パシらないで |
体型に合わないダボダボの服を身にまとい、走るのに邪魔な長くて髪の毛は纏めて帽子の中にしまっていた。走りにくい服装の中撫子は逃げていた。宍戸と柳と呼ばれる者達から、二人は有り金を置いていけと撫子を追う。 「言われた通りに置いていかないなんて激ダサだぜ!」 「お前が有り金を置いていく確率83%。」 「ハッハッっ誰がっ置いて、行くか!ッボケナスがぁ!」 撫子はなんと言われようと、挑発されようと逃げに徹した。いつものように回し蹴りでも食らわしてもよかったのだが、目立つ行為はしたくなかった。今はこいつらでない追っ手から逃げている最中だから。 撫子は追ってくる奴らをまこうと物陰に隠れた。声が過ぎ去ってから反対方向へ逃げようと思って数分間、身を潜めた。そして声が去っていくどころか、野太い悲鳴が聞こえてきた。 「「うわぁぁあぁあ!?」」 何だろうと思い物陰から顔を出す。そこにはさっきまで追ってきていた浪人が二人、倒れている。そして一体誰が、と思っていると、白髪の男二人が立っていた。 「宍戸さん宍戸さん宍戸さん宍戸さん宍戸さん宍戸さん宍戸さん宍戸さん…。」 「ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ…。」 「うわぁ…ないわぁ……ってギャァ!?」 日本語かも分からない言葉を発している。その様子にどん引きした撫子は近くにあった物を倒してしまう。その音に気がついた白髪の二人は撫子の方に向かって来る。 撫子はなんで自分がこんな目に遭わなければならないのかとキレていた。目立つもへったくれも考えずに蹴りでも食らわして逃げてやろうと物陰から出た。二人の方を見てみるとすでに新たな男三人が白髪の二人を倒し囲むように立っていた。 とっさに出てしまったため撫子は引っ込むこともできず二人の会話を聞くことにした。 「柳生先輩、行動早いっすよ!俺がしようと思ったのに!」 「私は務めを果たすべく動いたまでです。…赤也君と違って遊ぶ気はありません。」 「柳生先輩、酷いっすその言い方!」 「でも仁王先輩達がアイツをどうにかするまで黙って見とけば俺らの手間も省けたんじゃないっすか?」 チラッと撫子を見る。 「…知りません。少なくとも私たちが判断する事ではありません。幸村君どうしますか?」 「フフフ…運がないね、君。」 幸村は撫子に話しかけた。二人の他にももう一人、薄幸の美少年だ。戦えば撫子が勝ってしまうだろうと思えるぐらい線が細い、しかし本能は告げる。この人は危ないと。 「逃げないでね、背を向ければ殺っちゃうかも。」 微笑みながら言う。 「………。」 微笑みながら言う物ではないと思う。笑に反してものすごい殺気が撫子を襲う。 「とりあえず着いてきてね?それから君の処分を決めるから。」 「…。」 撫子は言われた通りついて行く、逆らったら後悔する事になるだろうから。 後に付いていくと、とある場所のそれらしい場所に通された。そこには若い男達が屯っていた。 「幸村、そいつがか?」 「うん、そうだよ真田。見られちゃった。」 幸村は真田と呼ばれる偉い人に現状を報告しに真田の下へ、他柳生や赤也も屯っていた男達の輪に入っていった。 どうすればいいか分からず撫子はポツンとその場に佇む。 「おい、お前。」 頭がツルンとした男に話しかけられた。 「…何?」 「そこでずっと立ってねぇでこっちに来て座れ。」 「…ありがとうございます。」 「何々?幸村君達見られちゃったの?ダッサイC。」 「ん?芥川君何か言ったかな?もう一度言ってごらん?」 「だーかーらー、だs」 隣にいた赤毛の男子があわててジロ君の口を塞ぐ。 「わ、バカ!何言ってんだジロ君!幸村君を怒らすなって!」 ヤバい、可愛い×可愛い=鼻血出そう。可愛い可愛い可愛いマジ天使が居る。 「ブン太、何邪魔をしてるのかな?」 絶対零度の微笑みフラッシュ。 撫子は心なしか寒くなった気がした。 「幸村君もその辺にしたら?怖いよ?」 「フフフ、やだなぁ、滝君に言われたくないよ。本当に怖いのは君だろ?」 「さぁ、それはどうかな?」 絶対零度の微笑みフラッシュ×2 撫子はもう生きて帰れないかもと覚悟した。 「その辺にしておけ…二人とも。おいそこの。」 「はい?」 「何を見た?」 「は?」 「さっき、何を見た?」 「え?えー…っと、ちっちゃくて可愛い男子達…えっと芥川ジロ君?とブン太君?の絡みを見ていました。」 「そこでわないわ!」 と真田がすかさずツッコんだ。大真面目に答えたのになぜ怒鳴られなければならないのか。撫子は不思議で仕方なかった。 「なっお前!自分がデカいからって俺らのことちっちゃいとか言ってんじゃねぇよ!」 「俺も丸井君に同感だC。ちょっと失礼だよね、お前。」 ちっちゃいと言われた二人はプライドを傷つけられたようだ。 「アハハハ、はっきり言うっすね、アンタ。」 赤也が笑う。 「…いや、君も十分可愛いから。」 生意気そうな目がたまらん。 「んだと、男が男に可愛いって言ってんじゃねぇ、潰すよ!」 