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曲が終わり、撫子も止まる。 逆にギャラリーが動く。手が動く。 拍手喝采。 「…………フゥ―――――――ッ…!?お、おぉ…ありがと、う…?」 終わった瞬間はダンスの余韻に身を任せていた撫子だったが拍手の音で意識が戻ってきた。意識が戻ってギャラリーの方を向いてみるとさっきの人数の倍以上が集まっている。全員集合である。 「な、なななな?何故こんなに増えてんの!?一番『ハン、どうでもいい放っとけ』とか言ってそうな跡部も何で居んの!?何で桃尻も居んの!?」 「…椿崎だったのか…?」 跡部は信じられないと行った様子で撫子の苗字を言った。どうやら撫子だと思っておらず見学していたようだ。 「そうだよ!私だよ!気付けよバーロォオ!!」 「もう…勉強会を予定していた時間になったからな、それぞれの部長たちに連絡を回したらな…白石は出ねぇ、手塚はドライブモードにしてやがって幸村は一言『殺』って言ってきやがった!俺様にだぞ!?ふざけんな!!」 「…で、部長sを探してここまで来た…と。」 「ああ、そうだ。」 「ついでに暇そうにしてた奴らもふんだんに使ってか?」 「悪いか?」 「悪いわ!!巻き込むな!私の今の格好はパンピに見せても良いもんじゃねーんだよ!跡部ッギャラリーが居なかったらマジほんとグーだよ。」 ギロリと睨む。 「…………。」 「反応しろよ…。じゃ私着替えるから、みんなは先に勉強会開いててよ。私は遅れて行くし、あ、今、ここで見た私は速攻で忘れてね?じゃないと…[ピー]しちゃうぞ?」 脅して、撫子は更衣室へと退場した。撫子が着替える中扉が開く音と歩いている音が聞こえたから、みんなは退場したのだろう。 撫子もなるべく早く勉強会に参加しようと、迅速に服を脱いでカラコンを取ってメイクを落とした。 「……何でみんなざわめかなかったのかなぁ…私がこんな格好でノリノリで踊ってたらふきだしてもいい感じなんだけどな…ハァ、それにしてもギャラリーに気付かないとか、うっかり撫子ー☆」 色々と終了して撫子は急いで部屋に向かう。 「ちーっす。課題をやってねかった悪い子はどこじゃぁああ!」 「ハイハイハーイ!あ、三つ編み眼鏡だC!イモ子だ!」 課題に向かっていた顔を上げ、元気よく手を挙げた、ジロー。撫子は、行動は形から。と言う事で三つ編みと、黒縁伊達眼鏡をその辺からパクって来て装備している。 「やだ、可愛い。けどドヤ顔するものじゃない。」 「えへへへへ、」 「癒しが居るよー後で荒んだ私の心を癒して。で、他には?」 スッと手がちらほら上がる。 氷帝からジロー、岳人、宍戸。 青学から菊丸、桃城。 立海からブン太、赤也。 四天宝寺から金太郎。 なんとも、予想通りなメンツである。 「……うちの学校どうした?てか四天宝寺めっちゃ優秀やん。」 「まぁな、金ちゃん以外のアホは居らんねん。真面目やし、」 「んで九月一日の提出日には家に忘れてくるんがセオリーやな。」 白石と謙也がハイタッチ。四天宝寺は勉強よりも校風を大切にするらしい。 「アーハハハハハ!何ですか?おたくの学校劣等生が多いんすか?」 「黙れ桃尻!!お前なんか終わってねぇじゃねーか!出来てもねぇやつが偉ぶってんじゃねーぞ!糖人形にしてやろうかぁあ!?ぁあん?」 「ハッ脅しなんて実行に移さなかったら怖くないんすよ!それに俺、宿題は英語のワークだけなんすよ!」 「…………跡部、砂糖をありったけ用意できる?熱してクッソ熱いまま桃尻の皮膚に直接垂らしてくる。」 「あぁ、可能だ…いくらでも用意してやる。おい、樺地。」 なだめるかと思っていたが、率先して用意してくれるようだ。我が校を馬鹿にした桃城にムカついたから、プライドだけはむっちゃ高いお坊ちゃま学校。 「嘘っす嘘っす!反抗して申し訳なかったっす!」 「始めから遜っとけ。でもなんでうちの学校はこんなに多いの?夏休みいっぱいはみんな部活あったでしょ?……ちょっと他校さん、課題一覧とかある?」 どうして自分の学校は課題完了率が少ないのだろうと疑問に思って、原因究明。とりあえず課題一覧を覗いてみる。 |
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