愛情のかけ方/玲流




ルキとコロン、2人と1匹でゆったりと流れる時間。
最近作業詰めてたからあんま家でゆっくりするって事が出来なくて。

ここぞとばかりに2人でコロンと遊んで、飽きたらルキが持って帰って来たサンプルの俺らのライブDVD鑑賞。


ソファに座る俺の右側に灰皿を抱えて煙草を吸いながら目を細めて映像を見てる部屋着、眼鏡姿のルキと。
左側には腹も満たされて遊び疲れて眠ってるコロン。
太股にくっついてる身体は温かい。

ルキの肩に腕を回すと、自然と俺の方に身体を預ける様になる。


セットされてない傷んだストレートの髪が肩に流れて擦り寄る様に甘えるルキに口元が緩む。


映像の中で、あれだけ吠えてる人物とは似ても似つかない。
ゆっくりと煙草を吸ってたルキが、煙草を持った指で画面を指した。


「編集どう?」
「あーいんじゃね。カメラワークも迫力あって格好良いし」
「うん」
「これ失敗したやつカットしたんだっけ?」
「やっぱ目に見えてわかんのはね。格好悪いじゃん」
「あれはなぁー」


当時のライブを思い出して苦笑いをする。

ルキは半分まで吸った煙草を持ってた灰皿で揉み消して、テーブルにそれを置いてまた俺の肩に寄り掛かった。


「…あ、このれいちゃん格好良い」
「俺はいつでも格好良いだろ」
「ふふ、どうだろ」
「お前、」
「まぁ『意中の旦那様』ですから?」
「……」


そう言ったルキは俺のシルバーネックレスを指で引っ掛け、引き寄せる。
それと同時に身体を起こしたルキにそのままキスされて。

煙草味の苦いキスが、一旦離れるとルキの後頭部に手を回して今度はこっちからキスを仕掛ける。

俺が動いた拍子に起きたコロンが、俺の太股に前足を乗せてんのが感触でわかった。


唇を離すと、眼鏡の奥で目が笑って。
コロンを抱き上げてまた定位置に戻って俺の肩に頭を預けた。


ルキの腕の中のコロンを撫でると、目を細めて気持ち良さそうにする表情が可愛い。


何か、オンの時の俺らを見ながらオフを過ごすって不思議な気がする。
反省の意味を込めてライブ映像は見返したりはするけど、家ではそう言うんじゃなくてホントただの鑑賞タイムって感じで。


まぁたまにルキの趣味の映像観たりすっけど。
某先輩バンドさんとか。


こいつ自分は結構交遊関係持ってる癖に、俺の事が誰かとってなると途端不機嫌丸出しにすっからなー。
嫉妬深い所も好きだから、いいけど。


雑誌では尻に敷かれたいとか言ってっけど、絶対そんな事思ってねーだろって感じだし。
ダチから始まった関係だろうけど、ルキに対しては甘やかしたいって気持ちが強いしな。


「…れいた何考えてんの」
「ん?」
「何考えてんの」
「何だろうな」


頭ん中で、そんな事を考えてたらルキが俺の方をじっと見て来て。
多分、俺の返答次第でルキが不機嫌になんのはわかってて、そうなるルキが見たいって思いもあって曖昧な返答。

ルキは表情を変えず、淡々と話す。


「俺以外の事だったら殺すよ、相手を」
「いいけど、ルキがムショ行きになんのは嫌だなー」
「じゃ俺の事だけ考えるしかねーな」
「ルキの事しか考えてねーっつの」


嫉妬すんのもムカつくのも、俺を信用してねーからするんじゃなくて、自分の物に手を出されんのが大っ嫌いだからする、って。
いつかルキが言ってたな。

プライドが高いルキ。
我儘に育っちまって、ホント可愛いよ、お前。


ルキと視線を合わせて、そんな物騒な会話をしながらルキの髪から耳を撫でると。
ルキの腕の中にいるコロンが主張する様にルキの身体を上がって来た。


「…コロンの事は考えていい?」
「当たり前だろ。俺らのガキなんだから」
「はは、確かに」


なー?ってコロンの鼻先にキスするルキの髪を撫で梳く。


2人と1匹で、家族団欒。

ライブ映像と対照的。

けど、どっちも幸せだなって。
ホントそう思う。




20120616



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