さらば休日 |
現在の時刻、午前八時。 撫子は忍足の家に突撃訪問をした。もちろんアポ無しだ。面倒くさいから。そして家の前でインターホンを鳴らす。インターホンの気の抜けた音が聞こえてきたあと、玄関の方へと向かってくる足音が聞こえてきた。 「どちらさんや?」 忍足は問いながら玄関を開ける。 「椿崎撫子様だ。」 忍足がそう問うてきたのだから、撫子は私様だと、返した。 「忍足侑士は只今留守にしております。身長170pを超える女子は永遠に来ないでクダサイ。」 「おま、バカだろ。私がやすやすと帰ると思ったか。」 すると、忍足は顔を真っ青にし、扉を締めようとした。しかし、撫子は閉じられようとしたドアに足を入れこみしつこいセールスマンの様にドアを閉めさせないようにした。 「どこの悪徳セールスマンや!帰れ!」 「いいから入れやがれ。話はそれからだ。」 「いやや!部活が休みの日ぐらい穏やかにすごさせてぇな!休みの日ぐらい自分の脅威から逃れたいんや!」 忍足は抵抗する。玄関先で攻防戦が繰り広げられているようだ。そういう事から、忍足に学習能力が無いということもわかった。撫子は自分のためならどんな手段でも使ってくるという事を忘れている。さらにいやがらせの才能があるということを忘れているようだ。 撫子は忍足の顔に自分の顔を近づける。驚いた忍足はとっさに顔を横に向ける。これが狙いだった。そして妖艶な声色を放つ。 「早う入れてぇや。フゥっ。」 「ふはぁん……くっそ…ッ。」 おまけに耳に吐息を吹きかけて完了だ。忍足は驚きのあまり扉から手を放し倒れこんだ。 「お前まだ慣れてねぇの?ま、こっちとしては万々歳だけど!お邪魔しまーす!よしリビング行こう。案内しな。」 「撫子…地獄に落ちてまえ。」 「お前が堕ちとけ。」 忍足は前を向いて奥に入っていく。撫子はそのあとをついてリビングに移動する。 「…親御さんは?」 「仕事や。」 「ふーん、なら丁度いい。ペレレレペッペレー!ハイポ〜ション!これあげる。」 「なんやそれ。」 「えーマッジー!?知らないの?知らないのが許されるのは小学生までだよねぇ!優しい優しい撫子様が教えてやろう。」 「そうじゃねぇよ。なんで馬/犬さんのハイポーション(三作目)のが存在しとんや!」 「ふっ愚問だね。私が作ったからだ!もちろん再現率100%!」 「……………………………。」 呆れてものが言えない忍足。そして逃げたい感覚に襲われる。何故ならこのポーションは忍足が飲む流れになるのだから。 「なんで三作目のだって?一作目の材料ってすっごい高いんだもん!三作目のだったらハーブという名の雑草で賄えるし…でもちゃんと青一号は買ったから!安心して飲め。大丈夫。死にはしない。」 「だかこ――。」 「だが断るなんて言ったら青一号を口の中に突っ込む。もしくは部活のときのボトルに青一号ぶっこむ。発癌しろ。」 何処からか取り出した青一号のビンをちらつかせる。 「ポーションだったらバーブから抽出したきれいな馬/犬の方にしてや!」 「あぁ、それも作ったよ。…うん、普通に美味しかった!」 「飲んだんかい!」 「飲むわ!あんな手間暇かかるやつを作って他人に飲ませるなんて事、私がすると思ったか!で、君にはこれをあげようかと、ほらこの結末ごまかされてあんま分かってないし…予想はついてるけど。」 「飲むわけないやろ!」 「分かった。じゃあこれは跡部に飲んでもらうことにするよ。」 「はいはい、行ってきー。俺はまだ寝る。」 「これ渡すとき忍足からって言って渡してやる。絶対練習メニュー増やされるんだ。ザマァ。」 「ちょい待ち。」 「ん?」 去ろうとした撫子を呼び止める。 「俺が飲む。」 「始めからそう言いなさい、ほい。」 撫子の手から忍足の手の中にポーションが手渡される。 「……ハァ、ハァっハァぅハァ……。」 口もとにゆっくりとポーションを持ってくる。自然と呼吸が荒くなる。 「……なぁんか…エロス!」 「今ちゃかさんといて!集中しょんや!」 「一気一気一気一気一気一気一気一気!!」 「そぉい!ん、ん、んッ!」 「飲んで飲んで飲んで!」 「うはぁっっうぇ…ッ!?」 ブラックアウトまで後10秒 「うわぁぁあああ忍足ぃぃっ!グフッフフ。」 床に倒れてしまった忍足を大げさに抱え支える。 「撫子…。おまえ笑っとるやろ…。」 「あ、バレた?バレたついでにバラすけど滝も来てます!」 「やぁ、忍足面白かったよ。」 ドアの影から登場した滝、その手にはカメラが構えられていた。先ほどのやり取り、そして現在忍足が哀れな姿になっているところを収められているようだ。 「なんで、滝が家の中に居るんや…。」 「撫子の後についてばれないように来てたよ。ねー?」 「ねー!」 「これから部員全員の家に行くんだ。じゃさらば!」 「じゃ忍足。戸締りはちゃんとするんだよ。」 二人は忍足の家を後にする。 「撫子。笑顔動画って面白いね。」 「分かってくれた!?」 「愉快な人がいっぱいいて笑えるよね。」 「ですよね!次誰行こうか。」 「宍戸行ってみない?」 「よし行こう!」 「逃げや…超逃げ、グハァ…」 忍足が気がついたのは午後5時。忍足の貴重な休日は一瞬で終わってしまった。 ―――――― 祝6666hit りく様リクエスト『笑顔動画関連ネタ』 ご希望に叶ったものでしょうか! 実は笑顔動画ネタはまだまだ本編で書きたいから微妙なネタになってしまったかもしれません…。 これからの本編では、ボカロ使いが出てきたり、実況さんが出てきたり、コラボしてみたり、青鬼…。とか色々したいんです!ネタはたくさんあるんです。ただ…妄想と形にする技術が比例しなくてorz |
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