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球技大会が終わって家に帰って一息。 「長い一日だった…。て言うか色んなことが一度に起こり過ぎだっつーの。出来事は一日一個でええねん。濃い一日って疲れるねん。歳かな。 球技大会があって優勝して…男子達から慕われるようになって、忍足の眼鏡が伊達ってことが判明して、桃の姫君なんて架空の人物になっちゃって、跡部に告白されて…、プッ。」 いつ思い出しても面白い。 「さて、とメールチェックメールチェック。」 毎日の日課であるメーツチェックを行う。これをしなければ一日が終わらない。一番楽しいときである。 すると一つ、寒気のするメール通知があった。なんだろう。これをすぐ読まなければいけない衝動にかられる。雰囲気を言うならそう…滝、みたいな。 『こんにちは撫子さん。仙人掌です。』 「仙人掌さん…だと…。」 『仙人掌』とは撫子が利用している素材サイト『シャッターチャンスは一度だけ』の管理人。 観葉植物の写真の素材が多い。カメラアングルが神がかっている。 しかし何故仙人掌さんのメールから寒気の様なものを感じてしまうのか。今の撫子には理解できなかった。 『いつも僕のサイトの素材を使ってくれてありがとうございます。 今回初めて撫子様のコス写真を初めて拝見させていただきました。僕も写真を撮るのですが、ぜひ撮らせて頂けませんでしょうか?』 撮影会のお誘いのメールだった。 「え?マジ?私なんかをモデルにしても良いんですかぃ!?なんて…名誉な。しますしますさせて下さい!!」 速攻OKの返事をする。 『本当ですか?うわぁ、嬉しいな。 ではいつにしましょう、僕は今週の日曜日、午後からがいいな?』 「いつにしましょうって…仙人掌さん思いっきり日にち&時間指定してきてるじゃん。 何これ、なんか滝とか幸村君と同じにおいがする。ま、良いんですけどね。」 『良かった。撮影会は青春学園中等部の校舎で行いたいと思います。許可はとっているので安心してください。 キャラはそちらにお任せします。では、楽しみにしています。』 「……ブン投げかよ!! これ絶対、滝属性だ!うわ、逆らえねぇ!」 黒属性に逆らうほどの抵抗力を持っていない撫子。もう理解するには十分な情報をメールの文面から収集することが出来た。 理不尽と思いながらも従うことにする。それが正しい決断だ。 「うーん…校舎…パンピが居るかもしれないからなるべく…個性の無いキャラで…あ、脱色の一護にしよ。確か昔卍解一護したことあるからウィッグはある。制服は……カッターシャツに灰色のズボンで代用すりゃぁいいや。」 そして当日。 言われた時間に青春学園へとやってきた。 仙人掌さんを撫子の準備に待たせてはいけないと思い家からカッターシャツにズボンをすでに着ており上から上着を羽織っている、髪を一つにまとめそれを帽子の中に入れている。+メイク済み。ぱっと見、男子である。 正門で仙人掌を待つ。 「へーここが青春学園か…なんか田舎の学校を思い出すなぁ。」 「…撫子さん、ですか?」 撫子に声がかかる。 声の主を探してみると、これまた美人さんが居た。 「仙人掌さんですか!?」 「うん、そうだよ。」 茶色い髪の色をした青年が柔らかく微笑む。 「あ、の!誘ってくれてありがとうございます。 そんで、いつも素敵な素材をうpしてくれてありがとうございます!」 「いえいえ、こちらこそ誘いに乗ってくれてありがとう。それ脱色の一護かな?」 「はい!…まだウィッグ被ってないのによく分かりましたね。」 「うん、だって僕だからね分かるよ。……ふーん、いい感じだね。」 撫子をじーっと眺めて呟いた。 「ありがとうございます?」 「じゃこれから校舎に入ろうか。」 「はい!」 |
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