3時のおやつの時
仕事が夕方からの時、ルキ君はオフで。
まぁルキ君てオフの日でも家で仕事してたりするんだけどさ。
仕事行くまでにコロンと一緒にラグの上でボール遊びをしてると、ルキ君はパソコン画面から目を離して伸びをして。
チラッと俺等と時計を見ると立ち上がってキッチンへ向かった。
ルキ君に着せられた犬用の服を着た可愛いコロンは、可愛い玩具を一生懸命追い掛けて遊ぶ。
ふりふり尻尾振りながらボールを咥えて投げてって持って来るの、可愛いなー。
何回か繰り返してると、コロンは飽きたのかボールを追い掛けずに胡座をかいてる俺の足の上に乗って来た。
「んー?もう飽きたー?」
コロンを抱き上げながら猫撫で声で話し掛ける俺。
何で動物に話し掛ける時ってこんな声になるんだろ。
不思議。
コロンを抱っこして立ち上がり、ルキ君の姿を探す。
あ、居た。
「ルキくーん。何やってんの?」
「ん?コロンのおやつ作ってんの」
「えー何なに」
「ホットケーキ」
「マジで?そんなのあるんだ」
「そー。犬用でさ」
「へー」
コロンを撫でながら、もう見慣れた光景のキッチンの前に立つルキ君の隣に立つ。
ルキ君はボールの中に作った生地をフライパンに小さく丸く流して焼いてた。
コロンは鼻をヒクヒクさせながら尻尾を振ってそのフライパンに身を乗り出そうとしてて。
丸焼きになっちゃうよー。
コロンを抱え直して、ルキ君が作ってるホットケーキの素が入ってた箱を手に取る。
最近は手作りでこう言うのも売ってるんだねー。
作って冷凍しとけばいいんだ。
箱を置いて、何枚か小さいコロン用のホットケーキを焼いてるルキ君にくっつく。
「敏弥さん邪魔」
「ねー俺の分は?」
「は?ホットケーキ食いてーの?犬用のは味ないよ」
「ちげーよコロンのは取らねーよ。俺のおやつは?」
「あー…ハーゲンダッツあるから買ってに食えば」
「うわぁ…何か作ってよー」
「知らねーよ。…よし、出来た」
出来た小さなホットケーキは、コロン用のお皿に3枚重ねられた。
そこに備え付けられた蜂蜜?みたいなのをかけてた。
「あ、何か可愛いー」
「たまにはな。ケーキはさすがに作れねーけど、こう言うのなら簡単だし」
「ちょ、コロンが超尻尾振ってんだけど」
「コロンー。リビングで食べようなー」
ルキ君もコロンに笑いかけて、猫撫で声で話す。
コロンは期待した目で見てて、めちゃくちゃ尻尾振ってた。
リビングのラグの上でコロンを下ろすと、ルキ君の前でお座りして見上げる。
ルキ君も膝付いて、コロンの前に皿を置いた。
その横に俺も座る。
「コロン、待て」
そう言って携帯を取り出してコロンとホットケーキを一緒に写メる。
早く食べたそうだなー。
三段重ねのホットケーキとか、自分が食べるんだったら絶対作らないであろう物をコロンの為なら作っちゃう所とかルキ君可愛い。
写メを撮って満足したのか、持って来たフォークでコロンのホットケーキを切り分ける。
「ルキ君過保護だねー」
「だって毛についたりすんじゃん」
「まぁ確かに。コロン毛並みも綺麗だしね」
「そうそう。コロン、よし」
ルキ君が切り分けたホットケーキの欠片をフォークに乗せてコロンの前に差し出す。
声がかかったら、コロンはそれを鼻を近付けて匂って一気に食べた。
「美味しかったらしいね」
「そりゃー俺が作ったからな」
「ルキ君焼いただけじゃん」
「るせー。コロン、あとは自分で食えよ」
「あは。めちゃくちゃ食べてる」
尻尾振りながら一生懸命お皿に顔突っ込んで食べてるコロン。
可愛いなぁ。
「ルキ君ルキ君、俺のおやつは」
「まだ言ってんのかよ。アイス食えよ勝手に」
「コロンには手作りなのにズルいー」
「コロンに張り合うなっつの。コロンは子供だからいーの」
そう言ってもう食べ終わってルキ君の元に近寄ったコロンの頭を優しく撫でる。
コロンもさっきまでは俺と遊んでたのにルキ君におやつ貰ってなついてるし…!
ちょっと拗ねるぞー。
そんな俺に小さく笑うルキ君。
「仕方ねー旦那だなー?コロン」
「……」
「ガキが2人いるみてー」
「どうせガキですよー」
「ははっ」
ルキ君はコロンを抱き上げて視線を合わす。
コロンは別の方向みてるけど。
コロンを腕の中に収めて、ルキ君は俺の方に寄って来た。
「敏弥さん」
「なー、に…」
声を掛けられてルキ君の方を見ると不意打ちにキスされて。
すぎに離れた唇。
少しだけ唇を舐められて、その感触が気持ち良かった。
「…拗ねんなよ、旦那さん」
「もう一回キスしたら機嫌直る」
「仕方ねーな」
「ん」
わざと低く囁く様に言うルキ君の声と。
楽しそうに孤を描く瞳。
ルキ君の腕の中のコロンを挟んで、また唇を合わせた。
コロン大事に甘やかしてるルキ君も好きだけど、たまにじゃなくて俺もずっと甘やかしてよ。
END
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