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そして準決勝、コートで相手チームを待っている。ここにいるのは撫子と宍戸、樺地と跡部、後は準レギュラーのメンバー達。撫子が宍戸に話し掛ける。 「ねぇ宍戸はS3だけどプレッシャーとか有る?」 「ねぇよ。前の奴らと、俺が全勝すれば勝ちだしよ。それにこんな都大会ごとき跡部が出る必要性ねぇだろ。」 さっさと終わらしてぇ。 「お?宍戸も跡部の実力は認めてるんだね?デレ期だな!」 うん、宍戸…君は左になる要素が無いね完全右!右以外のポジションなんて君にはないよ!跡部に鳳…君の右レーダーにはある意味で一寸の狂いもないよ!やったね宍戸、彼次が増えるよ! 「なっ!?…当たり前だろ、跡部は伊達に200人の頂点にいる訳じゃねーぜ。そういう椿崎こそ…俺もって事はお前も認めてんじゃねーのかよ。」 「グッ…あげ足を取るのが上手くなったじゃないのさ、宍戸の癖に…。」 「俺を何時までもなめてたら痛い目見るぜ。」 「…なんだよ。ちょっと前、女子との無理やりチュー事件では半泣きになってたくせに。」 「テメ、黙ってろ!」 「嫌でプー。黙りましぇーん。」 「宍戸、何時まで喋ってんだ。集合しろ。」 ネットを挟んでの挨拶の時間である。宍戸が撫子と話し混んでいて気付かなかったが、宍戸以外は既に集まっていた。 「おぉ、わり今行く。」 宍戸は跡部の呼びかけに応えネット際へ移動。互いに視線のみでの威嚇をして開始の挨拶が大きく響く。相手校はノーシードの不動峰。メンバー達は楽勝だと言いながらコートの外へ。 そして撫子は一人感じ取っていた。 やばい…あの学校、テラ強い!絶対強い、凄い…凄いよ……部長の橘?君から…総攻臭がする!なんでみんな気がつかないんだ。あんな攻め攻めしい…いや、漢気溢れる彼を何故みんな楽勝だと言えるのだ!?信じられない。けど、橘君以外からはあまり攻めオーラを感じないな…だったら気をつけるべき相手は部長の橘君だけ? 撫子はそんな疑問を抱きながらオーダー表を見ることにした。するとどうだろう。危惧するべき点が浮上してしまった。 え、橘君以外二年生!?嘘っ!?あーっ…どうしよう、絶対チーム一丸だよ。やる気が多分うちの数倍?うちの学校みたいなレギュラー争い無いだろうし…。すっっごい和気藹々として…橘君…ハーレム作ってるよ。知ってるか?好きな人を喜ばせるためなら人は死に物狂いなんだぜ…。それに初出場ながらここまで来れてるってことは、去年までは大会も参加できていなかったってことかな?出来ていなかった原因…オーソドックスにテニス部自体がなかった?あんなに強そうな橘君がいるのに?…いきなり現れたという事は転校生?転校生にここまで肩入れのできる二年生。何か宗教的なものを感じなくもない…。あ、ダメだ。こっちの死亡フラグしか立たない。どうしよう、これ、言っておくべき?でもいったところでなんて言うべき?こんな根拠もない妄想…もう女の勘って通すか。桃井ちゃんも女の勘っつって言ってたところもあるし。 「氷帝集合!!」 挨拶から戻ってきたメンバー。撫子の呼びかけにすぐ集まってくれた。(跡部以外) 「いい?あの不動峰、ぜっったい強いから、絶対油断しちゃだめだから!!絶対だから!これ本当、油断したらダメだよ!」 「「「ハイ、姉御!!」」」 「ウム、良い返事だ。各自アップする事!では…行ってよし!」 始まった試合。楽勝で勝つかと思われた試合で二連敗。試合をした本人たちも信じられないといった様子だ。あれだけ忠告したというのに。それでも油断していたのか。見ている撫子も気が気じゃない。次はついに宍戸と橘の試合。 「…ッ宍戸!」 「あ?なんだ?」 宍戸を呼び止める。 「宍戸はあの橘君と当るけど、勝てよ。勝って樺地君や跡部に繋げろよ。」 「んなこと分かってんだよ。まぁあっちはノーシード校だぜ?レギューラーの俺が負ける訳ねーぜ。」 「それが油断っだっつってんだよ。むしろあんたは受けスペック高いんだから橘君…は総攻めのはず、にやられちゃうよ。」 「は?また暗号かよ、まぁ見とけって。」 勝つからよ、と笑った宍戸。そんな姿を撫子は見送った。それを信じるしかできなかったらけだが、信じていてもそれが宍戸の即戦力になるわけなかった。 「…嗚呼…あぁ……。」 結果は、宍戸の敗退。 氷帝学園は不動峰に負けてしまった。決勝進出、青学と戦うことは今回叶うことはなかった。 |
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