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ある金曜日の夜、撫子の携帯がなった。着信を見てみると仁王の名前が表示されていた。何なんだろうと思いながら通話ボタンを押した。 『おぉ椿崎か?』 「あぁ椿崎だ。」 『おまん明日暇か?』 「ん?んー…暇だけど、何?」 『明日立海で文化祭があるんじゃけど来るか?』 「…急すぎるだろ。もっと早めに連絡寄越せよ。まぁ、赤也君と約束してるから行くけどな。ん?でも何で仁王が連絡よこしてんの?」 『フッフッフ、それはのぉ…来てからのお楽しみじゃ。』 「…それは本当にお楽しみになるのかね?」 『椿崎じゃったら、かなりお楽しみになると思うけ。ペテン師を信じんしゃい。』 「いや、ペテン師とか一番信じたくねぇよ。でも、楽しみに明日行くわ。」 『おん。じゃ明日、あでゆー。』 「はいはい、あでゆー。」 そんな感じで明日の予定に充実したものが入ってきた。 「…とりあえずデジカメとか充電しておこう。」 そして立海の文化祭、海原祭の開会である。見慣れてしまった校門をくぐり、とりあえずテニス部が居るであろうテニス部部室に向かう。部室の扉の前までやって来て、控えめにノック。 「もしもーし、誰かぁ?」 しかし返事がない。人の気配もしないから居ないのだろう。仁王にも連絡を入れてみるが、出ない。 「……あの野郎…。」 知り合いがテニス部しか居ないのにそのテニス部が見つからないなんて心細いだけだぞ、コラ。部室に行ったがもぬけの殻、なれば校舎の方に行って楽しむさ!あ、ちゃんとテニス部員は探すよ。 「さーて、パンフパンフ…。」 パンピ版宝の地図を片手に撫子は校内を闊歩。 「…たこ焼き食べたいな……。フリマ、屋台、展示、歴史、執事喫茶…執事喫茶ァ!?」 撫子は宝の地図を順に見ていくと、そこには執事喫茶たる名前の店が存在して居るではないか。 「行くしかないっしょ!どこ!?3−A!?よしッ!」 到着すべき場所を確認しクラウチングスタート。ただし、競歩で。そして到着。 「「お帰りなさいませ、お嬢様。」」 扉を開けたら、そこには身なりの整った執事が二人待機しておりセオリー的な台詞を言った。勿論滾る。 「ッキャアアア!!…って柳生君に真田君ではないか!」 「椿崎さんではありませんか。お帰りなさいませ。席の方へどうぞ。」 知り合いが来たからと言って臆することなく柳生は対応してくれた。 「慣れてますなぁ。写真一枚良い?」 「えぇ、どうぞ。もう仁王君や丸井君からのからかわれで相当慣れました。」 「…なんか、ごめん。あ、注文はソーダフロートで。」 慣れました、と行った柳生の表情は哀愁がかなり漂っていた。相当からかわれたのだろう。ご愁傷様です。 「うむ、承知した。」 真田がオーダーを受け取りすぐに注文した物を持ってきてくれた。 「お嬢様、こちらソーダフロートになります。」 「ありがとう、サナダチャン。」 「うむ。」 撫子は飲みながら話しかけた。 「あー…美味。…しかしここの学校規模が凄いね。」 「ええ、伝統ある学校ですから。お嬢様この後はどうするのですか?」 「とりあえず食い倒れる。ここのたこ焼き食おうと思っているのだが評判は如何程?」 「そこのは美味いぞ。」 「マジか。」 真田が食べたことがあるのか、お勧めしてくれた。ならば食べに行くしかないじゃない。 |
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