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朝、撫子が学校に登校すると校舎の様々なところから「お姉様」と言う声が聞こえた。 すでに蒼の貴公子=撫子という方程式は氷帝の一般常識になったようだ。 正体をバラして一日しか経ってないというのにお金持ちの情報網は恐ろしいものがある。 クラスに行くと撫子の机のあたりにたくさんの女子が居た。 また忍足のファンかなと思っているとそうではなかったようだ。撫子の姿を捉えた一人の女子が駆け寄ってくる。 「お姉様!」 「!?会長ちゃんではないか!おはよう。」 「おはようございます!」 「後ろのみんなもおはよう。」 ニコリと笑いながら挨拶をする。 「「「キャーッ!!おはようございますぅ!」」」 何故黄色い悲鳴を上げる必要がある。ちょっと油断してた分耳に大ダメージを受けてしまった。 耳鳴りがする。女子の悲鳴ってちょっとした凶器になると思うんだ。 「…みんな…元気だね。 あ、そうだ。これとりあえずデータしたの持ってきたよ。 後は煮るなり焼くなり好きにして良いよ。あ、でもネット上に無断であげないでね。晒しって怖い。」 と鞄の中からUSBメモリを会長に手渡す。 会長はそれを宝物の様に両手に受け取り、満面の笑みを撫子に向けお礼を言った。 「あっありがとうございます!我がファンクラブが誇る最高の技術を用いて現像を行いますわ!」 「お…おう……。」 「はいっ…!」 「現像を行うと言う事で、みんなは後から写真を貰ってね。授業始まるよ。じゃ、子猫ちゃん達、各クラスに戻ってね。」 撫子が言うと女子達はそれぞれのクラスに戻っていった。と思う。 まさかデータを現像するために授業をさぼったとか仮病を使ったとかそんなものは無かったと信じたい。名門の氷帝学園ですからね! 「……おはようさん撫子。」 「おー忍足居たのか。あれ?元気、少ないね?」 全く気付かなかったよ、と声が聞こえてきそうではあったが、そんなこと思ってないよ。 ただ女子たちの影で忍足の存在を確認することが出来なかっただけで。 「…酷いでそれは、男のプライドズタボロや。さっきの子ら俺の存在ガン無視して行きよったで。ほんま人気者になったなぁ。」 「だろ!女子は自分より数倍凄いって分かったら憎むより崇める様になるもんなんだよね。」 「さよか…。 でもホンマ気い付けぇや。男子はそんな心理とちゃうから。崇めるなんてしぃへんよ。」 「分かった分かったって、男子には気をつければいいんでしょ?大丈夫だって女子みたいに陰険なことはしないでしょ。男子って気に入らないことがあったら真っ向からやってくる感じがするし。」 朝のSHRで明後日に球技大会があることの連絡があった。 今回はクラス対抗のドッチボールをするようだ。 放課後になりいつものように部室に行った忍足と撫子。 「よっす!一日会ってないだけで久しぶりにあった気がするのは気のせいかな生徒諸君!!」 「「「「……。」」」」 底抜けに明るい声で話しかけてやったと言うのに部室に居た彼らはジトっとした表情で撫子を迎え入れた。 「…なんか反応しろよ。さみいだろチクショー。」 「なぁ…お前、本当にイジメられてたのか?」 「なんてことを言うの岳人は!!そんな風なことを言う子に育てた覚えなんて無いわ!」 「…育てられた覚えないし。だってよ…今の人気っぷり異常だろ。」 「そうだぜ。跡部の人気よりあるんじゃねぇの?」 「うん、有ってもおかしくないよ。何故かって?私はファンの子達を愛してるからだよ!! 跡部みたいにメス猫共なんて言ってないもーん。子猫ちゃんだもーん。もっと人気が欲しいならファンサービスでもすれば?あ・と・べ!」 |
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