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昨日の昼からご飯を食べていなかったので軽くパンをかじり、ジャージに着替えて学校へ行くことにする。部活は午前中だと聞いたからもう誰も居ないかもしれない。居なかったらまた明日謝ればいいとそんな軽い気持ちでテニスコートまで足を運んでみた。するとコートには跡部が一人、壁打ちを続けていた。 「跡部…いるんだ。」 「…なんだ?」 遠くからではあるが撫子は跡部に声をかけた。声を張っていった訳ではないため、聞こえていないと思っていたが、聞こえていたらしく跡部は、壁打ちを止め撫子に向いた。 「関東大会の後…八つ当たりして……ごめん…。」 撫子は跡部のすぐ傍まで歩いて行って頭を下げた。精一杯の謝罪の印だ。 「………。」 跡部は無言のままただその行為に目を下ろしていた。反応がないし、顔も見ることができないため、撫子は泣いてしまいそうであったが、堪えて続きの言葉を言った。 「これでも足りないなら土下座でもジャンピング土下座からのスライディング土下座だって土下寝だって、なんだってする。だから、もう一回マネージャーをさせて下さい。」 「…ラリーに付き合え。」 跡部は一言言うとコートに入っていった。ラケットはそこに転がっている物を使わしてもらう。跡部がサーブを打ち、撫子はそれを返す。どちらも技を決めようとする意思は見られず、長い長いラリーが続いていた。 「「…………。」」 「「……。」」 お互い無言のままラリーが続く。 「…お前、テニス上手かったんだっけか…。」 始めに言葉を発したのは跡部だった。それに対し撫子も返事をした。 「…まぁ、ピークは小6の頃だよ。今は球出ししてるからある程度打てるぐらいだけどね。」 「大会に出たことも、あるんだな?」 「そりゃ…あるけど?」 「負けたことはあったのか?」 「もちろん…沢山。」 「そうか…。」 話しながらもラリーが続く。 「あ…。」 このまま話しながらラリーが続くかと思っていたが、跡部の打ったボールがネットにかかり、強制的にラリーが止まってしまった。 「全国大会前なのにそんなショボいミスすんなって。」 撫子がボールを拾うためにネット際に、跡部も拾うためにネット際に、自然と向かい合った。 「……かった。」 「へ?何?」 「…ッ悪かった!」 跡部はその言葉を言い捨てコートを去っていった。一人残された撫子。 「…………跡部が私に謝ったぁあ!?」 天変地異の前触れだよ、ヤバいよ、開催地枠貰ったから跡部も浮かれてるんだよ、きっと。衝撃過ぎて今の言葉を忘れてしまいそうだ。一生残しておかければならない。カメラもなにも用意できていないから、私の脳内で一生再生しまくって保存しておかなければならない。 「…あ゛、あのッナルシストめ……。」 そして撫子は感動とは別に怒りを覚えることとなった。 「コート整備、私一人かよ!」 跡部が壁打ちをしていて転がしていたボールを拾ったり、さっきまでラリーしていたコートを撫子一人で整備しなくてはいけなくなった。 「跡部…タナトスの声を聴け、今すぐにだっ!」 謝ってくれたのは嬉しいが、何という仕打ち。酷いよ!あげて落とされたよ! ブツブツ文句を言いながらも整備していく。そのまま帰ったら監督にまで怒られてしまうから。先生には怒られたくないという気持ちがあって、納得いかなくても整備することにした。 次の日朝、練習で出会ってすぐドロップキックを食らわしておいた。少しスッキリした。そして、来る部員来る部員が半泣きになりながら撫子に声をかけていた。 「姉御に…もう会えないかと…ッ。」 「…いや、大げさだからね。会えないかと…ってあのままマネ辞めたとしても新学期から会えてたからね。」 ジローと岳人は何故か撫子に抱き付いた。理由はよく分からなかったが、俺得だから良しとする。滝には昨日来なかったことをオーラによって叱られたので土下座しておいた。 「よ、久し振り…忍足。」 最後の方で忍足が来た。 「おぉ撫子、おはようさん。何で昨日は来んかったんや?」 「…単なる寝坊。でも、昨日跡部に謝れた。」 「それは…良かったやん。」 「ま、ね。」 「これから…言うても後もうちょいやけど、よろしく頼むわ。」 「おぅ、頼まれた。」 撫子はマネ業に励む。 そしてこの日がついにやってきた。待ちに待った、 |
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