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「あ、と…私に告白した方は…来て下さい。」 照れる演技をしながら跡部を呼ぶ。 跡部は待ってましたと言いたげに撫子に近づいていく。 そして戻った二人は質問責めだ、なんで土下座をしたのかと。 事情を説明し終わったようで、男子の視線が一瞬恐怖の物へと変わる。しかし撫子はすかさず両手でドレスを掴み、丁寧なお辞儀を見せ、にこりと微笑む。 真っ赤になる男子諸君、本能には勝てまい、フハハハハハ。 そして舞台から3Aが降りていく。舞台の上は撫子と跡部だけ。 「おい、返事を聞かせて貰おう。」 「あなたは…あなたは私の本当の姿を知っても…同じ事を言って下さいますか?」 悲しみに歪む顔を見せる。 「当たり前だ、俺はお前の姿を見て惚れた。今更どんな事があろうと自分の意見を覆したりはしねぇ。」 え?その持論ひどくない? 面食いで性格なんてどうでもいいって言ってるようなもんじゃね? 「では!!…では、私が…私が……っ!」 顔を手で覆い今にも泣き出しそうになる。 「どうした、言ってみろ。」 跡部が撫子を抱擁しようと手を伸ばしてくる。 さすがにそれは鳥肌ではすまないのでひらりと避ける。 「………っ撫子でもですか?」 パっと顔を上げ、ニヤニヤと跡部を見る。 「は?」 「だから、椿崎撫子たぁ俺の事よ。」 ピンクのウィッグをとる。 中から自前の黒い髪が現れる。 フロアからは「お姉様」or「姉御」という歓声が上がる。 突然のことで情報処理がついていっていない跡部。 しかし展開は進んでいく。 舞台袖から滝と忍足が登場。涙目になりながら、 「最っ高や撫子!!俺もこんなんになるなんて思っとらんかったわ!」 「本当、撫子面白い物を見せてくれてありがとう。この先一年分ぐらいは笑ったよ。」 「私だって笑ったよ!!心の中でな! 跡部がこんなに姫君に惚れてたなんて予想外デース。つか、あんたら私が笑いをかみ殺している間にもこれ見よがしに笑いやがってちくしょー!!」 「フフッやるねー撫子。最高だよ。」 「お褒めにあずかり光栄ですわん。 それよりも、……ビデオカメラ設置しとけばよかったぁ!こんな跡部の姿はおいそれと見れたものじゃないのにぃ!!」 「あ、それなら安心してよ。僕が撮ってる。」 滝の右手にはビデオカメラがあった。 「滝様!!コピーさせてください!」 「うん、もちろんいいよ。」 「やっほーぃ!」 「おい、ちょ、待てよ!」 跡部がショックから覚醒。 「あ?なんかキム○クが居たような?」 「てめぇ、椿崎…また俺をおちょくりやがって、覚悟はできてるんだろうなぁ?あーん?」 「………。」 再びウィッグをかぶり直し跡部に向かう。 「ひ、酷いですわ!!私の本性がどんなものでもいいといったのは嘘でしたのぉほほほ…ッ。」 「…お前、……笑い隠しきれてねぇよ。」 「あ、ばれた。よし、桃の姫君の正体をばらしたし、跡部の面白い姿を記録することができたし円満円満。 これにてお開きー!!みんなぁ今日は集まってくれてありがとねぇ!!これからも椿崎撫子をよろしく!」 選挙か。 |
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