BGM:「月の花」

byナナムジ.カ

「ごめんね、渋沢くん」
もう貴方についていけないよ。ついていくには私は弱すぎて、貴方は強すぎて。
貴方は強いだけの人じゃない、そう分かっていた筈なのに。ごめんね、貴方の弱さを受け入れるだけの強さが無くて。
「私は、貴方の夢を応援してるから」

それから一年後、テレビの中で何度も貴方の名前を聞いた。凄いよね、渋沢選手。他人事のようにそう言いながら、少しだけ悔しかった。
(渋沢くん……今の貴方に、弱みを見せられる人はいるの?)
誰か、私が出来なかったことをしてあげてほしい。そうでないと、彼は辛いだろうから。
もしも私が彼と別れなければ、あのときのままで私達はいられただろうか。
今更すぎる後悔を、私は何度もしている。