正月の朝



珍しく、敏弥さんトコのバンドが年越しライブが無かった年末。

一緒に年越し蕎麦食って、ガキ使観てカウントダウン数えて。
まぁ、夜中に姫始めって事でヤッて、正月の朝。


今年はお互い年末年始にオフもらって、一緒に過ごせるゆっくりとした時間。


欠伸を噛み殺しながらも、初詣行こうって事で早々に起きる。

正月の朝は雑煮だろって事で、材料買い込んで朝から作って。


後から起きて来た敏弥さんと、俺の足元をうろうろして敏弥さんが起きて来たら敏弥さんの方に行って、抱っこされたコロン。

お互い、部屋着のスウェットで眼鏡で寝癖付きと言う、最強にカッコ悪い姿で向かい合った。


「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
「…よし、じゃ、雑煮食おうぜ」
「ちょっとルキ君、もうちょっと情緒的に挨拶しようよー」
「無理無理。敏弥さんの寝起き姿って笑いそうになんだもん。あ、餅何個食う?」
「失礼過ぎー。餅は2個」
「了解」


敏弥さんと自分の分の餅をオーブンで焼いて。
この時の為にわざわざ買った海老とか芋とか、餅を入れて出汁をかけて、具材をきちんと盛る。

やっぱ食べ物は見た目も大事だしなー。


「敏弥さんおせち食う?」
「雑煮あるからいいや。夜に食べよーよ」
「そうだな。じゃ、コロンもおせちは夜な?」


テーブルに2人分の雑煮を置いて、そう言いながら敏弥さんに抱っこされたコロンの頭を撫でた。


「コロンにもおせちあんの?」
「おー。犬用の通販で買った」
「マジでか。クリスマスも犬用のチキンあったし、最近って犬用のヤツ色々売ってんだねー」
「まぁな。あの産業すげーよ。絶対ぇ買うもん」
「ルキ君は親バカだからなー」


そう言いながら飯を食う為にコロンを床に下ろす敏弥さんも、コロンの耳元にキスをして。
口角が上がって、優しい顔。

可愛い。


コロンには後で飯やるからなー。


2人で向かい合って座って、手を合わせる。


「いただきまーす」
「いただきます」
「…あー…ちょーあったかーい。美味しい」
「そりゃよかった」
「何かね、よく大阪で年越しライブとかやってんじゃん?」
「うん」
「そこでも雑煮とか出してくれんだけど、あっちって味噌使ってんの」
「吸い物の中に餅入れねーんだ?」
「そうそう。ツアーしてると各地の食べ物食べれていいよね」
「確かに。ウチは年越しやってねーし、またしてみたいなー」
「でもライブ中は年越し感全くねーよ」
「つーか今も正月って感じしねー」
「確かに」


我ながら美味しく出来た雑煮を食べながら、敏弥さんと話をする。

まぁ敏弥さんが年越しライブ大阪でやった時は俺も観に行ったけど、次の日俺は朝イチですぐ東京帰ったしな。


「初詣何時に行く?」
「んー…いつ行っても人多そうだし、準備が出来次第?」
「人混み嫌だよなー」
「でもせっかくオフだし、初詣は行かなきゃ。コロンも一緒に、ね」
「コロンに新しく買った服着せてこ」
「ルキ君また服買ったの?」
「冬物も可愛くてさー」


床を見ると、コロンがお座りしたまま期待した目で俺らを見上げてて。

今日はあの服着せよ。

食ったら飯やるからちょっと待ってろな。


「俺も服買いに行きてーなー」
「明日行く?最近店って正月から開いてる所多いよね」
「福袋とか売ってるしな」
「あれ絶対いらない物の方が多いって」
「風物詩っつー事で」
「あはは。買ってみちゃうー?」
「絶対ぇいらねー」


何にせよ。

今年も宜しく、敏弥さん。


寝起きのボサボサ頭で目ぇ開いてんだかわかんねー顔して舌っ足らずに喋るけど。


愛しい恋人さん。



END


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