青春Destroy | ナノ


027


メールを即座に開く。

「えーっと…。」

『誠に申し訳有りませんが、私情により参加するはずだったイベントに参加できなくなってしまいました。でも折角衣装は用意してしまったので東京のどこかのスタジオで撮影会しませんか?四時からならフリーなので…。撫子さんさえよければしたいと思っているのですが…どうでしょうか。』

「へー、ペテンさんも用事出来ちゃったのか…でも丁度良いよね?」

『私も実はイベントに参加できなくなってしまったんですよ。ですが私も4時からはフリーなので撮影会させて下さい。スタジオ…というか氷帝学園というバカデカい学校の煌びやかな音楽室を使えるのですがそこでしませんか?「龍ノ啼ク箱庭処リ」の雰囲気には合うと思いますよ?』

送信。
そして間もなくして返信。

『そんな学校の教室を使えるなんて驚きです。楽しみですね。では、その日4時に氷帝学園の門の所で待ち合わせをしましょう。』

「やった、オッケー貰っちゃったよ!日頃の行いが良いからかな!」

そんなわけない。

『了解しました!楽しみで仕方有りません、ではまた変更等があったら連絡しますね。』

送信。

「よし!一仕事終了。次はネットサーフィンだ!」

パソコンに向かい戦闘態勢だ。

「あ、ホワイトストーンさんのサイトが更新されてる!」

「ホワイトストーン」とは二時創作サイト「妄想したもん勝ちや!!」の管理人だ。
撫子は相互リンクをはらしてもらっている。「ホワイトストーン」の書く小説は現実味あふれており、感情移入がしやすいことで有名である。またの名を「エクスタさん」。これはあとがきで頻繁にエクスタシーと言っているのでそう呼ばれている。看板小説は「スモールスプリングwithカッパ」
今回はその続きが上がっていたようだ。新しく上がっていた話を読み終わった撫子。

「っはー…こんな恋愛してみてぇ…勿論異性と。しっかしホワイトストーンさんよくこんなネタ思いつくなぁ…尊敬するなぁ。良いなぁ、表現力あるなぁ…。」

劣等感に悩まされた撫子。とりあえず心のネット友「マスター」に話を聞いてもらうことにした。マスターの運営サイト「マスタープラン」に訪問。メッセージを送る。

『マスター…聞いて下さい。ホワイトストーンさんの小説を読んで劣等感にさいなまれています。助けて下さい。後依頼です。
・年下×年上(部活の先輩後輩)
・年下の方が受けっぽいけど長身の敬語キャラ。
・年上はツンデレ純情少年。
という設定で一つ妄想してくれないかい?報酬は出そう。』

「マスター」は公式設定からの妄想がとても上手いのだ。一の設定があったら十の妄想がある。さらにどれにも矛盾点が存在しないという。「マスタープラン」は主に考察サイトとして活動。考察サイトで活動している理由としては「マスター」の書く小説は論文の様で頭を使わないとよく分からない物になる為である。だから「マスター」の書いた小説を理解できる人物は貴重である。その理解できる人物に撫子も入っているため撫子は「マスター」と仲良くしてもらっているのだ。他に「乾でんち」という人物も理解できるそうだ。
マスターに愚痴った後は、忍足復讐用総受け本と宍戸復讐用鳳宍本作成である。なるべく万人に受けるような、過度の表現は控え時に切なく、時に甘く、時にセクシャルなシーン!

「よし、プロットは出来た。いやんR−18書ける私、天・才!……さっさと完全させよ。んで…っとマスターからだ返信だ。」

『大丈夫だ。お前の表現力もなかなかの物だ、自信を持てばいい。あと依頼の物だが、
ありきたりだが初めは純粋に先輩後輩だったが世話をしてもらっている後輩が先輩に惹かれ、しかし同性というのを気にして近付けず、変に距離を置いてしまう。先輩も後輩の挙動不審に気付いて気にかけるが後輩がそれを拒絶するから先輩との歓迎も悪化する。勿論それはたがいに望んだ展開ではないから―――――――――。』

「うっうっ…マスター、君は神だ!プロット段階でこんな涙腺崩壊させてしまう物が書けてしまうなんてっ…頑張って描き上げるからね!」

続きを読み始める撫子。

『でだ、報酬の方は撫子、今度KAITOコスするらしいな。そのデータでいい。神ショット期待しているぞ。』

「……そんなんでいいんだマスター…やっぱ貴方が神か!」

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