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立海で四天王寺との練習試合に助っ人に行った一週間後、地区予選大会があった。 全国へ上り詰めるために始まった大事な大会。大事なくせに準レギュラーしか出さないとは真剣勝負をなめクサってんのか、と撫子は一瞬イラッとしたが、よく考えろ。普段は活躍しているところが観察できない準レギュラーメンバーをガン見出来る機会なのだよ。そんな俺得マジパネェ。 試合の結果としては氷帝は優勝。次は都大会だ。 しかし撫子は行くことが出来なかった。何故なら跡部を始めメンバーが行くな、行くなったら行くなと訴えてきたのだ。何故だ!と聞いても理由は濁すばかり。キレかけてた撫子だったが滝の圧力に押し負け結局いつも通り氷帝でマネージャー業に勤しんだ。 気がつけば五月も終わる。だんだん暑くなってきて、もうすぐ衣替えの時期ですね。 半袖から覗く二の腕がたまらない時期ですね分かります。 ところで何か忘れているような気分。 只今、撫子は家のパソコンの前でネットサーフィン中。 「何だったっけ?……今日のサイト更新忘れてたっけ?いや、今したところだし…。」 と呟いてみるとちょうどメールが届いた。 誰からだ?と開いてみると仙人掌、所謂不二からだった。 『ねぇ、テスト前に撮影会したあのデータいつ取りに来てくれるの?』 「あ…これだ、忘れてたの。……え?取りに来てくれるの?って…仙人掌さん…私の学校に持ってきてくれる手はずだよね?」 『やっぱり取りに来てくれるかな?ほら、僕って色々忙しいし。それに滝君とはちょっとプライベートで会えたしね。偶然って怖いね!』 「ホントダネー、偶然ッテホント怖イヨー。」 『それより撫子さんが氷帝で、中学生でしかもテニス部マネージャーって事には驚いたよ。高校生かと思ってた。』 「…サイトとかに年齢って書いてた方がいいかな?あ、私のサイト微裏あったわ。年齢詐称してた。」 『そうだ、データ取りに来てくれたら偵察させてあげるよ。』 「えー…偵察ー?」 文章は続く。 『君の好きな越前も撫子さんに会いたがってるしね。』 「よし、行きましょう。生きましょう。むしろ逝きます。リョーマが私を待っているならば、私は今、会いに行きます。」 返信をして、仙人掌の返事を待つ。 『分かったよ。好きな日に来て良いからね。来てくれるのを楽しみにしてる。』 「ふむ…好きな日……跡部に言って部活をサボらせてもらおう。」 しかし、偵察させてあげるよとは…太っ腹なのか、よほどの自信があるのか。 「まぁ、何にせよ。試合を見てCPを考えれば良いだけの話ですよね。」 ――――――――― ――――――― 「と言うわけで明日、青学に偵察行ってくる。」 「…あーん?お前が偵察?止めておけ。」 次の日の部活の時に跡部に報告。 「なんでだ!ちゃんと青学の許可貰ったし!後はアンタの部活サボリ許可さえ出れば行けるのに!」 「氷帝とあろうものが偵察なんて格好悪いこと出来るか。」 「変なプライド掲げてんじゃねーよ!貪欲に行こうぜ!」 「跡部…そんな事言うても都大会で当たる可能性があるんやったら偵察しとった方がええんとちゃう?試合するんは準レギュラーやろ。」 「……………。」 「また貴様らはなめたような真似を…あ、そうだよ!確かに準レギュラーの子たちは強いけど、やっぱ相手の弱点とか知ってた方が心が軽くなると思うんだよ!」 「だったら準レギュラーの誰かを行かせる。」 「何で!?」 「お前は目立つんだよ。」 「だったら変装して行くよ!蒼の貴公子の恰好でも……桃の姫君でもいいよ?…ブフッ。」 思わず思い出し笑い。 「〜〜〜っ!?」 「そうだ、もし偵察行かしてくれないのなら…このこと…立海に四天宝寺に青学に…報告してしまうかもしれません。 バラしちゃっても良いのかしら?あ と べ さ ま?」 脅し、オマケに前半は蒼の貴公子、後半は桃の姫君の声の乱れ打ち。 跡部のライフはもうゼロよ。 「分かった許可しよう。だがその恰好をするのだけは止めろ!」 「ッシャア!りょーかいりょーかい、なんか別の恰好していくよ。」 「バレたら…この先偵察も試合見学も出来ないと思え。」 「うわ、罰重!まぁ…そんなヘマしませんけど、」 ついに許可をもぎ取った。今回は跡部から許可を貰ったし、滝へのカバーは全部跡部に任せよう。 滝様。私は跡部に偵察を命じられたため明日の仕事が出来ません。お怒りはすべて跡部にぶつけて下さい。 |
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