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「変なミドルネーム付けないでください!」 「仁王殿覚悟!」 「やじゃあああああ!」 紫木はその場を駆け出し、仁王に近付こうとしたが仁王はそれを察知し部室から逃走した。紫木はその後を追い部室から出て行った。 「おー、ありゃ梨花本気だわ。寧ろ神さんが本気だわ。」 「成実、必要以上な危害を加えないように頼んどいて。あれでも一応レギュラーだから。」 「ハイハーイ。」 軽い返事で仁王の存命は約束された。それから懐かしい昼食をとり、午後の部の開始である。 「皆さん、頑張って下さいね。」 氷帝にも立海にも同じ台詞を吐く成実。勿論玖城と紫木の前で。玖城にはまぁ、なんとだらしない女と見られただろう。紫木の前で言ったのは成実をシカトせざるを得ないメンバーの様子を見るため。と言うか跡部と真田の様子を見るため。 「「………ッ!」」 案の定二人の表情は今にも血の涙を流しそうである。成実との会話を必死の思いで我慢をしている。そうだよな。自分の身が一番可愛いもんな。しかし、無視しろと言ったのは成実であるが、無視されるのは気分が悪い。悪いが紫木は強制退場となってもらおう。 「クスン…。」 そう決めた成実は素早く泣く素振りを見せた。 「我が君!?どうされたんですか!?」 それにいち早く反応した紫木。成実のもとに駆け寄り指を絡めて見つめ合う。 「いえ、何でもありませんの。」 「そんなはずありません!何でもないのに成実が泣いてしまうなんて…どうかこの梨花に教えて下さい!」 「もう悲しく何てありません。今はとても嬉しいです。」 「…何故です?」 「だって、こんなにも梨花さんに愛されていると実感できたんですもの。」 心配そうに覗き込んできた紫木と視線を合わし、心の奥底から微笑んでやった。するとあら不思議、紫木の顔色が真っ赤か。口をパクパクさせて日本語を紡げていない。 「なッか…ぁあああ……!」 「顔を真っ赤にしてなんてトマトみたい。食べちゃいたい。」 「食べッた、た…ッフゥ。」 耳元で囁けば一発。紫木、意識消失で一発退場である。 「おっと。」 倒れてきた紫木を成実は受け止めてゆっくりと地面に座らす。 「お?やっと梨花を黙らせたのかよ。遅いだろぃ。」 紫木と成実の異変に気づいた丸井が駆け寄ってきた。 「えぇ、皆様の反応が予想以上に素敵でつい…ですが少々シカトされることが苦痛に感じ始めたので…。」 「心変わり激しいな。」 「いつもの事でしょう?」 でないとと転校だなんて、トリップ娘の取っ替え引っ替えなんてしない。 「あー…ま、そうだよな。よし、今のお前じゃ運べないだろうから運んでやるよ。ジャッカルが!」 色々と察した丸井が提案した。そして巻き込まれるジャッカル。 「俺かよ!?」 「当たり前だろぃ。俺は力仕事は苦手なんだからな!」 「ではジャッカル君よろしくお願いします。」 「おぉ…。」 拒否することもなく、紫木を運ぶジャッカル。拒否らないからこんな事になるのだよ。 |
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