青春Destroy | ナノ


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「やぁ、みんなお疲れ。良い劇だったよ。特に撫子さん、本当に飛び入りなのにアドリブであそこまでしちゃうなんて。」

「あぁ…いやー、流石に緊張したけど精市君が真田君の衣装の追い剥ぎ+舞台に立つことにおk出してくれたからもう暴れちゃおうと。」

「撫子さん、似合っているが…いきなり計算にないことをするのは止めてほしいな。舞台に立っている方は頭が追いつかなかったぞ。」

「計算通りにならないのが私!」

「……………。」

ドきっぱりと言う撫子に柳は返す言葉が見つからなかったようで、黙った。

「お疲れさまっす!良い劇っした!ってなんすかホント…椿崎さん、その格好…。」

桃城が再びステージの方にやってきた。

「私がリョーマの王子様をやっただけですが何か。それよりもちゃんとカメラに納めたんだろうな?」

「ああ!もうちゃんと撮りましたよ!俺の命に関わってるんでね!」

桃城は悔し涙を浮かべながら撫子にカメラ等を返す。

「ふむ、欲やった。褒美を使わすぞよ。いつか。」

「なっ…いつかっすか…。」

「ぞよぞよ。」

「撫子さん、この後は今着ている衣装で校内を回り、票を獲得していこうと思っているのだが…弦一郎に衣装を返すのと、着たまま俺達と校内を練り歩く。どちらがいい?勿論後者には礼を出そう。」

「え、そんなの後者の方に決まってるじゃないか。こんなクオリティの高い衣装を堪能させてくれや。」

「ならばこのまま行くぞみんな。弦一郎は自由に文化祭を楽しんでこい。クラスの方に戻ってくれても構わないぞ?」

「う、む…。ではクラスに戻るとする。」

真田はクラスに、その他は校内を練り歩くことに。

「そうです。越前君もこの中に加えるべきでは?」

「リョーマ!ちょっと呼んでくるね!」


時は少し遡り、リョーマが服を着替えるために飛び込んだ更衣室。

「あー…俺ダサ…なんで気を失ってんだよ。ニャロ!」

先ほどの失態を悔いているようだ。折角、撫子争奪戦にて一歩リード出来る位置に自分は居たというのに。きっとこの場面に財前や白石が居たら指を指しながらプゲラゲラと笑っていたと思う。

トントン――。

ドアを叩く音が聞こえる。そしてドアが開けられる。

「越前君、良いかな?」

入ってきたのは幸村だった。

「…もう、入って来てんじゃん。」

「無茶なこと言ってすまなかったね。けど、おかげで劇は大成功だ。」

「じゃあ、ファンタ奢ってよね。」

「あぁ、それくらい構わないよ。後で真田に奢らせるから。」

「…。」

「それでこの後そのドレスを着て校内を歩くから着替えないでね?」

「ハ!?」

「うん、分かってくれて嬉しいよ。それで、俺思ったんだけど越前君って案外ヘタレなんだね。不二君から越前君の椿崎さんloveっぷりはスゴいって聞いたから、あのままどさくさに紛れて越前君はチューしちゃうかと思ったのに。って言うかしてくれれば面白かったのに。」

「!?」

「年相応で安心したよ。不二君からも忠告されてると思うけど、おとすの大変だから。頑張りなよ。坊や、フフフッ。」

幸村は部屋から出て行った。するとすれ違いに撫子が来た。

「おっす、精市君。リョーマーお、着替えてない。間に合った!校内練り歩きに行こう?」

物凄い笑顔。そんな笑顔を撫子はみんなに向ける。リョーマだけに対するフラグは立たない。

「…ウィーッス。」

リョーマはモヤモヤとした気持ちを抱いたが、今は撫子と過ごせる男女逆転祭りの様なものをめいっぱい楽しむことにした。海原祭は無事に幕を閉じ、シンデレラの劇はユーモア賞を受賞した。
撫子には協力した見返りに柳から沢山のデータをもらっただとか。その後の撫子のサイトの荒ぶりっぷりは歴史に残る気がした。

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