現代バトル審神者

◆導入

歴史修正主義者による過去への攻撃を防ぐため、時の政府は刀剣男士を過去に送り込む、そんな時代があった。しかし彼らとの戦いが長期化するにあたり、こちらの戦力不足が大きな問題となってきた。複数の歴史修正主義者を相手取るとなると、どうしても戦力がバラけてしまう上に疲労も溜まる。
それらの対策として挙げられたのが『その時代にいる者が対処する』というものだった。
その時代にいる審神者としての素質がある者に刀剣男士を顕現させ、歴史修正主義者を発見次第討つという方法だ。
「あーぁ……今日こそは1日オフだと思ったのに……」
「面倒臭ぇ。いちいち気にすんなよ」
「和泉達と違って、私には付き合いが色々あるの」
私も、審神者の素質があるということでこうやって刀剣男士の力を借りて戦いに身を置いている。とは言ってもまだ学生の身、遊びたい盛りなのに。
当たり前のこととはいえ、敵はいつ何処でやってくるかは分からない。その時近場にいた審神者が呼ばれるのも仕方の無いこと。たとえ授業中でも友達と遊んでいる間でも招集されたら飛んでいかなくてはいけない。
私が審神者であることは隠していないからそれを知った周りの人からは危険な仕事だと心配されるのだけれど、想像以上にそんなことは無い。戦うのは刀剣男士だし、むしろ何処にいても彼らを喚び出せる私は安全な方なんじゃないか、とも思う。
「和泉、お願い。いつものように、恰好良く。……薬研藤四郎、厚藤四郎」
「おう!」
「任せとけ、大将」
顕現させようと集中して名前を呼ぶだけで良い。何も無い空間が裂けるように歪み、そこから名前和を呼ばれた2人が飛び出してくる。刀も抜き身で、既に臨戦態勢だった。
目の前の敵は脇差と打刀のみ。問題ない。
「じゃあ、早いところ終わらせようか」


早期発見できたこともあり、歪みから出てきた歴史修正主義者達はこの時代で何ができるでも無く、その前に和泉達に破壊されていた。
和泉達3人には怪我も無かったのでその場で本丸に帰ってもらって私も電話で報告して完了。さっきまで遊んでいた友達のところへ戻ってもいいのだけれどそんな気分でもないし、このまま帰って休もう。
審神者の素質、と言われても数値で見えるものではないのでよく分からない。ただこんな風に戦いのために何人か顕現させた後に疲労感があるということは、実際に霊力か精神力かそういったものを使っているのだとは思う、多分。
「ダメ、眠くなってきた……」
疲労感と睡魔に襲われながらなんとか帰路につき、自室のベッドに倒れ込んでからは早かった。気が付いたら翌日。
今日もまた、審神者と大学生の二足の草鞋生活が始まる。