青春Destroy | ナノ


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後は日吉。

「はい、椿崎先輩。お菓子です。なのでハロウィンに浮かれないで下さい。」

日吉のクラスに行ってみたら日吉が日本の幽霊の定番の姿をして居た。そして撫子が合い言葉を言う前にお菓子を突き出してきた。

「…準備がよろしいようであざーす……が、なんかこれ量多いっつーか…こっち向けよ。」

日吉はさっきから視線をどこかにずらして撫子と話していたのだ。

「跡部先輩と競っているんでしょう?跡部先輩が負けている姿が見たいので肩入れしますよ。」

「っ日吉、アンタマジ良い子!で、こっち見ろよ。」

グイッと日吉の顔を掴んで無理矢理こちらを向かせた。するとどうだろう、日吉の顔が見る見るうちに赤くなっているではないか。

「止めて下さい!先輩も露出しすぎなんです!マントを片側につけてるならそっち側もつけて下さいよ!」

「あはーん、この初心日吉め!可愛いじゃねーの!喰らえサキュバスの攻撃!」

「やーめーてーくーだーさーいぃぃいい!」

「反応が可愛いすぎんだよ!」

一通り全クラスを制覇。昼休みは昼食も取らず周りつづけた。これで跡部に勝つる!と思ったのだが、三年A組から一年H組の子猫ちゃんと舎弟達の反応は実にセオリー通りだった。撫子の姿に阿鼻叫喚(良い意味で)。撫子もこんなに喜んでもらえるなんて本望すぎる。が、それが仇となった。お菓子はハロウィンの合い言葉、trick or treatと言って貰うのだが…trickを選ぶ人が続出したのだ。しかも撫子はそれに応えてしまうと言うファンサービス精神。仕方ないと思うんだ。

「ジーザス!」

一般の人よりはお菓子は集めることは出来ただろう。しかし跡部と比べるとなると…。

「アーン?それっぽっちか、勝った。」

撫子の二倍は貰っていた跡部。跡部は去年一昨年とハロウィンに居たので悪戯はもういいや、と言う女子。悪戯を望まない男子票があった。

「うっせぇええ!テメーには負けたけど悪戯を望まれ無いって事は人気はそこそこじゃんか!私は試合に負けて勝負に勝ったからいいんだ!」

「それを負け犬の遠吠えっつ言うんだぜ?ま、こういう結果になることは予想がついていたがな。」

「……はぁ…スイーツ………ハァ…。」

跡部に負けたことはそこそこムカつくけど、負けたことによって年間パスポートが手に入らないという事実が辛い。

「…フン、こんなものくれてやるぜ。」

跡部は樺地にパスポートを持たせ、撫子に手渡させた。

「マジで!?いいの!?」

「俺様は学校で食わなくても家にもっといいのがあるんでな。」

「あー、今そんな嫌みを言われても全然ムカつかない不思議。もう、今跡部に対してドキドキで壊れそう1000%ラブ、アァッ!」

撫子は全てが結果オーライで年間パスポートを手に入れた。何やかんかで気にはしていなかったが、学校全体がハロウィンを全力で楽しむってどういうこと。

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