生きているのが嫌になった。斬っても斬っても鬼はいなくならないし、自分の身体はもう長いこと傷ついてばかりだ。親を鬼に殺され、喰うも欠いて命がけで鬼殺隊士となって、まだ命がけで戦っている。死が怖いわけではないが、不思議と心は虚ろだった。何もないような気がして、この人生には何もないような気がして、虚しさばかりが際立っていた。独りの夜は殊更此岸に見放されたような想いになる。共に任務に着いた隊士が殺されたとき、置いて行かれたような心細さを感じる。この頃死なない理由を探すのがひどく億劫に感じるようになっていた。心は暗闇に傾いてしまう。凡そ、命に抱く寂しさは、眼前にて呆気なく奪われる隊士の命の瑣末な様のためだろう。やはり生きるのが嫌になった。
 こんなことを話すと、共に任務に就いていた不死川実弥はひどくつまらなさそうな顔をした。彼がこの話を聞かされるのは三度目だ。鬼を待ち伏せて身を潜めた森林の中で聞かされるには全く退屈な話である。実弥がこの話から抱くのは、三度も同じ話ができるほど長生きしておいて何を今更といった感情だ。なんだかんだと最後には必ず生き残るこの隊士は存外生き意地が汚いのだ。おかげで階級はもうじき甲で、次の柱候補だ。惜しいことに、これはまだ誰の継子でもない。誰か柱の指導に着けば良いものを、そうしようとはしない。かと言って、実弥は自分がこの女の面倒を見るのはごめんだと思っていた。


と言う煉獄夢で魂の浄化を試みたりしている。まだ実弥しか出とらんけど。
[ 追記 ]
2020/09/09 (水) 01:21

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