愛しい熱の根源



「ルキ君、眠いんじゃねーの?」
「んー…」
「もう寝たら?」
「んー…これ終わるまで…ちょっと」
「一時停止してまた観ればいいじゃん。内容わかってんの?」
「わかってるって…敏弥さん煩い…」
「だってちゃんと観てんのかわかんねーんだもん」
「観てる観てる」


けど、眠い。
連続海外ドラマだし、あんまDVDとか観る暇ねーから今時間がある内に観てしまいたい。

せめてキリがいい所まで。


ソファを背凭れにしてラグの上に座る敏弥さんの足の間に座って、背中をベッタリ敏弥さんの身体にくっつける状態でデカい液晶画面に映ったドラマを観る。

敏弥さんの言う通り、あんま内容は入って来ない。
けど、今観んの止めたら次いつ観れる時間があるかわかんねーし、面倒臭くなりそう。

敏弥さんは時々俺の髪を撫でながらビールを煽る。

敏弥さんは1から観てねーから、内容わかってないだろうけど。
一緒にDVD観てるから何本かもう飲んでて。


ラグの上に空き缶が見える。
ちゃんと片付けろよマジ。


って、そんな事を頭ん中で考えるけど眠くて口動かす気がしねー。
このDVDいつ終わるんだよ…。

背中に感じる、敏弥さんの体温が余計に眠気を増長させてる気がする。
かと言って、手放す気はねーけど。


身長差の所為で俺が敏弥さんの腕におさまる形っつーのは最初はムカついたし嫌だったけど。
慣れてしまえば心地好いモンで。


敏弥さんに凭れる形で胡座をかいて座ってる俺の足の間に、頭だけ太股に乗せて寝てるって言うコロンが超可愛いしね。

親子3人、まったりとした時間。


足もコロンの体温であったけーし、コロンの毛並み撫でんの気持ちーし。
眠いなーって思いながら薄目を開けてDVDを観てると、ビールを飲み終わった敏弥さんがベコッて缶を潰した音がした。


そしたら、こめかみ辺りに唇の感触。
敏弥さんが俺のこめかみや耳にキスして来た。

ちょっと擽ったくて、眠さも手伝って鬱陶しい。

敏弥さんの唇から逃げようとしたら、腹に回ってた敏弥さんの腕に力が入ってがっちり抱き込まれる。


「何、」
「んー?ルキ君眠そうだから起こしてあげよっかなって」
「は、嘘吐け」
「うん。ルキ君ずーっとDVD観ててつまんない。眠いなら俺とベッドでいちゃいちゃしながら寝よ?」
「ちょ…ッ、コロン起き、…」


敏弥さんが、俺の顎を掴んで強い力で後ろを向かされる。
バランス崩しそうになって、胡座をかいた足が解けそうになる。
コロンが足で寝てるっつーのに。


敏弥さんは俺の身体を抱き締めたまま、唇を塞がれた。


映画ぐらいゆっくり観させろよ馬鹿。
眠くてあんま観てなかったけど。


案の定、コロンは俺の足が動いた事で起きてしまった。
犬は眠りが浅いしな。

しつこく舌を絡めてキスして来る敏弥さんと、俺の腹に前足を乗せて尻尾を振ってる(風圧が俺の足に当たってる)コロン。
何この板挟み。


コロンは可愛いけど、この馬鹿デカい野郎は可愛くねぇ。


拒否しようとしても敏弥さんの指ががっちり俺の顎を掴んでてて外れない。
まぁ、敏弥さんとのキスは気持ちいいんだけどさ。


コロン、ちょっと待って。


「ッは、…お前しつこい…」
「起きたでしょ?」
「そーですねー」
「あは。じゃ俺といちゃいちゃしよ」
「あ、無理。コロン起きたし。なー?コロン」


ちゅってわざと音を立てて唇に吸い付かれて楽しそうな笑顔が間近で見えた。
解放されると、俺を見上げるコロンを抱き上げる。

そしたらコロンにも顎辺りを舐められた。

めちゃくちゃ舐めて来るコロンに苦笑い。

お前敏弥さんに似たのかよ。
コロンは可愛いけどな。


まぁそんなコロンにもべろちゅーかまされてんのを、敏弥さんが大人しく見てる筈もなく。

思いっ切り後ろから抱き締められた。


「ちょっとー!何コロンといちゃついてんのさ!」
「うお、苦しいっての!」
「知らなーい」
「コロンは可愛いもんなー?」
「俺も可愛いし!」
「DVD観るのを邪魔する奴は可愛くありません」


あ、DVD途中から観てねーし。

…眠くてあんま観てなかったから、また次に観直すか。


目も覚めたし、我儘野郎と可愛いコロンを構おうと思います。


何だかんだ、我儘なトコが可愛いって思ってんのは本人に言ってやんねーけど。



END


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