Prince of tennis | ナノ


勝つんは氷帝軍 01


「撃ち頃やん…がっくーん、次9時の方向、+3°。」

「りょーかい。」

忍足と岳人が長長距離にいる敵兵を一寸の狂いも無く撃ち抜いていく。
只今の戦況、敵軍有利。

「なぁ侑士。これでいいんだよな?」

「せや、一人でも多くの敵兵を削っとけって命令や。全滅はさせんでええ、次8時00°。」

一発。

「俺あんまスナイパーって好きくねぇんだよ。なんか遠くから高みの見物してるような感じで、」

「なんやまだそんなん言っとるんか。だったらはよ体力つけるんやな。11時9°。」

また一発。

「くそくそ!侑士はこの役目が気に入ってるからって!適性がないからって強制的に希望箇所を変えさせられた俺をバカにしやがって!」

「そんなこと言っとらんやろ。この役目もおもろいでぇ。敵兵が醜く後退する様が鮮明に見えるんやで。無様や、」

「……時々お前の感性疑うぜ。」

忍足が戸惑っている姿を冷めた目で眺めているとその隊の数名が忍足たちが滞在しているビルを目指すように走り出した。

「っとがっくん、奴さんにここの場所バレたみたいやで。俺らの役目もこれでいっぺん終了や。ほれ、次は岳人お得意の近距離合戦や。いてこましたれ。」

「おう!」

岳人はライフルを忍足に預け、取り出したのはサバイバルナイフと拳銃。
ビルから出てきたところで敵兵と遭遇。一見敵兵の方が優位に見えたがもともと前線と担当していた岳人は弱くない。ただ体力が長く保つことができないからという理由で前線から退かされただけなので接近戦での実力はピカイチなのである。ナイフと拳銃の二刀流で忍足と岳人に向かってきていた敵兵の命はそこで途切れた。

「もっと、殺ってみそ?」



氷帝軍本陣

いつもは前線に立って相手の陣に特攻をかけている三人。宍戸、鳳、日吉は今回氷帝軍本陣の入り口の守りにあたっていた。

「なぁ、長太郎。なんで今回俺らは本陣の前で待機なんだ?」

いつもと陣形が違うことに対して宍戸は多少イライラしながら聞く。こんな思いっきり暴れることができないところの守備なんてしたくない。むしろする価値もないと思ってしまっているようだ。

「仕方ないですよ。今回は相手の鼻を徹底的に折る作戦なんですから。」

作戦の意図をしっかり把握している鳳が宍戸を慰めるかの様に伝えた。

「そうだけどよ…全く相手もこりねーよな。」

「全くですね。その辺の無名の軍が氷帝軍に何度も挑んでくるなんて。」

「つーかよ、相手の手札が丸見え過ぎていつもドローで決着させるこっちの身にもなってほしいもんだぜ。」

「今回の敵は資源が多い土地の陣地を持っているそうです。同盟という形で植民地にしたいそうですから、精神的に追い詰めるって滝さんが言ってました。」

「怖ぇな、で今回の作戦は軍位の高いやつはこの中に入れてもいいんだよな。」

「はい、忍足さんと向日さんの情報によれば8人は入れるそうです。」

「結構居るんだな。全体で何人編成なんだ?」

「60人編成だったようです。うち14人は忍足さん達が仕留めたようですね。」

「宍戸先輩、鳳、話すのをやめて下さい。敵が来たようです。」

先ほどまで口をつぐんでいた日吉が口を開く。

「っしゃ!!やるぜ長太郎!」

「はい、宍戸さん。」

宍戸が一番に敵の命を奪う。いつの間にか構えた銃で撃つ。鳳が宍戸の援護にあたる、というよりも宍戸がでたらめに当てまだ息のある兵を始末していく。そして日吉が銃撃戦に苦戦している敵兵を短刀で確実に切りつけていく。少し前までは岳人もこの担当だったが今は外されている。
あらかた片付けられた敵兵。
残るは8人。計画通り。じりじりとした攻防戦が計画的に繰り広げられた。そして氷帝軍が一瞬のすきを作ってしまった。もちろんワザとであった。このすきを逃さない敵兵達、銃弾をよけ氷帝本陣の中へと侵入していった。

「俺らを倒していかなぇなんて激ダサだぜ!」

「ハハっ君は宍戸だね?君の安っぽい挑発に乗るような馬鹿ではないのだよ。もちろんそこの日吉の『下剋上等』という意味不明な挑発にもな。」

勝ち誇ったように敵軍の偉い人が言い放ち先ほどよりも速度を上げ奥へと進んでいく敵軍。その様子を三人は胸の前で十字をきり、見送った。

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