「は?…男?」 「そうだよ、男が男に可愛いって言うなキモいんだよ。」 「へ?…私…女だよ?」 「「「「…は?」」」」 「何びっくりしてんのさ。」 「いや、だって…女でその身長なわけ?」 「イエス。ついでに帽子もとってあげるよ。」 撫子は帽子を外す。そうすると男ではまずしない髪型。ロングヘアーが現れた。 「……本当に女だ…。」 キョトンとした顔の人たち、見ていて滑稽だ。しかし中には気づいていて一緒になって笑っている二人がいた。幸村と滝だ。 「(怖い)…あのさ、私…ちょっと逃げてる途中なんだよね。ここにずっと居たらばれるっつーか…。」 「いったい何から逃げているのですか?仁王君や鳳君が倒した人ですか?」 「いや、そいつらは違う。ただ絡まれただけ…私が逃げてるのはナルシストとその従者、ロリコンの三人からだよ。」 「誰がナルシストだって?あーん?」 「…ウス。」 「誰がロリコンやねん!」 「っ!?何か来た!」 「何かとは何や!またそないなダボダボした服着よってからに。」 「うっせー!黙ればーか!誰があんなに足を晒すようなもん履くか!バァカ!てめぇが履いてろ!」 「撫子は足綺麗なんやから晒さんと勿体ないわ!」 「晒したとしてもお前に見せる足ねーから!」 「ねぇ、撫子…さん?」 「えーっと何かな幸村君。」 「何で逃げてたの?」 「そうよ、聞いて!私は始めボランティアとして跡部の手伝いをしてたわけ!そしたらあいつ、調子に乗り始めて自分がするべき雑用まで雑用まで押しつけてきて…。跡部はパワハラ、忍足はセクハラをしてくるわ…。耐えられなくなった私は逃げ出したのでした。チャンチャン。」 「へー…。お手伝いかぁ…だったらうちにおいでよ。うちだったら仕事の押しつけなんてないよ。あるのは撫子さんが好きな可愛い、芥川君やブン太、赤也が居てずっと眺めることができるよ。」 撫子は幸村に気に入られたようだ。自分達のところに来ないかと誘われる。 「え?…それ何て言うユートピア?じゃ、そういうことで跡部。私ここでお手伝いする事にするから。元々ボランティアだったし、問題ないよね。」 「待て…金を出す。だから手伝いをやめないでくれ。」 「くっ…金、だと。資金にできるじゃないの…っ!」 「ねぇ撫子、俺らのところに来てほしいC。撫子かっこEからそのかっこよさ分けてー。」 「うん、君達達のとこに行くよ。物より思い出、お金で買えない萌えがある。萌えイズプライスレス。」 「…頼む、戻ってきてくれ。」 「跡部が初めて私に命令じゃなくて頼みごと!?…どうしよ、うわ…でも。」 撫子の心は揺れ動いていた。プライドだけは無駄に高い跡部が撫子に向かって頼みごとだ。撫子は8割方跡部の方に戻る決断をしていた。 「よし、後一息や!この萌え萌えコスチュームも戻ってきたらつけるで!」 撫子は幸村達の方に行く決心をした。 「私、幸村君の方でお手伝いするわ。」 「忍足てめぇ!」 「うそん。」 「パシりが居なくなったじゃねーか!」 「は!?私をていの良いパシりだと思ってたわけ?酷!幸村君の方に行って良かった!」 「え?お手伝いってパシりって意味じゃなかったの?」 少しびっくりした顔で幸村は聞いた。 「え゛?」 撫子は油の切れた機械のように首をギギギと動かし顔を向ける。 「うん、でももう君にはお手伝いをしないなんて選択肢無いから、イエスかハイ。それだけだけだから。」 「パシりなんて、やだぁぁぁあぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁあぁあぁあ!」 ――――――――――――――― 20000hit企画第五弾 氷織様リクエスト『青春デストロイ!?』でテニス部レギュラー(他校も含め)で薄桜鬼の成りきり …の様なもの。 世界観が行方不明…。この文章だと江戸でも現代でもがんばればどっちにもとれる…はず。 成りきりというと縛りが広すぎて……コスプレなのか、キャラ成りなのか…よくわからなかったので練詠は薄桜鬼のストーリーに若干沿っているテニプリの話?の様なものに…大変申し訳ないです。あれ?言ってる意味が分からない。 とりあえず配役的なものは 千鶴→主人公(主人公だから) 近藤→真田(何となく) 土方→幸村(何となく) 沖田→赤也(中の人つながり) 原田→ブン太(髪の毛の色が一緒だから) 斉藤→柳生(何となく) 藤堂→ジロー(小さいから) 永倉→ジャッカル(常識人だから) 山南→滝(早期脱退。腹黒だから) 風間→跡部(なんかぴったりな気がした) 天霧→樺地(なんか似てる) 不知火→忍足(髪の色が一緒だから) 羅刹→仁王、鳳(白髪だから) 浪人→宍戸、柳(余っちゃった。ゴメン) 以上。 ……なんかカオス。 あああああああああああああああああっナチュラルに岳人がいないッ!?あああああ大変申し訳ありませんでしたァ! |
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