青春Destroy | ナノ


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12月。
雪も降ってきた頃、撫子達…いや、氷帝学園三年生はスキー実習へと繰り出していた。一泊二日。只今一日目お昼休憩時間。午前中はスキー教室にて指導者の下で滑り方を教わっていた生徒御一行。そして本日お昼からはほぼ自由時間。
唯一禁止されているのは、ロッジでぬくぬくと暖をとること。体調不良なら仕方ないが、外に出て遊べというのだ。子供は風の子とか言いながら先生たちはロッジで温かいコーヒーを飲みながら打ち合わせと言う名の雑談に勤しんでいる。
羨ましがっている人達は少なからず居るだろう。運動音痴の人々とか。しかし撫子には関係ないね。

「いやっほぉおおおおお!!雪だぁ!雪山だぁ!スキーだぁあ!スノボ美女だぁあ!何より自由時間だぁぁぁぁああああ!!」

リフトで上の方までやってきた撫子。付けているゴーグルをカッコつけながらずらして下に見える人々を見下ろす。ニヒルに笑えばどこぞの悪役の様だ。

「撫子、最後から二番目の言葉は容認できんわ。」

「バカ野郎!雪山美女は美白美人と相場は決まってんだよ!さぁ!可愛らしく尻餅をついている子猫ちゃんは何処かな!?今、ナンパしに行きます。」

ひゃっほー!とテンションが振り切れている撫子。しかたのない事だ。岡山県南部、雪なんて積もらない。降ったとしても表面が白くなる程度。霜に近い。積もるほど降ったらそれはもう奇跡なのである。スキーをするならば県北まで行かないとスキー場が無いのだ。しかしスキー用具は一式レンタルとしても料金は決して安くない。サブカルにおこずかいを費やしている撫子にとってスキーは自ら手を伸ばしてまで滑りたいとは思わなかったので、今までスキーと言う類のモノはやってこなかった。
そう、滑ったことが無いはずだったのだ。

「…なんで滑れとるんや。」

撫子と共に並行しながら滑り降りる忍足。

「午前中しこたま指導受けたでしょうが!」

「いや、俺ら習ったのスキーやから!スノボちゃうから!今撫子はしとるのスノボやから!」

「私の身体能力の高さをなめるな!スキーもスノボも同じだろ!」

「ちゃうから!幼馴染二人に現在進行形でいびられている今すぐ最近薄毛になってきて気にしているかもしれない彼に謝れ!」

滑りながらゲレンデの端の方に居るスノボをしているのだが一向に前に進むことが出来ず金髪と赤髪のマジ天使sにいびられている宍戸の姿を確認した。天は二物を与えずってやつか…。そう思いながら宍戸達の方へと優雅に滑り近づいて行く。ついでに派手に雪をぶっかけておこう。

「忍足テメェ泣かすぞ!椿崎も激ウゼェ!」

「え?啼かす?宍戸×忍足フラグ?ゴチ!」

「俺、庇っただけやんー。なんも悪い事しとらへんしー。」

「ちょt――っ!」

「長太郎と叫んだら貴様は前からモーホー軍団!」

「ッ………。」

カップル認定はやはり嫌か。

「つーか撫子ー!すっげぇカッコE!」

「ジローはマジかわいい!ウェア似合ってるよ!」

「えへへへ、嬉C!撫子もメンズなんか着ちゃってー!」

「うーふーふーふー、メンズの方が格好良かったんだもん!レンタルの女物、ピンクとか可愛らしい色ばっかで似合わなかったしねー。」

サイズ的な問題もあるが、それは心を深く抉るのであえて話題には出さない。あくまでデザインが理由でメンズにしたのだよ。

「しっかし撫子も大したもんだぜ。ま、俺のスノボテクには負けるけどな!俺、スノボでムーンサルト出来るもん!」

「別に勝とうだなんて思ってませんよー。ただ宍戸とかがこうやって悔しがる顔が見たいだけだから。」

「正に外道やな!」

「さて…忍足、もっと滑るぞ。実費でスキーはなんか腑に落ちない物があるからな。」

「ホンマやな。レンタル料、あれ値切りたくなるレベルやんもん。」

「じゃーねー、後からでっかいかまくら作ろうねー。」

簡単に別れを告げて撫子と忍足はさらに下へ。そこに残るは三人。

「なぁ、あいつ等って付き合ってんの?」

「ぁあ?知らねーよ。」

「付き合ってないと思うCー。」

「何で付き合ってねーの?」

「そこはダブルスペアのお前が知っとかねーといけねーことだろ。お前の方が仲いいんだからな。」

「やー…大抵の事は分かるんだけどこればっかりはなー…。」

「つか、別にどうでもいいだろ。下手に仲が悪いよりはいいじゃねーか。」

「まぁ、それはそうだな。よし…ジロー!嫌がらせの開始だ!」

「サー!イエッサー!」

「なッちょ、止め!長太郎ぉおおおおお!!」

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