる。イギリスはその足のまま、あの塔に幽閉されているジャンヌの所へ向かった。塔に着き、ジャンヌが入れられている部屋の前まで来た。扉越しに話しかける。 「おい、大丈夫か?」 「…誰だ?」 「俺はイギリスだ。」 「帰れ。」 「…食事を持ってきたぞ。」 「要らない。」 「そう言わずに食えって、毒なんて入ってねぇから。」 「………………。」 「明日また来る。」 警戒されて当たり前…か。でも救いたい、助けたい、できることならば、フランスの元に返してやりたい。 それから3日間食事を持っていったが、料理が減った様子がなかった。流石にこれ以上は体がもたないだろうと思い無理矢理食べさそうとした。だがまだ毒が入ってるんじゃないかと疑っている。そこで俺は目の前で料理を食べて毒が入っていない事を証明した。 そして恐る恐る料理を口元に持っていき食べてくれた。これが4日間続いた。それでも口をきくことはなかった。 5日目、俺は久しぶりにスコーンを焼いた。一緒にお茶をしようと思った。 「今日はお茶しねぇか?」 そういってジャンヌの目の前には真っ黒い物体が置かれる。 「……なにこれ?食べ物?」 久しぶりに聞いた声。第一声がこれだった。 「食べ物に決まってんだろ!スコーンだよ。別にお前のために焼いたんじゃねぇぞ。俺がお前とお茶をしたかったから焼いたんだからな。」 「…食べれるの?」 「食べれるに決まってんだろ!バカァ!」 そう言ってイギリスが口元に真っ黒いダークマター…もといスコーンを持っていくそして平気な顔をして食べた。 それを見たジャンヌはとても恐る恐る口に持っていく、そして一口黒い物体を齧った。 「マズッ。」 思わず溢れてしまった本心。 「不味いって言うなぁ、バカァ!」 「フフッ、ププっアハハハハハっ!」 ジャンヌは久し振りに思いっきり笑った。 「笑うなぁ!バカァアア!」 それを見たイギリスはジャンヌの笑顔を初めて見て可愛いと思った。 「ごめん、ごめん、今まで警戒してたことがバカらしく思えちゃって。ふぅ……私ジャンヌ・ダルクっていうのよ。」 「そっか、そういえば聞いてなかったな。ジャンヌか良い名だな。」 「お茶美味しかったわ、ありがとうイギリス。」 「!?そうか!?じゃぁまたスコーンを持って――。」 「お茶だけで良いわ。」 「なッなんだよぉ!まぁ良いけどよ…また来るからな。そのときはまたお喋りしようぜ。」 「うん。ありがとう。」 この出来事からジャンヌと仲良くなった。その日から、毎日料理を持っていって、お茶も持っていて他愛も無いお喋りをした。そして9日後イギリスは王に呼ばれた。 「なんのご用事ですか?」 いやな、予感はしていた。 「祖国よ。貴方が贔屓にしている魔女は5日後処刑することが決まった。」 「そんな!」 淡々と要件のみが言い渡された。これ以上深入りしても、下された判決が覆ることはない。だから、さっさと決別しろ。そう言った類の警告をイギリスは受けたのだった。 「用はそれだけだ、下がれ。」 「ジャンヌは魔女なんかじゃない!」 「下がれ。」 王が下がれと言っているが、それに反するイギリス。王の横に控えていた兵士がイギリスの両脇を持ち、部屋から退室する様にと促す。 「止めろよっ!」 「祖国。貴方は『きまり』を忘れたか?」 『きまり』そう言われてしまうとイギリスは手も足も出すことが出来ない。 「っっ失礼します!」 イギリスは抵抗することを諦め、部屋から退室し、ジャンヌの居る塔へ急ぐ。 「あらイギリス、今日はどんな話をしてくれるの?」 イギリスはなにも言わず、ジャンヌの手を掴みドアの方に歩いていく。 「ちょっなんで!?」 「お前の処刑が5日後に決まった。だから、逃げよう!」 「逃げ切れるの!?」 「なんとかする。」 |
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