圧倒的な可愛い君/鬼歌




よく女装とかするけど、4人全員が一緒にって言うのもなかなか無いかもしれない。
そんな事を思いながら、ボブヘアにいつもと少し違うメイクをした、鏡に写った自分を見る。

そしたら、同じくメイクを施した豊がお菓子を食べながら覗き込んで来た。

豊は元の顔が綺麗だから女らしいメイクをすると、女でも通用するんじゃないかと思う。


「翔、オメーそうするとあの某歌手みたいだな。顔の大きさは二倍だけど」
「仕方無いじゃん。豊は似合うよね。ギャルみたいで可愛い」
「だろ?」
「うん、お菓子口に含み過ぎだけどね。撮影でも食べるんだから加減しなよ」
「大丈夫だいじょーぶ」


そう言ってまだお菓子を食べながら、僕のトコから離れて行った。
まだ時間あるのかなって思って時計の方に目をやると、不意に視線を感じでそっちに顔を向ける。


そしたら、少し離れたトコで僕の方をじーっと見てた、先にメイクが終わって椅子に座ってる淳くんと目が合った。
ちょっと機嫌がよろしくなさそうな淳くんは、僕と目が合うと逸らして。


彼も付け毛を使って髪をアップにして、晒した足を組んでて。
よく淳くんの生足見てるけど、こうして見ると何かいいね。
淳くんの足ってむちむちしててイイ。


立ち上がって、淳くんの方に近づく。
K-POPって足出してるイメージが強いから、全員ショーパンにストッキング履いてるんだけど。
やっぱ履き慣れてないとストッキングのつるつるした感じが何か変な感じ。


「淳くん、どうしたの?」
「…何が。って言うか、見下ろさないでくれる?鬼龍院さんの癖に」
「えぇー…」


僕の方をチラッと見て、ちょっと不機嫌そうな声を出した淳くんは組んだ足の上の方を少し揺らす。
淳くんは座って、僕は立ってるんだから必然的に淳くんを見下ろす事になるのは仕方無いと思うんだけど…。

取り敢えず周りを見ても近くに椅子が見当たらなかったから淳くんの足元、床に正座をして座る。


……。

目の前に淳くんの組まれた足。
ちょっとこの女王様に膝まずく状況にちょっと興奮する。


「ちょっと、何処見てんの」
「えっ、淳くんの足…いいなぁって」


見上げると、ちょっと眉を寄せて冷めた目で僕を見下ろす淳くん。素直に言うと、益々眉間に皺を刻ませる。


「…嘘」
「嘘じゃないよ。淳くん似合う。可愛い」


そう言うと、淳くんは唇を噛んで拗ねた表情になった。


「……可愛くないもん。喜矢武さんが超可愛い。やっぱイケメンじゃなきゃこんなの似合わない。せめて小柄だったらよかったのに、僕背が高いしガタイ良いし、女装でも女の子になれない」
「……」


あぁー。
だから不機嫌だったのかって、納得。


淳くん、自分に自信が無いもんなぁ…豊にキャーキャー言ってたから、そう言うの気にしてるのとかわからなかった。


「鬼龍院さん喋らなきゃ小柄で可愛いし…研二っちは元々イケメンだし。僕だけ可愛くないもん」
「何で?淳くん可愛いよ?って言うか大人っぽいからエロ可愛い感じだよね」
「…何それ。ホント?」
「うん。ねぇ淳くん、僕は本当に可愛いと思うし、淳くん好きだよ」
「……」
「淳くんの事、僕が可愛いって思ってるんだから、淳くんもそうだって認めなよ。僕が言ってるんだよ?」
「…馬鹿じゃないの」
「えー、ダメ、かな?」
「…ん、鬼龍院さんがそう思ってくれてるなら、それでいい」
「うん」
「…何か、御免。僕めんどくさくて」
「でもそれが淳くんでしょ。そう言う所も含めて、付き合ってるんだよ」
「鬼龍院さん…」


淳くんが、あ、照れてるなって思う表情を見せて。
やっぱ可愛いなぁって思う。

そう言う純情な所見せられちゃうとね。


恋人の欲目でいいじゃん。
一旦マイナスな思考になっちゃったら、どんどん深みにハマッてっちゃう淳くんだけど。
それを笑顔にするのが恋人の役目じゃん。

めんどくさいなんて、思わないよ。


「…何してんの、鬼龍院さん」
「んー。僕ってニーハイが一番好きなんだけど、ストッキングもいいなーって」
「ちょっと、やらしい手で触んないでくれる」
「ねぇ、淳くん、撮影終わったらこれ脱ぐ前に破いていい?」
「アンタ、ほんと救いようが無いね。僕の感動返して」


何かもう、淳くんの機嫌も直ったし目の前に足があったから堪らず手を伸ばして淳くんの足を撫でる。
淳くんの固い足と、ストッキングのつるつるした感覚。

うん、ニーハイの次にいいかもしんない。
逃げようとする淳くんの足首を掴んで逃がさない。

淳くんの表情が一瞬驚いて、すぐ様、僕を蔑むように見下ろす。

そう言う表情も、きゅんってするって言うか。
好きなんだよね。


「じゃ、家で履いて!タイトスカートにストッキングで踏んでよ。あ、眼鏡も掛けて」
「欲望に忠実過ぎるでしょ。もうやだこの人」
「淳くんなら似合うよ、大丈夫」
「鬼龍院さん、黙って」
「今度衣装揃えとくね」
「……」


顔を背けて、深く溜め息を吐いた淳くん。


恋人へは労力は惜しまないんで。
淳くんが折れるまで土下座してお願いしまくろう、と心に誓いながら。
何だかんだで僕に甘い淳くんの事だから、やっぱり可愛いって思った。




20120528



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