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十月も半ば、文化祭の準備を行っている。ちなみにクラスは模擬店、テニス部で劇をするらしい。撫子達は引退したが扱いはまだテニス部として通る。 撫子は自分の机に向かって個人作業なう。そうしたらいきなり机をバァンと力強く叩かれた。 「ヒッなん!?」 驚いて顔を上げるとそこには撫子親衛隊の男女各代表者らしき生徒が互いに睨み合っていた。 「姉御!姉御はセクシーな魔女の格好をしてくれるっすよね!?」 「お姉様!是非ヴァンパイヤの格好をして下さいまし!」 「すまぬが説明を要求する!何がどうして私がそんな格好をしなければならない!」 全く状況がつかめない、何故撫子がそのような格好をしなければならないのか。 分からない。 「あー、撫子は知らんよなぁここの学校のプチ名物。」 「何それそんなの初耳。ちょ、kwsk。」 「やろうなぁ。ハロウィンが今月末あるやろ?それに向けての仮装を何んするかでもめてんでぇ。氷帝は10月31日はみんなで仮装して校内カオスや。」 「何その心ときめくその行事。氷帝マジ最高。」 「やろう?で仮装は自由なんやけど、まぁ人気なんが女子は魔女っ子。男子はヴァンパイヤや。」 「あー…なるほど。だから二択ね。」 「だからお姉様!是非ヴァンパイヤを!」 「いや!魔女を!」 両者一歩も引かずいがみ合う。 「うーん…。」 正直ヴァンパイヤの方をしたい。私は男装慣れしてるし…でも男子に媚び売ってた方が創作がバレても罰はなんか軽い気がする。や、でもどっち………………あ。そうだ、あの手が有った。 「子猫ちゃん&坊ちゃん、私は魔女もヴァンパイヤもやらないよ?」 「「何故!?」」 「うわ、シンクロ。ダイジョーブ、損はさせないから!当日楽しみにしててよ。お菓子、期待してるよ?」 ニコリと笑って見せ、その場を収拾。親衛隊は撫子の前から去っていった。 「なぁ、撫子どうするつもりなん?」 「んー?その二択じゃなくてもいいんでしょ?だったら他のするをだよ。元々ハロウィンでお化けの仮装をするのは霊達を驚かせて自分に取り憑かせないようにするためなんだからねー。」 「やっても…衣装……。」 「チッチッチ、なめてもらっちゃあ困るぜ。私を誰だと思ってんの?人気レイヤーだぜ?自作の衣装ぐらい簡単だっつーの。」 ドヤ顔の撫子。 「…期待、しとくわ。」 「私だって黙ってたらイケメンのアンタの仮装楽しみにしてるし。」 宣言通り撫子は自分の衣装を作るために、休日、町へ布を買いに出る。最近は忍足と言う財布があったからこうやって布を求めて三千里をするとこをしなくなっていた。手芸屋に着いて、布を買いあさる。流石東京、生地の種類がハンパない。撫子のイメージにあった布を数種類買って、ご満悦。 後はアクセサリーとか小道具を準備すればいい。ついでに買っておこうと町を探検。そして見つけてしまった。 「こ、ここはッ虎のあな!」 目的変更。残ったお金はアンソロ代にまわしましょうか。お宝がザクザク、いっぱい。一日居ても見きれないほどの宝。その中からフェイバリットな物を厳選して選び抜いた。勿論18禁だったりする。年齢確認で引っかかるかと思ったが、高い身長とメイクをしていたからだろうか?顔パスでレジをくぐり抜けることが出来た。 「170を超える身長よ、ありがとう、そしてありがとう!」 さて、目的は果たせたから家に帰るか。 「おねーさん、重そうな荷物だね。…布?あ、分かった!おねーさんデザイナー!?」 …なんなんだこの馴れ馴れしい男子は。 「……ハァ?」 「あ、俺ねー千石清純、セイジュンって書いて清純って読ませるんだ!それにしても俺ってラッキー!こんな美人なお姉さんに出会えるなんて!そうだ、良かったらこれからお茶しない?」 ……ハッ!?こいつナンパか!ナンパ野郎か!ナンパ初体験だぜ!しかもとらのあなの近くで…マジ羞恥プレイ、マジ勘弁。 「…結構です、他をあたって下さい。」 「えー、そんな遠慮せずにさぁ!って言うかどこかで会ったこと無い?」 会ったことねーよ!遠慮なんてしてねぇよ!心底嫌がってるよ!あ、そうだこう言うときこそクチコミの四コマである撃退法を使うべきだ! そう決断した撫子は先ほど購入したアンソロ(表紙ヤバ目)を袋から取り出して見せつけた。 「こういうのが好きな女だけど、いいの?」 フン、と勝ち誇った顔を見せる撫子だった。何故なら千石が逃げていくと思ったから、しかし現実はそうも甘くなかった。 ―――――― 実際、そう言ったところでそう言った本を買う時は年齢確認ありますけどね。 |
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