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二人はクラスのメンバーの中に戻り桃の姫君が撫子であったことを話す。一斉に目線が撫子に注がれる。撫子はにこやかに手をヒラヒラとふる。 「「「キャーッ!!」」」 黄色い声が挙がり撫子の気分は上昇。悪い気はしない。 マイクのスイッチを再び入れる。 「では、次は準優勝したクラスあがってきて下さい。」 入れ違いに登ってくる跡部のクラス。 入れ違いのため桃の姫君=撫子という情報が入ってこない。 しかし、その情報は光の早さでフロアに居たクラスに回っていく。 次第にざわついていく体育館内。そしてさっきとは比べ物にならないくらいの多くの視線がささる。さっきと同じ様に手をヒラヒラとふる。それだけでも体育館内の気温は上昇する。 今の今まで撫子に対して恐怖の念しか抱いていなかった男子も、撫子のクラスが姉御と慕い始めた理由がだんだんと分かってきたらしく、恐怖の念が払拭され始めた。舞台袖にいる忍足も満足そうだ。 そして登ってくる跡部のクラス。 何故か跡部だけはクラスから離れ一人撫子の元へと歩いてきた。 「あの…何でしょう?」 しまったバレタか? 「おい、お前。俺の女になれ。」 「あ…の、」 戸惑ったように口元に手を当てる。 ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひィッやべぇやべぇってマジ告白かよ。やべ、恥ずかしいなんて感情なんて何かねぇぞこれ!!恥ずかしいより可笑しい!! 私って本当に分かってないわけ?インサイト使えよマジバロスwプギャーヤバくね、これ、マジヤバくね?跡部が、桃の姫君に告白?私に告白?ブッ!!ヤバい。堪えて、耐えるのよ撫子!!ここで吹き出したらもう台無しよ!!オチが微妙なものになっちゃう。にやけるな、にやけるなぁ!! ふと撫子が舞台袖の方に目をやると、腹を抱えて笑う滝と四つん這いになって床を叩きながら笑っている忍足が見えた。 ちょっ、めっちゃ羨ましいんですけど!デデーン、忍足ーアウトータイキックゥ。よし、忍足お前は後からタイキックを食らわしてやる。覚悟しておけ。 私も笑いたい。声を大にして言いたい。私は撫子です。と、 「あーん?どこを見てんだよ、俺だけを見ろ。返事はなんだ?」 グイっと撫子の腕を掴み自分の方へと寄せる。 寒い、寒い、痛ーい! ヤバいヤバい鳥肌立ちそう、つか…声が、声が…エロいです。やっぱべ様と声質似てるー、べ様に口説かれてるみたいぃ!! いいわー、べ様はカッコいいわぁ。 跡部みたいに性格は悪くないし。 目を閉じれば聞こえる。 グリムジョー・ジャガージャックに…あ、アンダーテイカーでも可。でもなによりレン様だろ。子羊ちゃんっつって。やっべ、鼻血出そう。 「あ、えっと理由を伺ってもよろしいですか?」 にやける顔と笑いによる震える声を押し殺し、桃の姫君として質問をする。 「んなもん決まってるじゃねーか。俺様がお前の写真を見て俺様の女にふさわしいと思ったからだ。」 え?ちょっ、こいつ何様?ふさわしい?ルカ姐さんに相応しいのはがくぽかKAITOだろーがよぉ!! 「返事は…この会が終わったらいたします。その時また、同じ事を言って下さいまし。」 「ふん、まぁいい。」 跡部はそう言うとクラスの輪の中に戻っていった。 言えるものなら言ってみろバーロー。私と分かっていても言えるのなら言ってみろ。 |
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