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忍足君のお父さんの病院で手当てをしてもらった。 心配を含む辛辣な言葉をかけられて、また泣いちゃったけど…それは仕方ない。 そして私は証拠集めに走り回った。 あの後、岳人が持って来てくれたテープレコーダーや小型カメラに録画、録音されるのは私を殴ったり、蹴ったりするテニス部のメンバーの姿と、声。 これでは私の無実が証明されない。 だから私は、私からマネージャーに接触することにした。 靴箱に手紙を入れて、呼び出した。 「ねぇ、話って何?」 態度が大きいマネージャー。 私に虐められるような人種じゃないのに…みんなはなんで分からないんだろう。 「…なんで…私が、貴女を虐めてることになってるの?」 「ハァ?今更聞くぅ?やっぱ何やっても私の癪に障る人ね!」 「何…が?」 思わず涙が出てきた。 くそ、こんな人の前で泣くつもりなんてなかったのに。 「そうよそれ!いっつも些細なことで泣いてさ、見ててムカつくの!イライラするの!!ずっと泣いて、意味わかんない!なんで学校来てんのよ、さっさと退学でもして私の前から消えてよ!」 何それ、私に何の否も無いじゃないか。 「わたッ、何も、悪ッない!!」 「あー!!イライラする、気持ち悪い!いい?私は私の世界にあんたみたいな泣き虫が脇役だろうとなんだろうと居ることが無理、生理的に受け付けない。」 勝手な言い分の女だ。聞いてるこっちが腹が立つ。無理だ。 話をすればするほど、私はテニス部が憎くなる。 私はそこから逃げ出す様に出て行った。 これだけの発言があればテニス部も納得してくれるだろう。私を虐めることを止めてくれるだろう。 そう思って私はそのテープレコーダーをジローに渡した。 私が持っていて見つかって壊されたらシャレにならない。 そして跡部君が企画してくれた合同の練習試合が始まった。 私は氷帝の臨時マネージャーとしての参加。 私の姿を見つけたマネージャーは驚いた顔をこちらに向けたが、周りに幸村君達が居たからだろう、すぐに笑顔になった。 そんな中でも私に突き刺さるマネージャーの視線は鋭いものに変わりはなかった。 氷帝のドリンクを作っていたら立海のマネージャーも作りに来た。 「ねぇ、アンタ…なんで氷帝のマネとして居るの?」 「ジローと…幼馴染だから……。」 「なんであんたみたいな女がッ!」 「家が近いの…だから……私、ドリンク持って行かないといけないから。」 私はマネージャーと長く二人きりでいることに耐えられなくなっていた。 だからと言って困ることは無いのだが、 私がドリンクを配り終え少しホッとしていると幸村君を先頭に皆が私の所に来た。 立海だけは休憩時間に入ったようだ。余裕だね。 そして幸村君は驚きの言葉を私に吐いてきた。 「ねぇ名城さん、よくもマネージャーに熱湯をかけてくれたね。」 「……え?」 「とぼけないでよ。マネージャーの手が赤くなってた。問いただしてみたら君にかけられたって言ったよ?」 「そうだぜ、お前さっきドリンク作るとき二人っきりになった時にかけたんだろ!」 「そんなッこと…。」 そんなことしてない、大方自分で熱湯につけたんじゃないの? そもそもマネージャーの仕事の中に熱湯に触れる様なものないのに。 「アンタ、もう…消えてくれよ。立海生のくせに氷帝のサポートしてるとか…この裏切り者。」 「ッ……つッ。」 裏切ってなんかない、 私は別に、 「そんな裏切り者には制裁が必要じゃのぉ。というわけで、これ…大人しく浴びときんしゃい。」 仁王君は片手に持っていた紙コップの中身を私の顔に向かってかけてきた。 「や!?あぁあぁあああぁあああああッ!!」 コップの中身は熱湯で、 咄嗟に両手でガードをしたがそんなものはあまり効果なく顔に熱湯を浴びる形になってしまった。 幸村君達が私に近寄って来て熱湯をかけられるまで、その間15秒。 ジロー達が駆け寄って来てくれたのは18秒目。 「千愛!!」 目が開けれないから声で判断するしかない。 ジローが私の名前を叫んだ。 「岳人!氷ありったけ準備しぃ!」 「おう!!なんかドラマみてぇだ!」 忍足君の声で岳人が行動しているらしい。 でも岳人、その態度は不正解。 「にしてんだ千愛!!これから冷やすぞ!」 「りょ、っ…!」 声からして亮が私の腕を掴んでどこかに案内し始めた。 視界が見えない中移動するのは怖いけど。 だけど、今は何故だか、怖くない。 ――――――― 2012,04,15〜2012,04,30拍手 |
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