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「跡部!勝負だ!デュエル!」 「62837個。」 「は?」 「俺様は62837個だ。」 いきなり数字を言われきょとんとした撫子だった。その上、62837個という途方もない数字。金額にしたらきっと跡部が本当に中学生か怪しく思えてくる。が、撫子はこれに勝たなければならない。 「…私は?」 「物だけだと1521個だな。口ほどにもねぇ。」 「グハァア!?足下にもおよんでねぇ!」 「いや、撫子、その個数でも一般常識だとめっちゃ貰っとるで。ちゅーか氷帝学園生徒数ぐらいやん。」 「だったら跡部に一般常識を通用させるようにしてよ!」 「すまん無理や。」 「ド畜生!だったら…宣言通り動画の再生回数を合体すっぞ!あなたと合体したい物語。うわ卑猥!」 「んな茶番はいらねぇよ。」 「…チッ、連れねぇな。」 撫子は渋々パソコンを立ち上げ、大人しく再生回数の確認。投稿して約15時間経過していたが、 「グハっ!?足しても200個分足りねぇ!」 タイミングが悪かった。ど平日の深夜から夕方にかけてなんて再生回数が伸びるわけもない。 「いや、一日でそんな再生回数行くんが凄いわ。」 「ハーッハッハッハァ!惨めだなぁ椿崎。」 「クッ…。」 悔しさからか撫子は下唇を噛みしめて跡部を睨みつける。 「…撫子、言っとくけどな、自分らの競い方おかしいで。なんなん百個単位て、普通一個二個単位で競うもんやろ。見てみぃや、自分1521個貰っとるんやで?それ一個一個の価値は大きいやろうが。なんなん、嬉しゅうないんか?」 「………嬉しいに決まってんだろうが!忍足良いこと言った!初めて尊敬したGJ!」 「…出会って一年経つんに初めてか……。」 忍足の演説のようなものを聞いて撫子は心を入れ替えたようだ。そもそも個数で競うだなんて間違っていたのだ。貰った一つ一つはかけがえのない物だというのに、 「跡部!私はナンバーワンよりオンリーワンだ!」 「そうか、だったら俺様はオンリーワンよりナンバーワンだ。オンリーワンだなんてただの詭弁だろうが。」 「…そのプレゼント全部一人で食ってピザになってしまえ。糖尿病になって色々合併症を併発しろ。」 「残念だったな。俺様の体調管理は完璧だ。」 「……チッ。まぁ、いいや。いい思い出になったから。」 「せなやぁ…跡部とこんなに競って互角なんは撫子ぐらいやから色んな意味で印象深いわぁ。」 「ねー。私が田舎から出てきて蒼の貴公子で跡部の人気をかっさらって、ドッジボール、水泳、ハロウィン、文化祭、んでバレンタインか…結構激戦繰り広げたねぇ。」 しみじみと撫子は語る。 「今日はえらく語るじゃねーの、アーン?」 「馬鹿か、俺はもともと喋る方だ。っつって…いやー…そろそろ卒業かと思うとねぇ。そう言や卒業式が3月1日にあるのな。早いね。」 普通ならだいたいの中学は中旬に卒業式だが氷帝は例外らしい。 「まぁ、氷帝は内部が多いからなぁ…せや、撫子は卒業パーチー参加するんか?」 「あ?何それ。」 「跡部主催のパーチーや。跡部経営のホテルでやるんや…確か。」 「あぁ、そうだ。またホテルを貸し切ってな。」 どうやらまた豪勢な。卒業パーティーと言ったら花男のパーティーを思い出す。まぁ、十中八九そういった物なんだろう。 「…ふーん、何時?」 「これが3月中旬だ。」 「へぇ…ドレスコードとか?」 「勿論あるぜ?…桃の姫君の格好してきたら入れさせねぇからな。」 「チッ!先手打たれたっ!腹いせに嫌がらせを散々してやろうと思ったのによぉ!」 「ふん、お前の考えスケスケだぜ!」 「やけど撫子、自分ドレス持っとるんか?」 「あー…買わなきゃない、けど、流石に今回は自分で用意するよ。」 「おぉ!ええ心がけやな!」 「もっと敬い讃えてもいいのよ。」 結論としてバレンタイン対戦は撫子が惨敗してしまった。しかしながら楽しかったからいい、と撫子は判断。 |
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