Hetalia Axis Powers | ナノ


01


祖国は国の象徴であれ
祖国は国の飾りであれ
祖国は全てにおいて無関心であれ
祖国は意見を有する必要はない
祖国は王に従順であるべきである
祖国は自分の体を張って王を守るべきである
祖国は戦場の先頭に立ち率先し士気を挙げるべき存在である

これが、『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』の祖国のきまり



百年戦争真っ最中。フランスは王と同じで最後まで隠れていたのに対し、イギリスは軍の最前線に居た。

身体中が痛いな。思うように動かねぇ。この戦争のガタがきたのか。それなのに最前線に居るなんて俺は所詮只の飾り只の捨て駒ってことか。兄さん達が居るから当たり前だ。フランスが羨ましい。最後まで守ってくれる人が居るなんて。そいつは魔女と俺達は呼んでいるが、どんな女性なのだろう。

戦いは激しさを増しイギリス軍が勝っていた。イギリスはもう、ここまで勝ったしこれ以上する必要はないと思い撤退の命を出すだろうと考えていたとき、

「このままフランスを攻め落とせ!」

兵士長が作戦にはないことを口走った。そしてその声に賛同するように部下の面々もそれに従い行動に移し始めている。イギリスはそれにとても驚いた。これ以上する必要はないと思っていたからだ。イギリスは発言した兵士長の男の近くに寄り抗議した。


「待てっ!これ以上する必要は無いんじゃないか!?元々、この戦いだってここまでする予定はなかったんじゃ!?」

しかし男は冷たくイギリスの発言を払う。


「我々は貴方の兄君達に仕えている。貴方の意見など求めていない、貴方は言われた通りに動けば良い。」

「っつ――。」

イギリスは反論できない。この男の言ったことはイギリス国にとっては正論だ。国は意見を持ってはいけないのだ。ましてやイギリスは一番下の弟。誰がそんな下っぱの意見など聞いてくれよう。
イギリスの思いとは反し、イギリス軍がフランスの城の中に侵入する。イギリスは逃げ切っていてくれと願う。しかしそれは無駄なこと。イギリスがどんなに願っても所詮は無駄な行為だった。

「探せっ!魔女と国をっ!見つけて引っ捕らえろ!」

兵士長が言う。そして城へ侵入しくまなく部屋を探していき、ついに見つけた。

「くそっ魔女だけか…。」

兵士長が悔しそうに呟いた。イギリスが窓の近くに寄った。ふと窓から下を見てみるとその真下にはフランスが居た。フランスを見つめる。フランスは恨めかしい目でイギリスを見ていた。

「すまん、フランス…。」

謝罪の言葉しか思い付かなかった。そして、イギリスは少しでもフランスが逃げやすいようにフランスの体が少しの間消えるように魔法をかけた。これがこの時出来た唯一の事だった。

願わくば、その魔法で、森の奥深くまで逃げていてくれ。

そしてイギリスは窓際から去り、部屋の中央へ。中央では捉えた女を捕縛している最中であった。改めて捕えた魔女の姿を見た。
イギリスは驚愕した。まだ20歳にも満たない少女だったなんて、それを自分達は恐れていたなんて、と。

「なぁ、魔女さんよぉ。国はどうした?何処に隠したんだぁ?」

「誰がお前等なんかに教えるか!放せっ放せっつってんだろ!」


少女は暴れる。騒がしいと、少女を捕まえていた兵が殴って気絶させる。少女から短い悲鳴がこぼれ、意識を飛ばしたらしく静かになった。

「魔女はあの塔へ入れておけ。」

兵士長が指示を出した。あの塔とは魔女裁判で死刑が確定した者が入れられているところだった。イギリスはそれを阻止しようと抗議する。

「なにもそこまでする必要はないんじゃないか!?」

「何を言っている。魔女は殺す。後、フランスが抵抗する気が起きないように見せしめを兼ねてな。」

「でもこんな少女をっ!」

「祖国の意見など求めていない。さっきも言っただろう。祖国は只の飾りなんだ。まぁ、祖国に権力はあったとしても祖国の兄君に却下されるだろうがな。残念だったな、弟君。」

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