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部活が終わり跡部達が着替えるため部室に戻ってきた。もちろん撫子はまだ寝ている。 撫子のするはずだった片付けは平部員が片付けてくれたようだ。自ら進んで…姉御、ルカの効果は絶大だと言うことが改めて分かった。 そして部活の終わった跡部達の話し声が大きくなり撫子の意識は覚醒する。 「ッ!?びっくりするほどユートピアァー!!……知らない天井だ…じゃねぇよ!マジで何処!?」 「おぉ、起きたんか。おはようさん。」 「お、おぉ…おはよう。 ……え?ここ部室!?私マネージャー室でガチユートピアに負けないくらいのユートピアを目撃して…からどうなったんだっけ?」 「撫子ねー。スッゴく怖かったんだよー。ねぇ岳人。」 「そうだぜ!!人一人くらい目だけで殺せるんじゃねーのって位。」 「えー…そんな…マジ?」 「はい、…椿崎先輩は勉強のやり過ぎで気を失うように寝始めましたよ。」 「…ってことは日吉がここまで運んでくれたって事?」 「はい。」 「…ちなみにどうやって?」 「背負いましたよ?」 チッ乙女の夢の姫抱きじゃないのか。まぁ、日吉との身長差だったら仕方ないか。 「……どうかしましたか?」 「いんや、なんにも……じゃない!!私勉強しなきゃ…英語が…。ではみなさん、明日からのテスト頑張りましょー。さよーならぁ。」 撫子はさっさと帰宅しようと部室を出ようとするが、鳳に腕を掴まれ出て行くことが出来なかった。 「……離してくれないかな?」 「嫌です。」 キッパリと爽やかに断わられた。 「ちょっと鳳!!いくら自分が『爽やか青少年、でも少しは背伸びしたいの!』みたいな返事しないでよ。うっかり萌えちゃったじゃないの!!」 「話を聞いてくれるのなら離します。」 「…聞くから離して。」 離した瞬間にBダッシュ連打してやろ。 「ちなみに逃げたら滝さんにどうかしてもらいますね。」 いと爽やか。 「っ…やっだぁ、もう!!鳳クン私を信用しなさすぎぃ、撫子ちゃん泣いちゃうぞ☆」 「撫子止めや…。」 「…うんゴメン、自分でも鳥肌たった。で、何?ちゃっちゃと話して離してちょーだいな?」 「はい!!…勉強、しないで下さい。」 「ハァ!?問答無用で断る!!」 「しないで下さい。」 「ヤダ!!ヤダヤダヤダ!」 「あぁ、簡潔に言い過ぎました。無理…しないで下さい。椿崎さんが10位以内に入らないと岡山に帰ってしまうことは知っています。」 「だったら何で!?私頑張らなきゃ君達とお別れすることになるんだよ!!私やだよ!?やりたいって思ってることも出来てないのに!」 「さっきの時間ジローさんと向日さんが邪魔をしたことは謝ります。」 ほら、というように長太郎はジローと岳人に謝るよう促す。 どちらが年上か分からなくなる。 「「…ゴメン。」」 シュンとした二人がまた愛おしい。 別に怒ってなかった撫子だが何故かこっちが悪いことをした気分になった。 「謝んないでよ、むしろゴチでした。」 「椿崎先輩…勉強するなとは言いません。向日先輩みたいに平均点を上げるなとも言いません。」 「日吉バラすなよ!」 「本当に無理しないで下さい。椿崎先輩が居なくなったら困ります。」 「っ日吉!!…が。デレたぁ!!忍足忍足ー!ヤバい私の脳みそパーンってなりそう!」 「おぉ…普通に戻り始めよった。」 …これが普通なのもどうかと思うが。 |
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