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そろそろ一日が終わりである。これからアトベッキンガム宮殿に行ってチョコの集計である。ちなみに大量に貰ったチョコは屈辱だが運搬して貰っている。 そして放課後、校門のことろには女子の人集りが出来ていた。十中八九、跡部狙いだろう。 「うわ、すげぇ人。これ全部跡部狙い?」 「当たり前だろ?少ねぇぐらいだ。」 撫子と跡部が校門の方にある行ていったら彼女達が跡部の存在に気付いた。割れんばかりの歓声である。 「「「跡部様ぁあああ!」」」 「アーン?喚けぇ!メス猫共!」 「銀華中女子と福士ミチルは来てるかなぁ?と。」 撫子は跡部のそばを迅速に離れ、辺りを見回す。そして樺地が女子に一列に並んで渡すように指示し、長蛇の列を作った。 「んー…あ!銀華中女子三人衆!」 「「「!?」」」 「ちーすちーす。」 「何よ!また邪魔しに来たの!?」 「そんなまさか、恋する乙女は応援するよ。つーか助言しに来たんだっつーの。」 「…助言?」 「そうそう、君達、列ぶなら一番最後にしなさいな。一番印象に残るから。後、私と連んでたら跡部と会話する機会が設けられるという親切設計付き。どや?」 とても現実的な助言である。突拍子もない助言をするかと思ったが、違った。 「……その話、のってあげるわ。」 「うっほほーい!サンキュー!いやー、ぶっちゃけ跡部が帰らないと私も帰れないから時間潰したかったのよー。後、パンピの恋愛話をねー聞きたかったのよー。」 やっぱりというか、案の定と言うべきか、下心は満載だった。 「……まぁ、いいけどさ…。」 「顔面赤面しそうな等身大の恋愛ネタゲットだぜ!」 かっこうのカモ、カモがネギを背負っているというのはこの事か。撫子は三人の口から紡がれる恋愛話にキャーキャーしながら聞いた。険悪な関係だったはずなのに、何がどうしてこうなった。 ついに跡部の前だ。 「よっすよっす、跡部。この子等が最後だよ。」 「あああ、跡部様!受け取って下さい!」 と三人が跡部にチョコを突き出した。跡部は手慣れたように受け取ろうと手を伸ばした時、そんな時、この場には珍しい男子の声が聞こえた。 「待ッ、待て!」 「ミチル…?なんであんたが此処にいるのよ!」 ミチルがついさっき来た。いやはや、間に合ったと言うべきか、なんと言うべきか。 「いや…べッ別に……。」 「フーン、そ、私は今跡部様にチョコを渡してるの。邪魔しないで。…跡部様!受け取って下さい。」 その女子以外の二人はすでに跡部に手渡していたようなので、残るは福士と幼なじみの女子だけだった。跡部はそのチョコを見ていたが視線を逸らして体を翻した。 「そんなチョコ受け取れねぇよ。アーン?」 跡部は他の女子のものは受けとっだがその女子のものだけ受け取れないという。 「な、なんで!?安物だから!?でも友達と一緒で…!」 「そういう問題じゃねぇ。…帰れ。」 「っ、最低!」 女子は跡部に幻滅したような、悔しげな、しかしショックを受けている様子ではないようなそんな悲痛な声を上げ、この場から走り去った。 「おい、そこの男子。」 「な、なんだよ!泣かしてんじゃねーよ!」 「泣かしてなんかねぇよ。テメェ、アイツを追え。追って慰めてやれよ。好きなんだろ?」 「なっ!?」 「俺様にはなんでもお見通しだぜ?ホラ、行け。」 「…ッ。」 跡部の促しで福士はその女子の後を追っていった。 |
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