Prince of tennis | ナノ


ドンドンドドドン四天宝寺軍 end


そして大将と一氏が居る広間へと四天宝寺一行は辿り着いた。大将は食事を摂っており一氏は傍に付き、酌をしていた。

「何故っ貴様らがここに居る!?」

ガタンと慌てた様に大将椅子から立ち上がる。
一氏は大将をかばうように構える。

「さっきはどーも、」

白石は冷めた口調で言う。

「どうやってあそこから出た!」

「そんなんカギを使こうて出たに決まっとるやん。」

「見張りや、ここに来るまでに配置している兵たちをどうした!」

「俺と財前が倒したっちゅー話や。」

「そう言うことっすわ。助けを期待せん方が身のためや。全員倒してきたんで。」

「お前らの軍にそんな実力は無いはずだ!ちゃんと調べて…。」

「俺の軍について調べても引っかかる情報はガセばっかりやで。どんな情報が出てきた?言ってみ、本当の答えを教えてやるわ。」

敵の大将は焦りながら怯みながらも言葉を紡ぐ、紡ぎながら考える。自分だけはどうにかして生き延びようと、

「お、お前らの軍は今までに14回他の軍に負けて10回、主要メンバーが捕虜になった。」

「おん、その通りや。」

「で、そのお前らを捕えた軍は敵襲に遇ったり爆薬倉庫の暴発とかで壊滅してる…。」

「そっから違うで。」

「!?」

男の顔が引きつる。

「それ、事故ちゃうで?ぜーんぶ俺らが仕掛けてきたことや。」

「な…に?」

「他にもなこんな情報流れとるやろ。四天宝寺軍は稀な幸運の持ち主、戦いもせず勝ってる卑怯者。でも所属してるやつらは言ってる『勝ったもん勝ちや』言うて。当たり前やん、実際自分らの実力のおかげで勝っとんやけぇ。」

「っつ……ほざけぇええぇ!そんな偶然信じるか!どうせお前らの言ってることの方が嘘なんだろーがぁ!虚勢はるんじゃない!事実私の軍に捕まっているじゃないか!」

「やっぱ信じんかぁ…でもな、もっぺん言うで?俺らはお前に わ ざ と 捕まってやったんや。それに捕まっているじゃなくて捕まっていた、な。ちゃんと過去形にせなあかんやろ。」

「っ…。」

「それに実際俺らの後ろにころがっとる奴らは自殺したとでも言うんか?違うやんなぁ?他殺やなぁ?お前もこいつらと同じ世界に行ってみるか?」

「行くのはお前らの方だ!殺せ一氏!お前は強いだろ!俺の軍の中でもずば抜けて!あいつ等を地獄に落としてやれぇ!」

男は叫ぶ、目の前の事実を受け入れたくないと言わんばかりに。一氏は腰にさしてあった刀を抜き、ゆっくりと白石に近づきそして刃を振り下ろす。勿論白石もそれに応戦するように財前からナイフを奪い取り防ぐ。
そしてその光景を満足げに眺める男。同じくその光景を眺める四天宝寺軍メンバー。そこそこと話している。

「白石のガチ試合いつ振りやったっけ?」

「最近は見かけんかったっすわ。」

「なぁ、ウチいっぺんやってみたかったことあんねんけど…やってええかな?」

「なんがやりたかったと?」

「二人の間に入って『アタシのために戦わんといて!』って言ってみたいねん。」

「小春はん……。」

「もう我慢できへん!」

小春は叫ぶと二人の間に割って入った。二人の動きは停止、

「アタシのために戦わんといて!」

白石は膝から崩れ落ちる。そして爆笑。一氏は武器を投げ捨て小春を抱きしめる。

「っ小春〜。俺の方が白石よりずっと小春のこと愛しとるでぇ。」

「小春嬉しぃ〜。」

二人の世界が一瞬にしてできた。

「アハハハハっハァ…よう笑った。」

白石は笑いの渦から復活し、立ち上がる。

「なっ!?一氏何をしている!」

「簡単な話や。一氏は始めから四天宝寺軍だったちゅーことや。」

「なんっ…!?しかし貴様のその傷はっ!」

「あぁ、こんなん特殊メイクに決まっとるやん。ちゅーかこんだけアンタの軍の最強と言われとるユウジと互角に戦った事、不自然と思わんと。」

顔に施されたメイクをペリペリと一つずつはがしていく。

「あー、すっきりや。久しぶり俺の顔、ん〜エクスタシー!」

「な、なん。」

「そや、あんた油断しすぎや。後ろの小石川に気づかんとか…ないわ。」

「え?っガァア!?」

男は首から勢いよく鮮血を吹き出した。小石川がナイフで男の喉を掻き切ったのだ。

「おん、ご苦労さん。」

「……俺も表に出て活躍してみたいんやけど。」

「何言うとんや、めっちゃ活躍しとるやん。今だって敵の大将の首とったやんか。」

「………………。」

小石川はそれ以上何も言わなくなった。

「なぁ、銀。」

俯きながら金太郎は銀の服の裾を引っ張った。

「なんや?金太郎はん。」

「ワイ今めっちゃ、めっっちゃドキドキしてん。遊ぶときよりもめっちゃワクワクしてんねん!なぁ、戦いっていっつもこんなに楽しいんか!?」

金太郎は目をらんらんと輝かせながら銀に問う。金太郎は戦の雰囲気にのまれていた。恐怖、ではなく面白さに。こちらの思うように動く敵の様。戦う緊張感。命のやり取り。
それらは普通に遊んでいるよりも数倍刺激的なものだ。

「なぁ!次は俺もちゃんと参加してみたい!ええやろ白石!」

「んー…ダメや。」

「なんでや!?」

「金ちゃん今まで訓練サボっとったやろ。戦いに出てるんはちゃんと訓練をしてからや。」

「えー、いーやーやぁ!」

「はぁ…聞き分けの悪い子はお仕置きやで?」

白石はシュルシュルと腕の包帯をほどき始めた。

「それ嘘なんやろ。ワイ敵の兄ちゃんが言っとるとこ聞いたで。」

強気で金太郎は反論する。

「残念やなぁ、金ちゃんその情報は嘘やで?ほれ俺の手ぇ見てみ?」

と完璧に包帯を外す。

そういえばいつもほどきかけてやめてるなぁ…と思った金太郎は白石の手を見ることにした。どうせ何もないと思って。しかしそこにあったのは変色した手。本当の毒手だった。

「あっ…あぁっ堪忍!」

「ハハハ、待ぁてぇ。」

「うぎゃぁああああああああ!」

金太郎は必死に部屋の中を逃げ回る。白石は楽しそうに追いかける。

「これで戦いも終わったけど今回も世間的には何らかの幸運によってって言われるんやろなぁ。なぁ、もう四天宝寺の勝利は四天宝寺という宝からもたらされているものっちゅー噂流すの辞めにせん?」

「何を言っとるんすか、そんなんどうでもええやないですか、結局は――」

「「「「勝ったもん勝ちや!!」」」」




――――――――――
2011,07,拍手

無駄に長ーい\(^o^)/
白石が何故かナルシルトになってしまった。でも書きたいとこ書けたから満足。

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