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「さて忍足!期末テストも終わって、次の行事は何なのか知ってるか!?」 「勿論や!」 「よろしいならば、」 「「クリスマス撲滅戦争だ!リア充爆発しろぉおい!」」 中学で言う二学期期末テストが終われば、次の一大イベントはクリスマスである。冬休みにもなっているためリア充には優しい都合である。しかし、対照的に非リア充である物達にとっては生き地獄以外の何物でもない。一人町を歩けば浮く。一人コンビニに行くことすら浮く。一人で何をするにしても浮き彫りになってしまう日である。 「ここ日本なんだからさぁ!一大イベントは初詣にしようぜ!?」 「激しく同意や!クリスマスを祝ったら年を越して初詣に行くなんて無粋やぁあ!」 「そうだそうだ!クリスマスに便乗するその他諸々に申す!マジで勘弁して下さい。こちら非リア充から見ればマジ生き地獄です。ついでにカップル限定とか言うのも止めて下さいマジで。」 「それに冬コミに参加する奴らにとっては修羅場なうやで!?」 「そだそだ!」 「あ、そういや24日なー――。」 「あぁ、椿崎。ここに居たのか。話が盛り上がっているとこいいか?」 ヒートアップしかけたところに先生が撫子を呼んだ。 「はい、何でしょう?先生。」 撫子はそれに応え、猫かぶり。 「次の事例発表なんだがな。都内のホテルの会議室を使用してする予定なんだ。日時は24日の昼から、じゃ言ったからなー。」 「え、あ……はい、分かりました。」 24日、彼氏云々、カップル云々、修羅場云々と言っている場合ではなくなった。学校行事が入って来やがった。 「…撫子さ、ん?」 忍足が先生の言葉によって硬直した撫子に恐る恐る声をかけた。 「フヘ、フヘヘヘヘヘヘ是非もねぇ!クッソ!冬休み返上かよ!」 「ド、ドンマイや!」 「クッソやろぉおお!忍足テメェ助っ人で来やがれコルァ!道連れじゃぁ!」 「あ、すまん。俺リア充はせんけど予定入ってんねん。」 「忍足のクセに生意気だ!」 「やって毎年跡部主催のパーチーがあるんやもん!」 「跡部主催のパーリー、だと!?」 「テニス部レギュラーは毎年行っとる行事や。撫子も誘おう思うた瞬間に、先生に先越されたわ。」 「先生に殺意が芽生えてしまったんだがどうすればいい?」 「…二次創作にぶつけぇ…。」 「忍足、お前が神か。そうする。」 簡単にストレスの発散方法が思い付いて良かったね。 当日、撫子は何が楽しくて冬休み一日返上で、正装をして寒い格好で、クソ真面目なスピーチを行いに都内のホテルの会議室まで足を運ばなければならなかったのか。 「―――以上が、今まで氷帝学園に約、8か月在籍して感じたことです。」 約20分におけるスピーチが終了。撫子は学校のお偉いさん達に囲まれ質問やら労いの言葉やら色々かけられた。その言葉に撫子はにこやかに返す。 「お心遣いありがとうございます。」 「いえ、大変なことなどありません。はい。」 「一年間でも私は岡山にいたときよりも沢山のことを学ぶことが出来ました。」 「視野を広げるという点では大きな効果があります。」 「!?…、はい……考えさせていただきます。」 ご苦労様じゃねーよ。見下してんじゃねーよ。お疲れ様だろ、ここはよぅ。あー…疲れた。もう6時じゃねーか。遊べねぇじゃねーか。学生の休みは意地汚く確保するもんだぞ畜生。 |
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