どうやら彼女、小鳥遊たかなし 新奈にいなさんは、今日からこの並盛中に転入する転校生さんだったらしい。それもわたしと同じクラスに。まさか先週の帰国子女ヤンキーに引き続き、またうちのクラスに転校生が来るとは驚きだ。彼女を案内するのに職員室前でばったり会った担任には、「このことはまだクラスの奴らには内緒な」なんて言われたが、その後「あと山田、お前今日で遅刻3回目だろ。ちゃんと反省文書いとけよ」と言われたので、教室に入って速攻 新聞部の斉藤にリークした。彼女は喜んでクラス中に広めた。



「小鳥遊 新奈です。ニーナって気軽呼んでくださいっ」

にっこりとほほ笑む彼女に、それまでざわついていた教室が一気に静まり返る。それもそうだ。だってこんなにも可愛い子なんてそういない。今の笑顔でこのクラスの何人の男子が彼女に堕ちたことだろう。

「小鳥遊の席は〜、あそこだ。窓側の2列目、さっき一緒に職員室に来たやつのうしろ」
「あ、はい!」

小鳥遊さんは しばらくどこかをみつめたあと、担任の言葉に少し遅れて返事をし 席へ向かった。通り際に「さっきはありがとうね、花子ちゃん」と声をかけられたので、「どういたしまして」と、短く返す。周りからの視線が痛いが、こんな美少女とお話できたのはラッキーだったかもしれない。とりあえず隣の男子からの羨ましそうな視線がすごかったので、ドヤ顔をしといたら軽く睨まれた。男の嫉妬は見苦しいゾ☆
というか あれ?名前教えたっけ?


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小鳥遊さんが転入してきてから5日。そのルックスはさることながら、彼女は勉強もスポーツもできるということが判明した。いわゆる才色兼備ってやつだ。ホントにいるんだね そういう人。神様はつくづく不平等だな、と思った。
くわえて人懐っこい性格の彼女は、早くも友人を得たようで、ここ数日は席が隣の山本や転校生仲間の獄寺、それと現在話題沸騰中の沢田と一緒にいるところをよく見かける。よりにもよってあのトラブルメーカー達と仲良くなるとは…。小鳥遊さん、恐るべし…。

かくいうわたしは昨日 4度目の遅刻をやらかし、バツとして1週間の日直を命じられてしまった。さすがに1週間は長すぎやしませんかと抗議したところ「転校生の件、黙っとけって言ったのにすぐにばらしただろ」と押し切られ、現在せっせと放課後の教室掃除に勤しんでいる。あの担任、意外と根に持つタイプだったらしい。

あとは花瓶の水を取り替えて、学級日誌の感想欄を埋めて担任に提出…。あっ、あと今日はごみ捨てか。これはちょっとめんどくさい。ゴミ置き場、校舎裏のほうだから地味に遠いんだよなぁ。うーん…。先にごみ捨てを済ませてから他の雑務を処理しよう。


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