深夜の散歩デート



「あれ?ルキ君」
「あ、敏弥さん。お帰り」
「今からコロンの散歩?」
「そー。俺もさっき帰って来たし、散歩は行ってやらねーと」
「ふーん。じゃ、俺も行くー。コンビニ行こうよ」
「いいけど。金持って来てねーから敏弥さん奢れよ」
「仕方無いなー」


深夜に近い時間に仕事から帰って来ると、マンションの入り口からコロンを抱えたルキ君が出て来た。
コロンにはハーネスとリードが付いてて、俺を見付けるとルキ君の腕の中で尻尾を振って喜んでる。

可愛いなぁ。


朝見た仕事に行った時の外着に眼鏡を掛けたルキ君に近寄ってコロンを撫でる。

そしてルキ君は地面にコロンを下ろした。

コロンは早速匂いを嗅ぎまくってうろうろしてる。


ルキ君は、コロン、と声を掛けてリードを引っ張った。
マンションから少し歩く距離にあるコンビニを目指す。

コロンを真ん中にして歩いてくけど、コロンはやっぱ匂いのが気になるのかよくうろうろしてる。


「最近夜は涼しくなっていいねー」
「ホントにな。朝でももう暑くてコロンの散歩行け無かったりするし」
「コンクリートばっかだから肉球焼けちゃうもんね」
「小型犬は部屋ん中で遊んでやるだけでいいっつーけど、仕事で長い時間家空けたりするしなー」
「運動は必要だよねー。コロンも俺みたいに筋肉付けなきゃ」
「コロン、敏弥さんみたいにはなるなよ」
「ちょっと、どう言う意味だよ」
「まんまの意味じゃん。コーローン、そっちじゃねーっつの」


ルキ君は笑いながら、どうしても端っこの方に行こうとするコロンを引っ張り戻す。
そしたらコロンはまた小さい足でトコトコ歩いてる。


ルキ君もコロンも小さいから、俺が歩くペース遅くしなきゃダメなんだよねー。
可愛い。


ルキ君と今日の事を話しながら歩いてると、目的のコンビニが見えて来て。


「敏弥さん何か買う物ある?財布貸して。コロン見てて」
「んー。煙草とビール買って来て。ビールだからね!発泡酒じゃないからね!」
「わかってるって」
「ホントかよ」
「大丈夫大丈夫」


ルキ君がコロンのリードを差し出して来るから。
そのリードを受け取ってケツポケから財布を出してウォレットチェーンを外してルキ君に渡す。


ルキ君が店内に入ってくのを見て、明るい光が差す駐車場の所でしゃがんでコロンを撫でる。

コロンはお座りしたまま、俺の指を追い掛ける様に顔を動かして。
可愛いなぁ。


しゃがむ俺の膝に前足を置いて、俺の手を狙うコロンを何回も同じ事を繰り返して遊ばせる。


暫くすると、ルキ君がコンビニから出て来たからコロンが素早く反応してルキ君の元に小走りで向かう。
から、立ち上がって俺もルキ君に近寄る。


「お待たせ。はい」
「ビール買った?」
「買ったよ。これだろ」
「そうそう、サンキュ」


ルキ君から自分の財布を受け取ってまたポケットにしまう。
ルキ君が持ってるコンビニ袋を覗くと、今回はちゃんとビールを買ってくれてたみたい。

つっても、俺の金だけどね。

他にスイーツとか飲み物とか買ってんだけどルキ君。
夜中に食う気じゃねーだろうな。

体型の変動激しいからなー、この子。


ルキ君の足に飛び付いたコロンの頭を撫でて、顔を上げる。


「じゃ、帰るか」
「うん」


今度は俺がコロンのリードを持って、来た道を歩く。
コロンは相変わらずちょこちょこ寄り道しちゃってて。

ま、部屋ん中が多いから外に興味津々なんだろうな。


深夜に散歩は時々行くけど、結構夜中に散歩する人はいるらしくて。
時々散歩してるのを見掛ける。

やっぱ小型犬飼ってる人多いのな。


「夜型の子かもしんねーけどさ、時々女の子が小型犬の散歩とかしてない?」
「あぁ、そう言えば」
「夜中に女の子1人で散歩してたら危ないよねー」
「確かに。最近寒くなって来たから変態は減るんじゃね?」
「はは、冬したら風邪引くもんねぇ」
「風邪引くの嫌とか軟弱な変態だよな」


ルキ君と下らない話をして笑って、家路に着く。
コンビニ袋を持ってないルキ君の手を取って、指を絡める。


「ん?何」
「変態が出て来たら困るからね」
「そっかー敏弥さんが囮になってくれたらコロンと逃げるから大丈夫」
「酷ーい」


そう言いながらルキ君も握り返して来た。
親子3人、深夜の散歩。


ちょこちょこ歩く俺らの子供は、ラブラブなのを空気読まずにまた端っこに匂いを嗅ぎに行った。


何かそれでも幸せを感じるよね。



END


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