11月11日



「あ、ルキ君、今日ポッキーの日だって」
「んー?」
「11月11日、ポッキーの日なんだって」
「あぁ、そう言えばそうらしいな」
「ポッキー買う?」
「せっかくだし」
「じゃ一緒に食べよ」
「…おい、そんなに食わねーだろ」
「えーどれが美味しいかわかんねーじゃん」


敏弥さんと仕事終わりに一緒に飯食いに行って、一緒に住むマンションに帰る前にいつも寄るコンビニ。

何となく店内を一周するのが癖で見回ってた時に敏弥さんがお菓子コーナーで何か発見したらしく。

派手なポップに11月11日はポッキーの日とか書いてある、お菓子業界の戦略文字。


敏弥さんは色んな種類があるポッキーを何箱かカゴに入れた。
普段お菓子あんま食わねー癖に。

まぁコイツ意外と甘い物好きだから、ビール飲みながらデザートとか食ってたな、居酒屋で。


ポッキーゲームでもすんのかな、とか思いながらカゴの中に入れられた何種類かのポッキーの箱に目を落とす。


「ルキ君もう買う物無い?」
「んー多分。明日の朝飯の材料あったと思うし、平気」
「じゃ、帰ろっか」
「おぅ」


敏弥さんとレジにカゴを持って行って、会計。


「さっむ!外寒ィー」
「あー早く帰ろ」
「マンションの下にコンビニあったら楽なんだけどなー」
「はは、それ言い出したら絶対『電話したら配達してくれたらいいのに』とか言いそう」
「あーいいな。楽」
「だよねー。買い物した時とか荷物面倒臭いよね」


敏弥さんと会話をしながら帰路に着く。
寒い中でも、敏弥さんとこうして歩くのって好き。

誰もいねー道程だから、手繋いでみたりね。


「家に帰ったらポッキー食べようね。一緒に」
「何、ポッキーゲームでもする?」
「え、何でわかるのルキ君」
「お前の事だからだよ」
「以心伝心でラブラブだからね」
「はいはい。まぁ俺は帰ったらコロンの散歩行くけどね」
「えー!」
「敏弥さん風呂沸かしておいて」
「了解ー」











俺らが帰って来てテンションが高いコロンに服を着替えさせて首輪とリードを付けて。
暗くて寒い中、1人と1匹で散歩に行く。

ホントは太陽浴びせた方がいいんだろうけど、仕事で帰りが夜中になってしまうしオフん時以外はなかなかなー。

夏だと徹夜して朝4時過ぎから明るいから散歩行ったりするけど。


そんな事を考えながら、いつもの散歩コースを歩いてコロンと家に戻る。

「ただいまー」
「お帰りルキくーん」
「コロンの足拭いて」
「ちゃんと蒸しタオル用意したからね」
「ってか敏弥さん飲んでんの?」
「だってルキ君とコロンいねーから暇だったんだもーん」


コロンの散歩から帰ると、テンション高い敏弥さんに出迎えられる。
濡れタオルをレンジでチンした蒸しタオルで、俺が抱っこしたコロンの足を拭いてる敏弥さんはちょっと酒の匂い。


「はい、拭けたよー」
「ん」


コロンを床に下ろすと、リビングへ向かって歩いてった。

俺も靴を脱いで上がると敏弥さんの腕が肩に回って来て唇に軽くキスされる。


「部屋あったかいよー」
「おー。外ちょー寒かった」
「コロンにご飯あげてラブラブしよー」
「はいはい」


期待した目で、コロンの飯を用意する俺を見上げるコロンと、俺にまとわりついてる敏弥さん。
いやいや、何これ。

俺、犬2匹買ってたっけ?


「コロンお腹空いてたんだね」
「まぁ、もう夜中になりそうな時間だしな」
「じゃ、これから俺らのラブラブタイムね」
「はは、敏弥さんキモーい」


飯食ってるコロンをソファに座って2人で眺める。
一生懸命食べる姿は、ホントに可愛い。


敏弥さんの手が、俺の頬を撫でて来たから。
敏弥さんの方へ向いて上唇を甘噛みする様にキスをする。


「…ポッキーゲームする?」
「んー。もうちょっと、このまま」


イベント事にちなんだゲームとか遊びも好きだけど。

普通にキスするのも好き。
敏弥さんの唇、柔らかいし気持ちいい。


いいじゃん俺らラブラブなんだから日にちとか関係なくすれば。


それはハタから見たらすげー馬鹿っぽい事だけど。
思考回路が同じ俺らにはお似合いじゃんね。



END


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