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そして終業式、夏休みの始まりと共に関東大会が始まった。 「うー…始まったねぇ、始まっちゃったねぇ…。」 開会式も終わりついに試合開始。撫子は緊張からか一人で始まったと繰り返し呟く。選手でもないのにどうしてこんなにも緊張をしているというのか。 「なんや…撫子が緊張してどうするんや。」 「や、だってさ…負けたら終わりだから…怖いじゃん…しかも相手は青学……。」 どうやら一回戦初っ端の相手が親しみのある青学というところで緊張を増強させてしまっているようだ。 「せやな、撫子は青学とも仲ええから余計か。」 「すまんな。知ってる学校と公式試合で当たると…辛いもんがあるわぁ。クラブの方だと別になんとも思ってなかったんだけど、なんか学校対抗となるとなんか来るもんがあるわ。」 「…でも撫子は氷帝テニス部のマネージャーや。そこは区切り付けときや。」 「分かってるって、ホラ忍足挨拶に行ってきなよ。」 「じゃ、応援頼むで!」 「任せとけ!」 氷帝と青学が挨拶しているところを見つめる。挨拶が終わって不二と越前が手を振ってきた。撫子は笑顔で振り返す。仲のいい人達が敵とか本当に嫌なものだ。きっと決勝戦とかで当たっていればこんなにも悲観的になることはなかっただろう。決勝戦ならば負けても全国大会に行くことができるから。しかし今回は一回戦目、どちらかが全国大会に行けない。とてもシビア過ぎてワロエナイ。 「ハァ…。」 「アーン?しけた面してんじゃねーよ。」 「いや、するつもり無くてもしちゃうんだって…。」 着々と試合が進む。 一試合目は忍足と岳人のダブルス。ゴールデンCPだもん。うん、仕方ない。仕方がないんだ。忍足と岳人がここまで食らいついたことが素晴らしいんだ。忍足はどちらかっていうかシングルス向きだし、岳人はどうしてもスタミナがついてきてないし、練習だって基礎練の外周や筋トレが嫌だからってあまりしてきてなかったし…止めれば良かった。可愛さに負けた私のせいだ。ド畜生。 二試合目は鳳と宍戸のダブルス。流石フェイバリットCP!見せてくれるぜイチャラブっぷり!冷静な宍戸…新しいな。これはもしかして宍戸が攻め戸になれるフラグかな?先輩の意地見せてやるっつって。でもなぁ鳳ってそれをも凌駕しそうな素材持ってそうなんだよなぁ。負けませんよ。みたいな。結構負けず嫌い?自分の芯を押し通す的な。 三試合目は樺地。二人とも手が痛そうだよ。そうだ病院に行こう。樺地も二年ながら三年の河村君に食いついていけたから流石としか言いようがないよ。君にはまだまだ伸び代がありそうだよね。私が評価するまでもなく。けど、無理は禁物だよね。あ、監督が頭下げた。ヅラずれねぇかな?むしろずらしに行きたいな。私はまだ監督のことを許してなんかないからな。 四試合目はジロー。うん、下手に勝って周助君の逆鱗にかからないなら良いんじゃないの?そういえばジローって裕太君とも当たってた…ような?不二様…復讐ではありせんよね? 次が跡部。流石キング。こんなに必死に相手に向かっていく姿初めてみた。いっつもすかしてて、ナルシで、ホクロで、あれだけ高貴に振る舞ってる跡部が汗だくで息を切らして戦ってるなんて…感動するよ。跡部の試合を見て感動する事になるなんて思ってもみなかった。一生の不覚。 さて…今は引き分けで、次の日吉とリョーマの試合で決着が付くなぁ。こんなにハイレベルな試合が出来るのに…もうこれ決勝でよくね?誰も異論は言わない気がする。だってもうスタンディングオベーションしてるもの。私が。みんなが。けど、公式試合だからそんな措置ある訳もなく、これから最後の試合が始まる。 「日吉…頑張ってね!」 ありきたりな言葉しか思いつかなかったけれど。 「言われるまでもないです。あんなチビスケに負けるわけありません。」 「舐めたらあかんぜよ!リョーマは青学のルーキーなんだから。」 「…先輩はどちらの味方なんですか。」 「もちろん氷帝に決まってるよ!私は氷帝学園三年生椿崎撫子なんだから!」 「それを聞いて安心しました。行ってきます。」 「はい、行ってらっしゃい。」 試合展開を見て、大きく深呼吸。 動揺なんて、しないさ。 覚悟はしていたことだから。 |
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